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2021年12月14日

飯塚市の行政文書電子交付実証事業、次フェーズへ

株式会社カグヤ(本社:福岡県飯塚市、代表取締役:野見山 広明)、株式会社chaintope(本社:福岡県飯塚市、代表取締役CEO:正田 英樹)、株式会社ハウインターナショナル(本社:福岡県飯塚市、代表取締役:田中 貴規)、Gcomホールディングス株式会社(本社:福岡県福岡市博多区、代表取締役:平石 大助)及び飯塚市(飯塚市長:片峯 誠)の5者は、ブロックチェーンを活用した各種証明書等の行政文書に係る電子交付について実証事業を再開しました。
5者は、飯塚市が発行する所得証明書等の行政文書について、マイナンバーカードの電子証明書を活用し、スマートフォンやタブレットにより電子申請から電子交付までの一連の行政手続きを、行政文書の電子データの真正性を担保し、発行元のなりすましや文書の改ざんを防止した信頼性を確保した電子データで発行する社会実験を行います。この社会実験により、トラストサービスによる「公が認証し、信頼性が確保された電子データ」の根拠技術となる電子署名やタイムスタンプといった認証技術について市民への理解を図りつつ、将来的な行政文書のデジタル発行基盤となるトラストサービスの検証を進めます。
令和2年7月~令和3年3月の期間で5者は本事業の取り組みを行いましたが、その際のトラストサービスに係る実現課題(技術課題・法的課題を含む)と運用に向けた課題の発掘及び発掘した課題解決の取り組みをさらに進めます。
なお、社会実験は令和4年5月頃に予定しています。

 

1.実証事業の目的
行政手続きのデジタル化にあっては、手続きの簡略化・効率化などの市民の利便性向上だけでなく、ペーパーレス化による環境への配慮、2040年に訪れるとされる超少子高齢化社会の人手不足へ対応するための行政の効率化など行政・住民・証明書の利用先である団体(企業・学校等)のそれぞれにて多くの効果が期待されている。近年では、新型コロナウイルスの影響により非対面、非移動による新たな行政サービスとしてデジタル化の実現ニーズは高まっている。
飯塚市では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、文書の押印見直しを進めるハンコレス事業に取り組み、非対面、非移動に配慮した行政手続きの実現を検討してきた。所得証明書等の行政文書は、押印や特殊用紙を使用する事で発行元のなりすましや改ざん等を防止し、信頼できる文書として、金融機関や保険会社での手続きなど、様々な分野で活用されてきた。トラストサービスの活用が普及することで、紙の文書と同様に電子文書についても行政が発行した文書と認識され、市役所やコンビニ、郵送請求でしか取得が出来なかった文書は、いつでも、どこからでも紙の文書と同様の効果を持つ電子データを受取ることが出来るものとなる。利用者(市民)が電子データを正しく取り扱うことができ、電子署名やタイムスタンプが付与された文書を正しく認識することで、安心安全なデジタル社会が実現される。本実証事業は、トラストサービスを活用したデジタル社会の実現に向け、トラストサービスに係る課題となっているセキュリティが担保されるネットワークの構成整備と法的課題に対する規制サンドボックス制度※の活用に取り組むことで、運用に向けた課題の発掘及び発掘した課題解決の取り組みを進め実用化を目指す。

 

2.令和3年度の実証事業について
令和2年度(昨年度)の実証事業では、証明書発行サーバと住民情報システムの接続(最新情報を基にした証明書対応)について、期間内での高度なセキュリティ確保の調整が困難と判断し、実際の住民情報では無く、ダミーデータによる、社会実験を行った。
令和3年度の取組においては、それらを考慮したトラストサービスを構築するため、次の3点に取り組み、証明書の交付要求に応じ実データにより作成された証明書の交付を可能とするネットワーク構成にて実証事業を目指している。
① マイナンバー利用事務系(住民情報システム)よりLGWAN(LGWAN-ASP)を経由し、インターネット環境へ接続するセキュリティが担保されるネットワーク構成としている。
② 国がデジタル社会を早期に実現するため、安全・安心で利便性の高いデジタル社会の基盤であるマイナンバーカードの利活用を図っていることから、今回の実証事業では、証明書の交付者を特定する手段として電子証明書のマイナンバーカードのシリアルナンバーを活用することとしている。
③ 実際の住民情報等を利用することから、規制がかかる法令について内閣府の規制サンドボックス制度の活用を視野に入れて確認を進める。

 

3.社会実験の概要
社会実験では、ブロックチェーン技術を基盤としたトラストサービスを活用した所得証明書等の行政文書のデジタル発行を実施し、行政文書の真正性や信頼性、さらには参加いただく方々が正しい操作方法により自信を持って電子データを扱うことが出来るか(情報リテラシー)を検証する。
一連のデジタル手続に係るトラストサービスを㈱chaintope及び㈱ハウインターナショナルが、行政文書の作成をGcomホールディングス㈱が開発を担当する。
トラストサービスの基盤となるブロックチェーン技術は、改ざん耐性に優れた特徴を持ち、電子署名やタイムスタンプの改ざん耐性を担保し、電子データの信頼性を確保し、行政になりすました行政文書や改ざんされた行政文書の流通を防止する確固たる仕組みを提供する。それ故、トラストサービスを正しく理解し、正しく運用する情報リテラシーの醸成が求められる。社会実験では、市民参加を促し、トラストサービスへの理解を広げるだけでなく、情報リテラシーに最大限配慮したシステム構築を目指す。

 

4.社会実験のその先へ
行政のデジタル化に向けて、新たな行政サービスを全国へ提案する機会にしたいと考えている。住民票の写しや所得証明書など、個人情報を含む文書から、簡略的な通知文書など行政文書は多岐にわたる。トラストサービスは、確かに組織(行政)が交付した文書で、データの存在証明・非改ざんの保証、データの送達等を保証する基盤であり、あらゆる文書の電子交付を実現する新しいインフラである。行政のデジタル化だけに留まらず、利便性の向上やペーパーレス化、業務の効率化など地域社会を豊かにするプラットフォームとして期待される。持続可能な社会を実現するため、2025年までの社会実装を目指し、検討を進める。

 

※規制サンドボックス制度

規制のサンドボックス制度とは、IoT、ブロックチェーン、ロボット等の新たな技術の実用化や、プラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、新しい技術やビジネスモデルの社会実装に向け、事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく制度。
出典:首相官邸 成長戦略ポータルサイト「規制のサンドボックス制度

 

昨年度実証事業についてはこちら
行政文書のデジタル化に向けた実証事業を、飯塚市と共に実施

 

◆福岡県飯塚市、ブロックチェーン活用の行政文書電子交付に係る実証事業を発表 | あたらしい経済 (neweconomy.jp)