コンテンツの追加

新しいニーズに応えるために、新しいコンテンツを追加するというのは一つの考え方です。しかしながら、コンテンツを増やすためには、その導入効果や導入にあたっての教師の準備状況、生徒の学習時間やカリキラム全体の分量など、慎重な考慮が必要だろうと言います。そこで、金融教育に関する例を紹介しています。2008年の世界金融危機をきっかけとして、一部の国や地域、学校において、金融リテラシーに関する授業が行われるようになったそうです。そこで、PlSA2012において、金融リテラシーについて調査しました。すると、金融リテラシーについての評価を行ったこの結果を見ると、PISAにおける金融リテラシーの結果と、学校において金融リテラシー教育を受けているかどうかとのを間には、相関関係は見られなかったそうです。実際、スロバキア、チェコ、ベルギー(フランドル)では、 8割を超える学校で金融リテラシーを教えているにもかかわらず、より割合の少ない国と、スコアでの差はほとんど見られないことが明らかになっています。むしろ、最もスコアが高かったのは、金融に関する教育を行っている割合が低い上海(中国)という皮肉な結果になったそうです。上海の場合には、数学的な思考方法に熟達していて、確率や変化、リスクといった概念を十分に理解していたために、たとえ馴染みがない金融という分野の問いであっても、既有の知識を活用して妥当な解決策を得ることができたとも指摘されています。

ちなみに、日本では金融リテラシーの授業は行っていないようですが、では、日本における教科横断的な学習のための仕掛けには、どのようなものがあるでしょうか?

以前挙げたような様々な工夫は、日本においても既に様々な形で取り入れられているそうです。典型的には、 1998年・1999年に行われた学習指導要領改訂で導人された「総合的な学習の時間」は、教科横断的な学習を進めるための取り組みです。しかし、残念ながら、学力低下論争や、その後のいわゆる「PISAショック」による影響、「総合的な学習の時間」に向けた事前の研究や準備、周知活動の不足などにより、その意義が十分に理解されなかった部分はありますが、環境や国際、地域など様々なテーマに沿った学習を教科横断的に行うことで、既存の各教科科目の学習との往還関係の中で、それぞれの理解を深めていくという先駆的な取り組み事例であったことに対しての一定の評価はあるようです。

総合的な学習(探究)の時間の位置づけは、実社会・実生活上の課題を素材として、各教科等で学習した学問原理(ディシプリン)を統合的に活用していくものとされています。総合的な学習の時間を活用することによって、PBLやテーマ学習などを採り入れることは当然可能であるし、既にそうした実践事例も広く見られています。

こうした取り組みをカリキュラムのレベルで取り入れたことは、他の国と比べてもかなり早いものだったそうです。例えば、フィンランドでは2016年から2017年にかけて行われたカリキュラム改訂において、「現象学習」が義務化されているようです。この「現象学習」とは、生徒が興味のある具体的な現象を素材として、各教科で学んだことを統合的に活用していくことを目的としているものだそうです。その特徴として、「統合性」「真正性」「文脈性」「PBL(プロジェクト型学習)」「学習過程重視」などが挙げられているなど、総合的な学習の時間に極めて類似したものとなっているようです。