今日のカグヤクルー日記

クルーそれぞれの理念の実践や気付きを交代で掲載しています。

2015/02/10

「おやつ」

こんにちは。女将です。

節分には豆撒き。
最近では関東でも恵方巻が
メジャーになりましたね。

巻物と言えば子どもの頃、
よく母が“おやつ”に
海苔巻を作ってくれました。

その海苔巻には具は入っておらず
作り方も簡単で、制作時間わずか20秒。

海苔一面に、広げたご飯の真ん中に
醤油をツツツッと垂らし
くるくるっと巻く。これだけ。
でもこれが不思議と
たまらなく美味しかったのです。

お腹を空かせた、育ち盛りの子どもを想う
母心が編み出した、究極の時短料理だったのでしょう。
待たせることなく、夕飯までのしのぎとして
最高の即席おやつでした。

多くの食が溢れる現在なら
そんなもの、パンでも何でも
世の中にはもっと色々あるじゃないかと
思われるかも知れませんが、
母の拘りなのか、我が家の毎日のおやつは
ほとんどが手作りだったのです。

しかも、そのおやつは
バラエティーに富んでいて、
キュウリ漬丸々1本とか、
トマトに砂糖をかけただけとか・・・
そう言えば、「究極のお好み焼き」
というのもありました。

小麦粉をお湯で溶き、卵とみじん切りの長ネギ、
紅生姜を混ぜフライパンで焼くだけ。
そして味付けは何故か醤油。

そうです。
絶対にお好み焼きではありません。
しかし母は毎度、お好み焼きと称し
作ってくれました。
そのため、上京して初めて
本物のお好み焼きを食べたときには
具材のキャベツに心底驚き、
それが当たり前ということに
純真な心は打ちのめされました。

母のおやつ武勇伝は
尽きることがありませんが
彼女の名誉のために申し上げておきますと、
母は年に1回くらいは気が向いたときに
ドーナツやプリンなども作ってくれました。
しかもドーナツは本当に絶品で、
これを上回るドーナツには
まだ出会ったことありません。

いずれにしても、あの一風変わったおやつ達は
大人になった今でも、鮮明に記憶に残っていて
時々、無性に食べたくなるのです。
世の中的には到底容認できない
「究極のお好み焼き」でさえ、
私の中ではやっぱりお好み焼きとして存在し、
たまに記憶の中のレシピで作ってみるのですが
どうにも一味違う気がします。
もしかすると母が作ったおやつには
食材だけでは補えない特別な隠し味が
何かあったのかも知れません。
そして味は違えど、そのおやつを食べるとき
無意識に顔がほころんでしまうのは
母の特別なレシピだからなのかも知れませんね。

ミッションパート
佐藤真樹