ミマモリストの実践

ミマモリング=心を寄せること。

カグヤでは一緒に働き、一緒に生きる中で、お互いに心を寄せ、思いやることの大切さと、そこで生まれる感動や豊かさを大切にしたいと思っています。ただ仕事をするのではなく、自分の心の環境がそのまま仕事に表れるからこそ、「心を寄せること」を大切にしていきたい。そんな「ミマモリングを実践していく人々=ミマモリスト」の取り組みをご紹介いたします。

2016/04/05

「初心」

今日はお客様の園での理念研修にお伺いさせて頂きました。

二日間にわたり、
創始理念や経営理念、保育理念について学ぶ研修。

毎年毎年、新年度を迎えるにあたり、
「初心」を思い返すという事は、
私自身も本当に大切な事だと感じます。

人は気が付けば、物事の大変さや掛かる手間暇に
心を失くしてしまうものです。

私自身がそうです。

自分でなりたいと決めたこの仕事でも、
自分がやりたいと思った生き方でも、
気が付けば「なぜそうしたいと思ったのか」という
その時の想いの強さや深さを忘れてしまいます。

また、先輩になったり、ベテランになれば、
自分の能力や立場を過信し、「初心」を忘れてしまいます。

だからこそ、初心を思い返す機会が大切なのだと感じます。

初心について、世阿弥の書「花鏡」の結びとして

「しかれば当流に万能一徳の一句あり。
初心忘るべからず。この句、三ヶ条の口伝あり。
是非とも初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。
老後の初心忘るべからず。この三、よくよく口伝すべし」

と書かれています。

「ぜひ初心忘るべからず」

若い時に失敗や苦労した結果身につけた芸は、常に忘れてはならない。
それは、後々の成功の糧になる。若い頃の初心を忘れては、
能を上達していく過程を自然に身に付けることが出来ず、
先々上達することはとうてい無理というものだ。だから、生涯、初心を忘れてはならない。

「時々の初心忘るべからず」

歳とともに、その時々に積み重ねていくものを、「時々の初心」という。
若い頃から、最盛期を経て、老年に至るまで、その時々にあった演じ方をすることが大切だ。
その時々の演技をその場限りで忘れてしまっては、次に演ずる時に、身についたものは何も残らない。
過去に演じた一つひとつの風体を、全部身につけておけば、年月を経れば、全てに味がでるものだ。

「老後の初心忘るべからず」

老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが「老後の初心」である。
老後になっても、初めて遭遇し、対応しなければならない試練がある。
歳をとったからといって、「もういい」ということではなく、
其の都度、初めて習うことを乗り越えなければならない。これを、「老後の初心」という。

どんな時も、それぞれの時期にあった「初心」があるのだと
世阿弥から教えて頂いているように感じます。

そして、その「初心」は忘れてしまうものだからこそ、
思い出す機会を作るという事。

その大切さを改めて感じる理念研修となりました。

その道を歩もうとする人々の「灯り」となる初心。
日々振り返ることで思い出すことが出来ます。

このブログも先日で1年を迎えました。
毎日振り返る機会があるというのは、本当に有難い環境です。

環境に育てて頂く有難さを感じつつ、
初心のままに生きる豊かさを味わっていきたいと思います。

ミマモリスト
眞田 海