三つのドメイン

「21世紀型のコンピテンシーの多様な側面」も含めて、伝統的に重視されてきた「知識」と「スキル」を超えた力を重視する考えは、「21世紀型スキル」に概ね共通して見られますが、プロジェクトにおいても紹介されたモデルとして、例えば、カリキュラム・リデザイン・センター(CCR)力、公表した次のモデルも同様です。ここでは、知識とスキル、そしてキャラクターという3つの側面があり、それらに通底する概念としてメタ認知が置かれています。それは、「21世紀型のコンピテンシーの多様な側面」とほぼ同様の構造であると白井氏は言っています。

これらのモデルにおいては、知識、スキルと態度あるいはキャラクターといった3つのドメインが設けられていること、これらに通底する概念としてのメタ認知が観念されていることが共通して見られます。また、DeSeCo以来のコンピテンシー概念の重要な要素である統合的な性格がよく表されていると言います。例えば、CCRが示す「21世紀型スキル」では三次元における関係性において、またここでは、3つのドメインの重なり合いによって、コンピテンシーの統合的性格が視覚的に表されています。

Education2030プロジェクトは、そもそもDeSeCoを更新するという趣旨で議論が始まっていたことから、 DeSeCoで示されたキー・コンピテンシーの枠組みを基本としながら、「21世紀型スキル」などのモデルについても考慮に入れて、後にラーニング・コンパスとして結実する新しいコンピテンシーの枠組みについての検討が行われました。その議論における主なポイントは、以下のとおりです。

第一の論点が、メタ認知をどのように整理するかという点です。メタ認知については、様々な「21世紀型スキル」などのコンピテンシー・モデルにおいても、重要な要素として位置づけられています。また、DeSeC0においても、「省察・振り返り」という形で、既にメタ認知を含む要素が位置づけられていました。Education2030プロジェクトの検討過程においては、DeSeCoプロジェクトをリードしたドミニク・ライチェンやロール・サルガニックからも度々意見を聞いたそうですが、二人からは、DeSeCoにおいても重視されている“Reflectivity(省察・振り返り)”を新しい学習忰組みにおいても位置づけるよう強く提案されていたそうです。

一方で、メタ認知の位置づけについては、前述の「21世紀型のコンピテンシーの多様な側面」や「CCRが示す21世紀型スキル」のいずれにおいても、ドメイン全体に通底する概念として提えられていました。プロジェクトにおいては、これらのような形で、メタ認知を知識やスキルとは異なる、それらよりも高次な別種のものとして扱うべきかどうか検討が行われたそうです。たしかに、自らの知識の質や量についてメタ認知することも、自らのスキルのレベルについてメタ認知することも、また自らの態度や価値観の在り方についてメタ認知することもあり得ます。しかし、そもそもコンピテンシーの統合的性格を前提とすると、メタ認知という個別のスキルのみを、このように特別に扱うことが適当なのか、という疑問が示されたのです。また、メタ認知スキルも認知的スキルの一類型であることから、これを別枠に整理することは概念整理として適当でないとの指摘も出され、後にメタ認知スキルを認知的スキルの一環として整理することで合意が得られたところだそうです。