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聴福庵

古民家甦生の取り組み

自社農園でのお米づくりや野菜づくり、社内ガーデンや天然酵母パンづくりなどを通して「生き方」を学んでいます。

暮らし

風通し

空気も乾燥し、朝歩く道のりの景色も香りも
随分と変わってきました。

 

冬らしさを感じられるのもこの季節ならではですね。

 

日本の住宅事情を見てみると、
平均的な住宅の耐用年数は27年とあります。
イギリスでは75年アメリカでは44年とある中で
何故日本ではこれほど短いのか。

 

これには、減価償却などの税制度や、
木造から鉄筋への建て替えニーズの増加など
社会の変化というものも数字に表れる原因となっていますが、
もう一つ大きい原因に家の建て方にあるようです。

 

木造住宅はそもそも非常に長く使える材料だそうです。
建築後1300年経っている法隆寺の昭和の大修理を行った西岡常一棟梁の著書には
1400年経ったヒノキをカンナで削ると新本と同じ香りがしたことや
1200年前のヒノキの強度実験を行った結果、
新品と同じ強度があることが書かれています。

 

ヒノキは切断後200年後に最も強度が高くなり、
そこから徐々に強度が下がっていくそうです。

 

1200年経ってようやく切断時の強度にまで下がるといってもよいのかもしれません。

 

それほどの材質を持ちながらも耐用年数が短い理由には

 

① そもそも100年以上を想定して建築されていない
② 断熱・密閉が木材の腐食を早めてしまう
③ 日本の風土にあった木材が使用されていない
④ 木材を支える釘やネジの耐久年数が低い

 

安く早く作ることを前提に安全性を追求していくと、
今までの日本建築が持っている智慧を使いません。
いくら良い素材があっても風通しの悪さが腐らせてしまうんですね。

 

釘も昔は鉄を何層にもして打って、
さびが内部にまで入り込まないように作っていましたが、
現在は存在していません。

 

大量生産大量消費の選択を自然と取ってしまう
そんな社会になってしまっているわけですが、
資源もお金も消費し続ける暮らしを
なるべく少なくしていきながら、子どもたちに残していきたい
そんな思いが湧いてきます。

 

風通しということがどれほど大切なことか。

 

そのことを今、実感しています。

 

聴福庵では土葺きの瓦葺を行いましたが、
この屋根瓦も雨は通さずとも風通しが保証される智慧があります。

 

その智慧を聴福庵での暮らしの実体験を通じて
今の暮らしにどう活かしていくのか。

 

子どもたちにどんな暮らしを残していけるのか。

 

聴福庵での実践から学んでいきたいと思います。

 

 

ミマモリスト
眞田 海


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