社会における変化諸々

もちろん、これまでも地球温暖化を食い止めようとする様々な取り組みが行われてきました。とりわけ2015年に採択されたCOP21 、いわゆるバリ協定では.世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比較して2℃未満に抑えるとともに1.5℃までとするよう努力することも盛り込まれました。また、各国ごとに具体的な温室効果ガスの削減目標を報告し、それについての専門家によるレビューを受けることなども定められています。また、温室効果ガスを排出する化石燃料の使用を抑制し、風力発電や地熱発電などに代替していくことなども、とりわけカナダやドイツ、アメリカなどでは進んでいます。しかしながら、現状のままでは、COP21で定めた気温上昇を2 %未満に抑えるという目標を果たすことは難しい状況にあるとも指摘されています。

社会レベルでの変化の3番目は、「自然災害の増加です。日本においても、地震や津波、台風、洪水などが頻発していますが、環太平洋地域においては、地震が重大な問題を引き起こしています。例えば、 2011年に日本で発生した東日本大震災による経済的被害は、日本のGDPの4 %に相当する16.9兆円に達すると試算されているそうです。

また、世界的に見ると、干ばつや火山の噴火、竜巻など、より様々な自然災害による被害が想定されます。これらのうち、「沿岸部や河川での洪水や鉄砲水」、「干ばつやその他の異常気象」、「台風(熱帯低気圧)や温帯低気圧、局所的な暴風雨」に起因する災害の発生件数は、年ごとの変化はあるものの全体として増加傾向が見られます。こうした増加傾向の背景には、地球温暖化が進んだことによる平均気温の上昇も指摘されています。なお、自然災害の発生件数について見ると、OECD加盟国におけるものが約40 %、BRIICS諸国が約30%となっていますが、インフラの整備状況の違いなどから、人的被害という観点で考えると、約80 %の被害がBRIICS諸国で生じており、OECD加盟国におけるものは約5 %にとどまっているそうです。

4番目の変化は、「政府に対する信頼の低下」が挙げられます。昨今、政府機関に対しては、従来よりもはるかに高いレベルでの透明性や説明責任が求められるようになってきています。もちろん、政策について、誰が、どのようなプロセスで意思決定を行ったのかという情報は、政府が説明責任を果たし、公的機関に対する信頼を維持し、ビジネスを行っていくうえでの公平な条件を確保していくために必要です。また、情報の透明性や公開性を確保することは、詐欺や汚職、公的資金の流用などを防いだり、各種の公的サービスの質を改善していくことにもつながるだろうと白井氏は言うのです。

しかしながら、政府に対する信頼度は、国によって差異はあるものの、特に2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)以降、全体的に低下傾向が見られるようです。政府に対する信頼の低下は、政治家や公務員不信ということで済む問題ではなく、より深刻な問題をはらんでいると言います。というのも、政府に対する信頼が欠けているということは、政府が策定する各種の法令や様々なルールを守ろうとする意識が失われている可能性があるからだと言うのです。例えば、投資家や消費者の立場からすれば、コンプライアンスの意識に欠けるような国において、積極的に投資したり、消費するという意欲にはつながらないだろうと言うのです。そうした判断が、多くの投資家や消費者による集団的な行動となってくる可能性があることを踏まえると、政府に対する信頼の低下は、その国の経済にとって甚大な打撃となるおそれがあると言うのです。