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みんなが集う文化

今年も福岡の聴福庵で天神祭を実施することができました。

「天神祭」は福岡県飯塚市にある許斐神社の神事として、以前は山車まで出すほど大々的に行われていたそうですが、今ではそのお祭りもなくなり参拝者も減ってしまいました。

 

そこで、「このままでは大切な伝統文化が消滅してしまう、その中に息づく智慧が忘れ去られてしまう、どうにかしなければ!」という気持ちから、内々で「勝手に天神祭」を開催したのが昨年のこと。

しかしそうは言っても何をどうすれば良いのかも分からず、まずは伝統や先人の智慧を子どもたちに残すことの重要性や暮らし甦生の大切さを知ってもらおうと、「見守る保育」の藤森先生をお招きして「子どもにとっての学問とは」というテーマで講演していただき、地元自治会の方々や友人、古民家甦生のパートナー様などがご参加くださいました。

 

そして今年。本格的にチラシをつくり、身内だけではなく、近隣の園の先生方やお付き合いのあるご近所の方々にも声を掛け、参加費1000円を頂戴しての開催となりました。

今回は逆手塾の和田様による歌あり笑いありの独演会。

その後の七輪を囲んでお餅を食べながらの親睦会は、いつまでも話が尽きることなく夕暮れ時まで続きました。(和田芳治氏関連記事 http://www.cocolotus.com/item/2160

 

昨年は1回目ということもあって、私たちも参加者も何となく探り探りといった感じがありましたが、今年はとてもアットホームで、皆で食べるようにと地元の銘菓をお土産にお持ち下さったり、近隣の方からは畑でとれた野菜や手作りの炊き込みご飯までいただきました。その心遣いに深い愛情が感じられ、心の奥にポッと炎がともったような温かい気持ちになりました。

 

中でも感動的だったのは、庭先や裏山で摘んだ野花を大きな花束にしてきてくださったことでした。

自然の花々はどれも愛らしく、それでいて力強い存在感があり、その凛とした姿は私たち人間が彼らの住まう空間に暮らさせてもらっていることを実感させました。

決して東京では手に入れることのできない花束です。

何より、朝早くから野山に出掛け、1本1本丁寧に摘んできてくださったことを思うと、自分たちが普段当たり前のようにお金で買っている贈り物やお土産は本当に心がこもっていたのかと自問してしまいます。

 

昔はどこかの家に集まるとなれば、手作りの総菜やらお菓子、畑や庭先で収穫した野菜や果物を持ち寄りました。

そこには何の制約もなく、お金のあるなしや料理の得意不得意も関係ありませんでした。

決して高価なものでなくても、食べ物でなくても、各々好き好きに用意すれば良かったのです。

だからこそ誰でも気負うことなく集まれたのです。

そしてそれは互いを知るツールでもあったように思います。

その人がどんなものが好きか、畑で何を作っているのか、話に花を咲かせ笑い合い、困りごとを相談する場でもあっただろうと思います。

それはひとりぼっちにならない環境。

互いに心寄せあう文化。

そんな思い遣りをたくさん感じながら子どもたちが育つ世界になって欲しいと心から思います。

 

ミッションパート

佐藤真樹