出会ってすぐ

大学生を対象にした実験的な調査では、関係性が時間経過とともに発展していく様子が興味深く捉えられているそうです。この実験では、1チーム当たり学部学生5人前後で構成されています。大学院生たちが、各チームのリーダーとなり、学部学生のメンバーそれぞれに評価をフィードバックするという役割を担います。取り組んだ課題は、分散動的意思決定と呼ばれる、チームで取り組むコンピューターシミュレーションです。刻々と変化する局面の中で、規制地域を守るために協働するという課題です。

その結果、出会って間もなく、リーダーと各メンバーの間には、それぞれ固有の関係性が形成されていくこと、それは8週間が経過するまでの間にほぼ安定し、リーダーもメンバーも類似の認識・評価になったことが報告されたそうです。

これら3つの実験のいずれの結果を見ても、関係性の形成にかかる時間は、勤続(予定)年数や同じ上司との共働年数からすれば、非常に短い時間だと言えます。だからこそ、このあっという間に過ぎてしまう出会いの段階での、職場づくりと関係づくりのための初期投資が重要になると山浦氏は言うのです。最初に提案したとおり、上司と部下は、出会った瞬間から資源の交換を始め、関係性は比較的早いうちに形成され、その後安定していくようです。

先の大学生たちへの調査の結果にある通り、上司と部下は出会ってすぐに資源交換を始め。もしかすると、その他の見えない情報もどこかで感じとりながら、職場には多様な関係性の質ができ上がっていきます。つまり、この資源が一人として同じではないので、10人いれば10通りの影響のカタチがあり、100人いれば100通りの関係生が存在することになります。このカタチをつくっていくプロセスも、一定の時期になると安定すると言われているのです。大半は、「あの上司、この部下のことはおおよそ知っている」という、能力や人柄に関する情報に基づいた関係性で落ち着くようです。

ときには、自分の分身であるかのように熟知して、共感し、情緒的に結びつく関係性も少数でありながら形成されると言います。この形成に手間がかかったとしても、こういった関係性が一定レベルで形成されたならば、相手の行動や考えていることの予測が立ちやすくなると言います。つまりその予測が立てられるようになるまでの初期投資をしておけば、その後は、より

少ない負担で適切に対応することが可能になります。

ただし注意しなければいけないのは、こうして形成された人間関係の質のグラデ1ショ

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いうことです。少ない負担で適切に対応することが尾安納になるというのです。

ただし、注意しなければいけないのは、こうして形成された人間関係の質のグラデーションが、一つの職場を分断し、私たち一人ひとりの仕事人生を決めるものになってしまうということだと言います。リーダーと良好な関係にある部下は、身内(内集団)として存在し、それ以外の部下は同じチ―ムのメンバーでありながら、よそ者(外集団)として存在する、という棲み分けがなされるのです。

出会ってすぐ” への4件のコメント

  1. 時に、モチベーションの差は集団に軋轢をもたらすこともあるのだと思います。本文にも、「形成された人間関係の質のグラデーションが、一つの職場を分断し、私たち一人ひとりの仕事人生を決めるものになってしまう」とありました。人間関係は、非常に流動的で波があるように感じています。まるで人の心のありようが、そのまま表出しているようです。そのような組織の中で、リーダーとなる人の立ち振る舞いや、見通しと勇気を持って将来への準備や投資をできるかが鍵となっているようにも思います。出会ってすぐの関係性がその後も長く続くという背景があるからこそ、新人歓迎会等の交流文化があるのかなとも感じました。

  2. 「だからこそ、このあっという間に過ぎてしまう出会いの段階での、職場づくりと関係づくりのための初期投資が重要になると山浦氏は言うのです」とありました。人は最初の印象で、その後もその人を判断してしまうということはあるのかもしれませんね。その印象が間違っていたと気がつくこともよくありますが、それに気がつくまでにはそれなりの時間も必要なんだろうなと思います。「リーダーと良好な関係にある部下は、身内(内集団)として存在し、それ以外の部下は同じチ―ムのメンバーでありながら、よそ者(外集団)として存在する、という棲み分けがなされるのです」とありました。なんだか、派閥と言われるものと似ているのかもしれませんね。自然と自分の価値観に合う人を選別してしまう感覚でしょうか。こうなってしまう気持ちも分からなくない分、意識して気をつけなければと思います。

  3. 職場の人間関係は職場の雰囲気を左右してしまいます。互いに良好な関係を築くためには「ときには、自分の分身であるかのように熟知して、共感し、情緒的に結びつく関係性」の構築が望まれます。そして、共感し、情緒的に結びつくだけでなく、互いに励まし合う関係性の構築も臨まれます。根拠がなくても「大丈夫、大丈夫」と声を掛け合う関係はホッとしますね。「ありがとう」と言い合ったり、時には「ごめんね」と言ったり。保育室の子どもたちもこうした声かけをしていますね。私たちが職場で良好な関係を築ける鍵はこの乳幼児期の子ども同士の関わりの中に潜んでいるのではないでしょうか。言葉が出なくても表情で励ましたり励まされたり。乳児期からの関わりが大人となって職場における人間関係を意識した際生きてくるのではないのだろうかと推察されます。なぜ子ども同士の良好な関わりが大切なのか。その答えが組織の中の人間関係につながるような気がしてなりません。

  4. 「上司と部下は出あってすぐに資源交換をはじめ、もしかすると、その他の見えない情報もどこかで感じとりながら、職場には多様な関係性の質が出来上がっていく」とあります。確かに、その人がどういう人で、どういったところを求めているのかという一定の価値観が分かると、その集団での目的意識は自然と共有されていくのだろうと思います。実際のところ、「チームで動く」ということを考えるとどのように動くかといった「アプローチ」よりも、どのように考えるかという「理念や見通し」といったものが共有されている方が多様性があり、柔軟性のあるチームになっていくのだと思います。そのため、リーダーとしてのあり方として必要なことはこういった考えの共有にこそ力点を置くべきなのでしょうね。つい口出しをしてしまうことがありますが、そのときにおいても、なにをはなすのか、どういった距離感を持つべきなのかを捉えていく必要があります。ただ、確かに人間関係の質のグラデーションはどうしても起こってしまいますね。上司も部下も人間であるがゆえに合う合わないといったものが出てくるでしょうし、すみわけというものが出てくるのも分かります。そういった関係性をどう調整していくのか、やはりなかなかに難しい問題です。だからこそ、多様性を認め合うというような風土を作っていかなければいけなのですね。

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