見知らぬ携帯番号の相手は警察でした。
心当たりはないものの
どぎまぎしながら尋ねると
盗難届が出されていた自転車が
見つかったとの知らせ。
もう一年半以上も前です。
とうに諦めていました。

鍵をかけていたはずの相棒が
駐輪場から連れ去られたときは
何がなんでも探し出すぞと
必死になりましたが
ひと月、ふた月と経つうち
自転車を使わずに済む生活を思案し
ついに街中駅近の部屋に越したのです。

引き取り当日は朝から生憎の雨。
発見場所までは地図の上では
徒歩30分くらいかと思われました。
歩けなくもないかと覚悟していたところ
大変だからと警察の方が車で
迎えに来てくださることに・・・
その優しさがとても有り難く
心の底からほっこりしました。

でも忘れていたんです。
警察車両は概ねパトカーだということ。
道行く人々の好奇の視線のなか
普段ご縁のない赤色灯の点いた車から
雨の中わざわざ降りて
後部座席のドアを開けてくださった時は
正直、驚きました。
私のイメージにあったお巡りさんは
偉そうに威張っていて
態度も口調も横柄だったからです。
今時分のお巡りさんは
こんなにも気を遣うのだと
少し気の毒にもなり ましたが
その心遣いに、昔から日本に根付く
思い遣りの文化が見えたようで
とても嬉しくなりました。

しかもこれは、たくさんの想いを知る
素晴らしい出逢いの始まりだったのです。
でもそれは、また別の機会に・・・。

ミッションパート
佐藤真樹