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毎日更新。カグヤの日々の取り組みをご紹介。

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意識の変化

台風24号が関東を通過する真っただ中、就寝前の寛ぎの時間を襲った停電。

この街に住んで初めてのことでした。

私の住まいは駅や公共施設に近いため、被災後もライフラインが最優先に復旧する特別地区に指定されています。

あの東日本大震災の時でさえ計画停電の実施地域から除外されていたほどですから、まさか停電など考えも及ばず、真っ暗になった瞬間は部屋のブレーカーが落ちたのかと思いました。

でもそれが停電だと気づいたとき、台風という状況を無視して“信じられない”という気持ちでいっぱいになりました。

3分ほどですぐに復旧しましたが、普段どれだけ自分が「この地域は絶対安心」と高を括っていたかを思い知ることになりました。

そんな思い上がった心を戒める出来事はさらに続きました。

 

ようやく床に就いた深夜2時。火災報知器のけたたましい音が近所中に鳴り響きました。

どこからだろうと思いながらも布団に潜り込みそうになり違和感・・・。

「いや、寝ちゃだめでしょう、近所が本当に火事だったらどうするの!?」

様子を見るくらいの気持ちで部屋から出てみると、なんと火災報知器が鳴っているのは自分のマンションではありませんか!

他の住人も顔を出しオロオロ。軽くパニックです。

ひとまず建物の外側から煙や炎が上がっている窓はないか確認しましたが、それらしい気配はなく一安心です。

結局、消防が来て火災報知機を止め騒ぎは落ち着きました。

 

ところが朝、いつものように水道をひねると・・・水が出ない!!

顔も洗えないどころか、トイレにも行けない状況勃発です。

飲料用に買ってある水で顔を洗おうか?

というか復旧がいつになるか分からないのに貴重な水をそんなことに使って平気?

それよりこの断水は地域的なものなの?

このマンションだけ?

それともこの階とか部屋だけ?

雑多な思考が脳内を巡ります。

 

状況確認のため1階へ降り、植え込みに設置してある蛇口をひると当たり前のように水が出ます。

さらに1階に入居している宅急便の営業所の方に水が出るか聞いてみると「出る」との返事。

地域的な断水でないことが確認できたことで、気持ちが少し前向きになりました。

しかし管理会社はまだ閉まっています。

「とにかく会社へ行く準備を・・・」と改めて部屋を見回すと、植物にあげるために取り置きしておいた水を発見!

ベランダ菜園の水やり用にボトルを3本用意していて、いつもなら全部に水を汲んでも使い切ってしまうのですが、台風が来るからと思い水やりを少なめにしたため、1本には水が残ったままになっていたのです。

 

「救われた!」と思いました。

その水をタオルに含ませ顔を拭き身支度を整え、管理会社が開くと同時に電話を入れました。

 

会社から帰宅すると復旧完了のお知らせとお詫びの手紙がポストに入っており、すっかりもとの生活が戻っていました。

原因についての記載はなかったので詳細は分かりませんが、台風で電線の一部が切れたか接触不良になったかしたのだろうと思います。

ただ1階フロアは、 屋上に設置してあるタンクから電子制御で送水してているフロアとは違い、水道管と直接つながっていたために難を逃れたのではないかと思われます。

 

カグヤでは災害に対する意識を常に高めていこうと色々な取り組みを実践しています。

会社の入っているビル自体も、防災や災害に関連した訓練を年に何度も実施しています。

そんな中にいても、いつの間にか「自分は大丈夫」と思ってしまっていたことに驚きます。

こういう心理を「正常性バイアス」とか「正常化の偏見」「恒常性のバイアス」などと言うらしいです。

自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉え、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価しすることで、心が過剰に反応し疲弊するのを防いで平静を保とうとする心理が働くのだそうです。

そしてそれはどんな人でも陥りやすく、そんな心理状態であることに気づかず、その人の行動に周囲も同調し逃げ遅れるケースは少なくないと言います。

 

今回の台風は事前に関東を直撃することが予測されていたことから、首都圏の各路線は前日の20時以降を運休させるなど早くから安全対策を実施しました。

そのために帰宅できなくなった人もいましたが、それ以上に早めに帰宅することになり身の安全を確保できた人は多かったと思います。

例えこのように万全の対策をとっていたとしても100%危険を防ぐことは出来ません。

イザというとき冷静に状況を判断し、正しく行動できるよう、災害に対する意識を常に維持し続けたいと思います。

 

ミッションパート

佐藤真樹