今日のカグヤクルー日記

クルーそれぞれの理念の実践や気付きを交代で掲載しています。

2014/09/03

「時間の計り方」

朝の出勤時。
約束の時間より
40分以上早く駅には着いたものの
初めて降り立つ場所、工事中の駅構内。
簡易的な案内板を辿りながら
ようやく駅の外へ。

持参した地図にはない風景が
目の前に広がっており、
明らか出口を間違えた様子。

約束の時間が迫る中、
誰もが先を競うように
足早に行き交い
とても声を掛けられる
雰囲気ではありません。
私は焦りと苛立ちに泣きそうでした。
そんな中、スーツ姿の雑踏を悠々と歩く
ひとりのご婦人に目が留まり、
私は透かさず道を尋ねました。

どうやら目指すビルは、地下道をくぐって
反対側へ出なければいけないようで、
そのご婦人は、分かりづらいからと
躊躇することなく、
同行を申し出てくださいました。
なんでも小学校時代の
同窓会にいらっしゃる途中とのことで
日本がまだ貧しかった当時のことを
懐かしそうに話してくださいました。
時間にして2、3分のことでしたが、
話すうちに気持ちが徐々に
和らいだのを覚えています。

別れ際、同窓会の会場をお伺いすると
なんと、私が声を掛けた出口の
目の前にあるホテルとのこと。
この方は見ず知らずの他人のために、
歩く必要もない道を
わざわざ往復して下さったことになります。
申し訳なさに何度も何度も頭を下げる私に
そのご婦人は、微笑んでおっしゃいました。

「気になさらないで。
一生のうちの2分や3分、
どうということはないでしょ?」

目の前にある時間だけを見てしまうと
何分しかないとか、たった何分というように
まるで時間と
鬼ごっこでもしているかのような
そんな気分になりがちですが
一生という長いスパンで考えれば
1時間でもほんの僅かな時間で
あると同時に、たった1分でさえも、
たくさんの奇跡に満ちた時間で
あることに気付かされます。
確かに人それぞれに時間の持つ意味も、
その価値も違います。
だからこそ、
ただ過ごしてしまうのではなく、
瞬間、瞬間の重みをしっかりと受け止め
その意味を大切にしたいと思います。

もう何年も前の出来事です。
今でもその言葉は心のなかに生きています。
日常に忙殺され、心が急いているとき
理由もわからず気持ちが焦っているとき
心をフラットにしてくれる魔法の言葉。

「大丈夫。一生のうちのたった2分。」

ミッションパート
佐藤真樹