福岡に移住し、「和樂(わら)」で暮らし始めて、気づけば5年が過ぎました。
移住前の自分に、「これから古民家に暮らし、たくさんの人と出会い、季節の行事を楽しみ、目の前の棚田でお米までつくるようになるよ」と伝えたら、きっと驚くと思います。それくらいこの5年間は、想像していなかったことの連続でした。
それまでの東京のマンション暮らしから、遠く離れた福岡へ。しかも、空き家だった古民家を甦生し、そこで暮らすという大きな環境の変化。
周囲からは「よく覚悟したね」と言われることもありましたが、実際には、強い覚悟をもって移住したわけではありません。
コロナの影響による環境や働き方の変化がある中で、不思議なご縁や機会をいただき、そこにちょっとした好奇心も重なって、流れに身を任せていたら、いつの間にかここで暮らしていた…というのが正直なところです。
実際に暮らし始めてみると、環境が変わったことで、新たにたくさんの人と出会い、様々な経験やご縁をいただきました。
そして、ここでの暮らしが教えてくれたのが、「今まで見えていなかった豊かさ」です。
太陽や月、水や火、風。季節の移ろいや、土の匂い…
都会で暮らしていた頃には、そこまで意識していなかったものの中に、こんなにも豊かさやありがたさがあったのかと、何度も気づかされました。
もちろん、都会と違って不便なことや大変なこともあります。一人ではどうにもできないことも少なくありません。けれど、だからこそ、周囲の方々に助けてもらいながら暮らすことができています。
「お互いさま、おかげさま」。
人も自然も、繋がりや関係性が見えやすいこの場所で、そんな言葉を頭で理解するだけではなく、暮らしの中で実感するようになりました。
自分の弱さや、できないことを誰かに助けてもらう。そして、自分もできることで誰かを助ける。そんな循環の中で、弱さが絆になっていくことも学ばせていただいています。
思えば、空き家状態だったこの古民家が「和樂」として甦生していくまでにも、たくさんの方々の支えがありました。
住み始めてからも、たくさんの方が「和樂」に足を運んでくれ、銀杏拾いやお月見、お味噌や納豆づくり、高菜漬けなど、季節の巡りの中で年中行事を一緒に楽しみながら、先人たちの暮らしや智恵を学んできました。
さらに今年からは、目の前の棚田でのお米づくりも始まりました。

自然のリズムに合わせて人が集い、季節を感じ、手を動かし、一緒に食べる。そんな営みが少しずつ積み重なり、「和樂」という場が、着実にここに馴染んできているのを感じています。
もともとは、「日本の原風景を残したい」という想いから移住しましたが、
今では、ここ「和樂」が、私自身にとっても「心の故郷」のような場所になっています。
どこか懐かしく、ほっとする。人や自然との繋がりを感じられる。ここにいることで、命の輝きやご縁の奇跡を感じ、心豊かで幸せな気持ちをたくさんいただいています。
初めて家を見学した時。まさか自分がここで暮らすことになるとは思ってもいませんでした。
でも振り返ってみると、その後の流れに身を任せてみたことが、今に繋がっている。
人生には、自分で計画してつくっていく道だけではなく、ご縁や流れの中で開かれていく道もあるのだと感じます。
これからも仲間たちと一緒に、「暮らしフルネス」を軸に、「和樂(わら)」の名のとおり、人も自然も共に和やかに、楽しくあれる場をつくっていきたいと思います。
そして、この場やここでの暮らしが、誰かにとっての「希望ある選択肢」のひとつになったら嬉しく思います。
それぞれの場や暮らし、生き方が今より調っていくための一助となれるような働きも、これまで以上に意識しながら続けていけたらと思っています。
5年経っても、まだまだ分からないことばかりではありますが、これからも試行錯誤しながら、仲間たちと一緒に「和樂」での暮らしを楽しみ、育てていきたいと思います。
これまでいただいた、たくさんのご縁と支え、見守りに心から感謝しながら、またここから一歩ずつ。これからもどうぞよろしくお願いします。^^
かぐやかコーディネーター
宮前 奈々子
