失業率などの変化

非ルーティン的なタスクの中でも、「抽象的タスク」に対する需要が増加傾向にあるのに対して、「マニュアル的タスク」については、1960年代から減少傾向にあります。その理由は明らかで、コンピュータによるタスクの代替が進んでいるからです。というのも、複雑な課題であっても、一つ一つの課題を厳密に定義していくことで、かつては「非ルーティン的」とされてきた課題の多くが、現代ではオートメーション化が可能になっているからだというのです。また、オートメーション化されるタスクの範囲は、今後さらに拡大し続けると予測されているのです。

3番目は「失業率」についてです。様々な業務のデジタル化が進んでいる影響もあって、多くのOECD加盟国において労働市場は深刻な状況にあると言われています。とりわけ、南欧の国では全般的に失業率が高い傾向が見られるようですが、中でもギリシャとスペインにおいては、 2013年時点での失業率は25 %を超えているそうです。また、そうした状況は、 2008年の世界金融危機以降続いているとともに、製造業や輸出業から金融業に至るまで幅広い業種に広がっています。とりわけ、ギリシャやスペインにおいて、リーマン・ショックの後で雇用率の大幅な落ち込みが見られます。

また、近年では「ギグ・エコノミー」と呼ばれるような経済の在り方が拡大しつつあると言います。「ギグ・エコノミー」とは、インターネットなどを介して単発の仕事を請け負うことで成り立つような経済の在り方でUberやAirbnbなどが典型例とされています。こうした単発の業務を受注する労働者のことを「ギグ・ワーカー」と呼ぶそうですが、彼らの場合には、簡単に仕事を受注できるという意味で高い利便性を享受できる一方、そうした仕事が、今後も安定的に存在し続けるという保証があるとは言えないだろうと白井氏は言うのです。特に都会では、このようなギグ・エコノミーが現在は重宝がられていますが、この仕事をしている若者を見ると、本当にこの先が心配ですね。

最後に、白井氏が挙げているのは、3つ目のカテゴリーである「個人レベルの変化」です。具体的には、家族の形態の変化、肥満や自殺の増加、社会への参加の在り方の変化などを挙げています、それらを一つずつ見ていきましょう。

まず、「家族の形態の変化」です。OECD加盟国において概ね共通する傾向として見られるのが、社会全体の高齢化です。例えば、1950年には22歳であった平均年齢が、2010年には44歳となり、2100年には47歳になると予測されています。OECD諸国と比べても、 1950年から2010年にかけて、高齢化が極めて急速に進行しています。社会における高齢化の進行は、経済や社会福祉をどのように維持していくのかという大きな問題を投げかけることになると白井氏は言います。

また、家族の形態に関するその他の変化要因として、女性の社会進出と結婚率の低下が挙げられます。OECD加盟国のほとんどの国において、女性労働者の割合は上昇しています。例えば、ドイツでは、1970年時点では働く女性の割合は約46 %でしたが、2016年には70.8 %まで上昇しています。