妬みのマネジメント

では、妬みのマネジメント法はないのでしょうか?

人が集まるとどうしても妬みが生まれてしまうのであれば、妬みの感情をマネジメントしたり、うまく活用したりする方法を知りたいところです。どんな人でも妬みを持ってしまうリスクはありますが、妬みが問題になってしまう人と、そうでない人は何が違うのでしようか。

実は、妬みには2種類あることがわかっているそうです。「悪性の妬み(malicious envy)」と「良性の妬み(benign envy)」です。悪性の妬みは、敵意や憤怒を中心にしてつくられている不快な感情です。いわゆる“ねたみ、そねみ”です。一方、良性の妬みは、“羨望、羨む”というあこがれの感情です。どちらも上方比較であるという点においては同じです。自分より優れている相手を見て、「どうしてあの人だけ恵まれているんだ!あの人さえいなければいいのに…」と思うのは悪性の妬みです。自分より優れている相手に対してであることは同じでも、「自分もあの人みたいになりたい!」と思うこともあります。これが、良性の妬みです。

ちなみに、妬みと嫉妬の違いは、妬みは2人あるいは2つの集団の間で成り立つのに対して、嫉妬は3人の人物が登場するとき(自分が上司に注目され、チャンスを優先的に与えられてきたはずなのに、異動してきた同僚に上司の関心が向いたときなど)に経験する感清です。

自分にない「良いものを持っている相手に目が向くのは当然だと言います。そのときに、「あの人さえいなければいいのに」と、相手を排除しようとする志向になるのか、「あの人のようになりたい。あの人と一緒に仕事ができるといいな」と、相手を認めて協力的な志向になるのか。これが2種類の妬みの質的な違いです。

この違いは、次の心のステップとして、相手とどのようにかかわるかという動機づけに強く影響すると言われています。たとえ妬みを抱えたとしても、必ず非生産的な行動に導かれるとは限らないと言います。むしろ自分を奮起させる原動力に変え、活力にする場合もあるでしょう。

そこで、山浦氏は、次に、心の持ち方、感情の向け方とともに、いかに自分自身の生産的な行動の起爆剤にできるかを考えていきます。非合理的な行動の源泉であった妬みの感情から、機能的な側面を引き出す方法を探っていきます。

「嫉妬してしまった」と、誰もがふと気づく瞬間があるかもしれませんし、もともと「嫉妬深い私」を自覚している人もいるかもしれません。そのような瞬間、あるいはそのようなタイプの人が、職場で少しでも心穏やかに、そして仕事を前向きに進めていくための方法が何かないものでしょうか。山浦氏は、こんな例を出しています。

ロックバンド・シャ乱のボーカリストを経て、作曲家やプロデューサーとして活動するつんくさんは、メジャーデビュー直後、なかなかヒット曲に恵まれなかったそうです。一方、同じ年にデビューしたミスター・チルドレンの桜井和寿さんは、一足先にミリオンセラーを達成し、トップバンドの座へと一気に駆け上がりました。つんくさんはテレビ番組で、憧れとジェラシーを抱いていたと打ち明けており、負けたくないと、もがく中で、ライバルに勝つための方策を編み出して成長していったと自分自身を分析しているそうです。