概念相互の関係性

こうしたキー・コンセプトやビッグ・アイディアは、一般に、各教科などにおける中核的な概念のことをいい、各教科の枠組みの中で想定されることが多いのですが、教科を越えた「メタ・コンセプト」や「マクロ・コンセプト」としても認識される場合も考えられます。カリキュラムにおいて、こうした教科横断的なキー・コンセプトやビッグ・アイディアを重視することで、教科横断的な知識についての理解も深まることが考えられるのです。

次は、「概念相互の関係性の特定」です。実社会・実生活上の課題は、様々な事象が複雑に絡み合っていることから、一つの学問分野だけでなく、複数の学問分野を越えて柔軟に対応していくことが求められます。カリキュラムの中に、そうした実社会・実生活上の課題を採り入れることで、生徒は、特定の学問分野を越えた多様な概念の中から、相互の関連性について学ぶことができるようになります。こうした工夫は、教科横断的な知識を身につけるうえでも有用と考えられます。

三番目として、「テーマに沿った学習」です。例えば、「環境」や「金融」、「安全保障」など、特定のテーに沿った学習も、異なる学問領域の相互関係を学習するうえで重要であり、教科橫断的な知識の習得に有用であると考えられると白井氏は言うのです。もっとも、そうした特定のテーマごとに科目を新設することは、カリキュラム・オーパーロードを加速することにもなりかねません。そのため、個別の領域に新しい科目を設定するのではなく、既存のカリキュラムの中に、こうしたテーマを広く学ぶことができる機会を入れ込むことで対応している国もあるようです。

4番目として、「教科科目の再編統合や新設」があります。教科横断的な学習を促進するための直接的な手段として、関係する教科を統合したり、新しい教科を設けることも考えられます。こうした新教科の設定や教科の再編は、「教科横断的な知s期の重要性を示すための戦略として用いられる」場合もありますが、一方では、カリキュラム・オーバーロードの問題が生じたり、他の教科との関係性の整理も必要なため、特定の教科を学習領域という形で再編するような事例もあるそうです。

5番目は、「プロジェクト型学習」です。生徒が一定の課題に取り組みPBLの場合にも、複雑な課題に取り組むために、様々な知識を活用することが求められます。そのため、カリキュラムにPBLを採り入れることも、教科横断的な学習の促進につながります。なお、一般にPBLというと、指導方法の一つとして理解されがちですが、ここでは、カリキュラム・デザインに対するアプローチとして考えられています。

他にも、既存の教科等を統合するアプローチとして、こんなアプローチも紹介しています。近年、よく聞くようになったSTEMです。科学(Science)、技術(Technology) 、エンジニアリング(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとったものですが、さらに、 STEMに美術(Art)やデサインなどを加えてSTEAMと呼ばれる場合もありますが、重要なのは、各学問分野における学問的な原理・原則を維持しながら、どのように領域間をつなげていくか、ということだと言います。例えば、2018年に改訂された日本の高等学校学習指導要領において設けられた「理数探究」も、数学と理科それぞれの学問領域を統合的に適用していくことを目指すものだそうです。