メタ認知スキル

今後もAIの発達が続くとすれば、これから社会に出る生徒にとっては、創造性を身につけていくことが、これまで以上に強く求められます。なお、コンピテンシーの統合的な性格ゆえに、認知的スキルについても、それだけを用いるのではなく、社会・情動的スキルや態度及び価値観と組み合わせて活用していくことが重要なのは当然であると言います。例えば、批判的思考力について考えると、そこには一定のアイディアや解決策に対して疑問を呈したり、評価を行うことが当然に含まれてきます。また、その前提として、自分の考えを客観的に提えることも必要になるし、社会的・文化的なコンテクストに照らして妥当かどうかを判断することも求められるため、社会・情動的スキルや態度及び価値観もかかわってくるのです。

DeSeCoにおいても「省察・振り返り」が重視されていましたが、特に多くの「21世紀型スキル」の提案において取り上げられているのが「メタ認知」に関することです。ここで言うメタ認知とは、「自らの学習について自覚しており、また、コントロールしている状態」とされており、自らの知識やスキル、態度及び価値観を、どれだけ身につけているか、あるいは、それらをどのように活用しているか、といった状況を認識する能力が含まれます。こうした状況を自分で認識することで自らの能力を様々な状況に適用できるようになるのです。前述のフレイやバーガーらによるスキルの分類では、メタ認知スキルは「非ルーティン的な分析的スキル」として整理されています。

メタ認知スキルが重要視されるようになっているのは、それが学習していく過程に影響するからです。例えば、物事を批判的に考えていくためには、自分がその事柄をどの程度理解しているかとか、批判的に思考していくためのモティベーションをもつことができているのか、といったことを自分で認識することが必要になります。すなわち、メタ認知は、様々なコンピテンシーを発揮していくための前提とも言えるのです。とりわけ、学習内容が高度化する中等教育以降の教育においては、推論に基づいて考えたり、自己調整や振り返りが重要になってくることから、メタ認知のスキルが特に重要になってきます。

なお、 Education2030プロジェクトの初期においては、メタ認知スキルについては認知的スキルとは別のものとして捉える案も検討されたそうです。例えば、Bialik & Fadelによって2015年に示された21世紀型スキルのモデルにおいては、メタ認知はスキルを含めた全てのドメインを通底するものとして位置づけられています。しかしながら、その後の議論においては、メタ認知スキルは、あくまでも認知的スキルの一環であることから、これを別異に扱うべき合理的理山はないとして、メタ認知スキルも認知的スキルに含まれるものとして整理されたのだそうです。

こうしたメタ認知や学習方略は、生涯学習におけるキー・コンピテンシーの1つとして理解されていますし、ヨーロッパの多くの国では教育の目標として位置づけられているそうです。こうしたスキルは、これからの時代の職業人にとって必要なスキルとなってくると考えられています。