認知的スキル

ラーニング・コンパスの整理では、スキルを①(メタ認知を含む)認知的スキル(批判的思考力、創造的思考力、学び方の学習、自己調整などを含む) 、②社会・情動的スキル(共感性、自己効力感、責任感、協働性を含む) 、③身体・実用的スキル(新しいICT機器の活用を含む) 、の3つに分類することとされています。白井氏は、これら、それぞれの分類ごとに順に説明しています。

まず、「認知的スキル」です。このスキルは、スキルの類型の第一です。認知的スキルとは、「言語や数字、推論や、獲得した知識の活用を可能にするような思考の方略の組み合わせ」とされており、認知的スキルの代表的な例としては、批判的思考力や問題解決能力、創造的思考力などが挙げられますが、白井氏は、これは伝統的に、学校教育において最も重視されてきたタイプのスキルだろうと言います。もっとも、言語化されているもの一口に認知的スキルと言ってもその内実は多様であり、言語化されていないものもあるだろうし低次の思考スキルから高次の思考スキルまでの幅もあるだろうと言います。また、ワーキング・メモリー(作業記憶)などの実行機能をどのように効果的に使うかということも、認知的スキルの一環として考えられるというのです。さらに後述するように、自らの知識やスキル、態度及び価値観などを認識する能力であるメタ認知スキルも、認知的スキルに含まれるものとして整理しています。

最初に述べているように、技術の発展は我々の社会に対して大きな影響をもたらしています。計算やタイピングなど、同じ動作を繰り返すようなルーティン的な仕事は、1980年代からオートメーション化により減少を続けています。一方では、非ルーティン的な仕事については、特に対人関係スキルや分析的スキルを要するような仕事は、急激に増加していまあす。その背景にあるのは、ルーティン的な仕事はコンピュータに代替されるようになった一方で、創造性などの非ルーティン的な認知的キルであるとか、社会、情動的スキルを要するような仕事については、コンピュ一タによる代替はできないため、むしろ雇用機会が増えていることにあります。

とりわけ、AIの発達は、社会に対して大きな影響を与えるものです。それによって、そもそも人間の果たすべき役割とか、AIと人間がどのように共存していくかということについても考えなければならなくなっています。2030年に向けてどのような知識やスキルが必要になるのかということもおのずから変わってくると考えられますが、そうした中で、特に重要になってくるのが、認知的スキルの一つである創造性(創造的思考力)だというのです。今後、AIによる仕事の代替はさらに進んでいくと考えられますが、その例外となるのが創造性を必要とする仕事です。現在のAI技術を前提にすれば、「新奇なアイディアや優れたアイディアを考えつくことができるような力」や「創造的な方法で問題を解決する力」を必要とするような職業については、代替される可能性は低いと考えられるというのです。フレイやバーガーらは、具体的な職種の事例として「芸術監督やファッション・デザイナー、微生物学者」などを挙げ、こうした新しいアイディアを生みだしていくような創造的な仕事については、 AIによる代替可能性は低いと指摘しています。逆に言えば、今後もAIの発達が続くとすれば、これから社会に出る生徒にとっては、創造性を身につけていくことが、これまで以上に強く求められるということになるのです。

認知的スキル” への3件のコメント

  1. AIの発展によって、これまで存在していた仕事がなくなるというショッキングな予想が立てられて数年がたった現在。教育スタイルは徐々に変化を遂げている気がします。もちろん、コロナによる影響もあるのでしょうが、答えのない問いにどう立ち向かうのか、科学技術との付き合い方など、近年で大きく変わりました。それは、今後必要でなくなる仕事を示しているだけでなく、同様に仕事は作り出せるものであるという前向きなメッセージでもあるように感じます。キーワードに挙げられていた「創造的思考力」も、教育の本質はこの力を培うことにあるようにも思います。自ら望む未来を作り出すため、地域の一員としてより良く社会問題を解決しようとする人材育成が目的であるはずです。このような認知的スキルは、必須能力というわけですね。

  2. これからの時代は創造の時代であるということを言っている人の本を読んだことがあります。個人のレベルであっても、具体的に思い描いたものが実物として実際につくることができる時代にきたということでした。私もそうですが、創造と聞くとついつい頭の中でのできごと捉えがちなのですが、重要なのは具体的に形にしていくという創造ですね。空想の世界を描くことで終わるのではなく、実際にそれを実現するためにどうするのか、というのはまさに論理的思考でもあるように思います。また、これは藤森先生もかねてから言っていることですが、新たな創造こと、他者のコラボレーションの中でうまれるということです。この部分はかなり大切にしたいです。他者と協働していくというのは今後のテーマになっていきますね。

  3. AIの発達はこれからも凄いでしょうね。ディープラーニングをAIがすると聞いた時、AIは創造する力をもつと思いました。しかし、次の二点はAIがその技術を取得するには時間がかかるかな、と思ったのは、人間の想像力と人間の協同的思考に基づいた創造力、ということでした。ファジーという語を私は好みます。まぁ、AIもこのファジーは獲得するでしょうが、人間のファジーさは途轍もないと思うのです。この地球上には80億に近い人間が存在すると言われます。その一人一人が違う。この時点で人間自身が80億の通りをもち、それが協同するならば、限りなく無限数に近くなるでしょう。そうした力を秘めた私たち人類です。是非、お互いを大事にしていきたいものです。22世紀に向けた取り組みが必要です。羅針盤は人類の発明ではありますが、それほど古くはない。ラーニングコンパスは残念ながらそこには20世紀が居座っている。VUCAの時代は羅針盤のない船で大海に乗りだすことでしょう。しかし、そこにも拠り所があります。それは地球という自然です。自然に教えもらいましょう、私たちの未来を。

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