梯子モデル

生徒は親から多くのことを学びますし、また、親と一緒に学ぶこともできます。先行研究によると、責任感があって、学校と積極的に関係を結んでいる家族の場合、生徒の学習にとっても良い効果があるというし、親が生徒にかかわるほど、成績や社会的スキルの伸びが見られるといいます。

また、生徒のエージェンシーの発達に、周囲が影響を与える一方で、親や教師、友人たちなど周囲の人々のエージェンシーの発達にも、生徒が影響を及ぼすことになります。すなわち、共同エージェンシーとは、「生徒、親、友人、教師が、教育経験を通じて、自分たちの発達を双方向的に共同して律することであり、生徒のエージェンシーの発達が、周囲にとっても良い影響を与え、それが生徒にも還元されるという好循環を呼ぶことになるというのです。

共同エージェンシーのレベルを、ハートは、梯子モデルによって示しました。これは、コンセプト・ノートで紹介されていますが、生徒による意思決定への参加のレベルを8段階に分けて、それを梯子状のイメージ図によって示しているものです。

レベル1では、いわば「操作」の段階です。大人が自分たちの考えに基づいて生徒を操っているだけなのに、あたかも、それが生徒が考えた結果であるようにふるまわれている状態です。これがもう少しレベルが上がって、例えばレベル4になると、生徒がプロジェクトで一定の課題を課される場合でもプロジェクトにどのようにかかわっているのか、なぜかかわっているのか、といったことについて、少なくとも説明を受けて、わかっている状態になります。最も高いレベル8の状態では、生徒が主導しながら、大人とのパートナーシップの下で意思決定が行われるようになります。すなわち、「下段のほうでは、形ばかりのごまかしに過ぎない。中段辺りでも、基本的には大人が主導した状態にあるが、上段になると、大人とのパートナーシップを築きながらも、 子どもたちが主導した状態になっている」のです。

梯子なので、下から順に上に上がっていくイメージで作られているのですが、レベル順に整理してみます。

1、操作:大人が自らのプロジクトをサポートするために生徒を利用し、あたかも生徒の発案であるかのように見せかける。

2、装飾:大人が主導して実行することを、生徒が助ける。

3、見せかけの参画:自分たちの活動について、生徒は全くあるいはほとんど影響を与えることができない。

4、付与、情報共有;大人が生徒に対して仕事を割り当てる。ただし生徒がプロジェクトに対してどのように、また、なぜかかわっているのかについては、情報が与えられている。

5、相談・情報共有:大人が意思決定するが、生徒も必要な相談を受けたり、情報を与えられている。

6、大人主導:大人が主導するが、生徒も意思決定にかかわっている。

7、生徒主導:生徒が指導し、自らの方向性を決めている。

8、生徒主導:大人とのパートナーシップの下での意思決定。