ものの見方のレベル

ハート氏は、これまで書いてきた子どもの他者理解の発達は、他人の立場に立ったものの見方ができるようになる、という子どもの知的な発達と論理的な能力の面に限られていると信じていると言います。人々が受け持っているいろいろな役割や、それにともなう権限についての理解力は考慮に入れていないというのです。これらの要素は、子どもが他人の目でものを見ることを適切であると考える度合に影響しているに違いないと言います。例えば、子どもがグループのなかの誰かが警官であることを知り、そしてまた警官はよくないことをしている子どもを罰するものと考えているとすれば、子どもがその人物を個人として理解する知的な能力を踏みにじってしまうかもしれず、それが参画しようとする気持ちを弱めることにつながるかもしれないと考えるのです。

こうした理論が、どのように子どもたちをプロジェクトへと呼び込むかを理解するには、ものの見方の「レベル」、親しさの捉え方、仲間関係、そしてリーダーシップがどのように関連しているかを見ることが有益であると言います。レベルとの関連をハート氏は、以下のように示しています。これは、社会的な視点獲得の発達レベルと、それらの社会的な関係における反映のされ方を、1980年のセルマンの研究にならって表しています。ただし、これは、アメリカ合衆国での研究に基づいており、おそらく日本のような集団主義的な文化よりも、比較的個人主義的な伝統のある英国系ヨーロッパ文化と密接な関係があると注意しています。

まず、「見方(視点)を調節する能力の発達段階」です。レベル0(おおよそ3~7歳)は、「自己中心的、あるいは未分化な見方、他者の視点が自分自身の視点から分化していない」段階です。レベル1(おおよそ4~9歳)では、「主観的見方だが、分化した見方、物の見方が人によって違うことがわかる」段階です。レベル2(おおよそ6~12歳)では、「自己内省的、あるいは相対的な見方、自分の考えや感情を他人がどう見ているかに気付く」段階です。レベル3(おおよそ9~15歳)になると、「第三者的見方、あるいは相互共通的見方、中立的見方ができるようになる」段階です。レベル4(おおよそ12歳~成人)になると、「社会的・綿密な見方、何が社会にとってよいことなのか、法律的、道徳的見方ができる」ようになります。

それでは、各レベルにおける親密な友だち関係はどのように発達するのでしょうか?ステージ0では、「短時間、身体を通したかかわりを持つ」で、ステージ1では、「一方的に助けてもらう。例えば、一緒に好きなゲームをしてくれる人を友だちと思う」です。ステージ2になると、「気が向いたときや、何か事件・問題が起こったときだけ協力。喧嘩で関係が壊れる傾向がある」、ステージ3は、「親密な関係ができ、共感ができる。孤独でない関係。この段階では所有欲と嫉妬がときおり特徴的に見られる」。ステージ4では、「自律的であり、かつ相互依存的でもある。すなわち、この段階の関係性は、柔軟で状況に応じて変化していく」です。

ものの見方のレベル” への6件のコメント

  1. ものの見方レベルというものが存在するのですね。確かに、人によって物事の捉え方は異なり、コップに半分も水が入っていると見る人・半分しか入ってないと見る人がいるように、これまでの経験値だけでなく、深層心理レベルでの判断基準が関連しているようにも思いました。また、レベルが4つに分かれていることや、心の理論の発達が進んでいく様子など、6Csと似通ったものを感じました。そして、これらは「親しさの捉え方、仲間関係、そしてリーダーシップがどのように関連しているかを見ることが有益である」ともあり、実際に自分の身に起こっている事象と関連付けることで、よりレベルが鮮明になっていくのですね。他者を通して自分の行いを振り返る視点は、やはり重要になるだろうなぁと感じます。

  2. 『レベル0(おおよそ3~7歳)は、「自己中心的、あるいは未分化な見方、他者の視点が自分自身の視点から分化していない」段階です』とありました。3歳から7歳までがまだ他者視点と自分自身の視点が分化してないと考えられているのですね。藤森先生から最新の研究を教えてもらっている身からするとやはりこのあたりは違和感を感じてしまいます。ここでの他者視点がどのようなことを言っているのかまだしっかりとは理解していませんが、乳児期から心の理論が発達しているということからすると、かなり違和感を感じるような内容ですね。『(おおよそ4~9歳)では、「主観的見方だが、分化した見方、物の見方が人によって違うことがわかる」段階です』とあるように、4歳から9歳でやっとそのような見方ができるのかと思うと、どういうことなんだろうと思ってしまいます。

  3. 「子どもたちをプロジェクトへと呼びこむかを理解するには、ものの見方の『レベル』、親しさの捉え方、仲間関係、そしてリーダーシップがどのように関連しているかを見ることが有益である」とあります。そのうえで、各レベルにおける親密な友だち関係の様子を見ると、考えさせれられるものでした。それぞれの段階を見て、人間関係やプロジェクトが進んでいくことが可能かということの指標を見ていくと、これも子どもだけではなく、大人にも同様に適応できるものであるように思います。こういったマネジメントやリーダーシップにおいては本当に大人も子どももありませんね。見守る保育において「園長先生に見守られているから、子どもたちも見守れる。」ということを聞いたり、自分も実感したりすることがありましたが、こういった環境が大人もあることで、子どもにおいても同様の関係性が生まれてくるのかもしれません。社会における大人の構造も考えていく必要がありますし、子どもに向き合う関係性においても同様のことが言えるのだろうと思います。                  

  4. やはり「日本のような集団主義的な文化よりも、比較的個人主義的な伝統のある英国系ヨーロッパ文化と密接な関係がある」ようなレベルやステージに関する見解ですね。「「見方(視点)を調節する能力の発達段階」です。レベル0(おおよそ3~7歳)」というところから少し違和を感じます。「レベル0」が「おおよそ3歳~」かぁ。「人は生まれながらにして教育を受ける権利を有する」“Starting Strong”。0歳から3歳までは考慮されないのか、あるいは「おおよそ3歳」の中に包含されているのか。些末な事かもしれませんが、気になりました。そして「レベル4(おおよそ12歳~成人)になると、「社会的・綿密な見方、何が社会にとってよいことなのか、法律的、道徳的見方ができる」ようになります。」とありますが、「集団主義的な文化」を有する日本にもこのことは当てはまるのでしょうか。そうだ、と断定できない、いくばくかのもどかしさを感じます。

  5. 「見方(視点)を調節する能力の発達段階」について、興味深くも頭で噛み砕くのが難しく…、自分の知識経験の乏しさに歯痒くなります。この0~4までのレベルというのは、各レベルで被っている年齢があるのですね。要するに学年や年齢で定めるのではなく、おおよその年齢としての目安はありつつも子によって段階を踏むスピードは異なっている。この内容が、あくまでもアメリカの研究に基づくものであるとしても、保育の中で幼児の子ども達(3~6歳)と接する際のヒントになりうるようにも思いました。レベル3「第三者的見方、あるいは相互共通的見方、中立的見方ができるようになる」以上のことは幼児期に取得することは難しいということでしょうか。

  6. 「子どもたちをプロジェクトへと呼び込むかを理解するには、ものの見方の「レベル」、親しさの捉え方、仲間関係、そしてリーダーシップがどのように関連しているかを見ることが有益である」とありました。特に子どもたちの「ものの見方のレベル」という形であまり意識したことはありませんでしたが、確かにどのように見えているかによって、友達関係も大きく変わりますね。保育においてどのように環境を用意するかという段階において、子どもたちがどのように見ているかというのは、気を付けなければいけませんね。あらためて、普段おかれている環境の奥深さを感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です