移民の増加と地球環境の変化

まず、「移民の増加」についてです。過去のデータを見る限り、特に中程度の所得水準の国から、OECD加盟国を含め、より所得水準の高い国の人口移動のトレンドが見られますが、こうした人口移動は、教育に対しても当然大きな影響を与えます。他の言語を話す生徒に対しては、より手厚い教育上の支援が必要になるため、教育コストが増えるのは当然です。また、様々なパックグラウンドをもつ生徒に対して、どのような支援をしながら学校で受け入れていくのかということも、大きな課題です。

1960年、1985年、2010年と25年ごとの各国における移民の割合を見てみると、OECD加盟国の多くにおいて上昇に向かうトレンドが見られます。2010年の時点では、全人口に占める移民の割合は、OECD加盟国平均では10 %前後であり、とりわけイスラエルやルクセンブルクでは30 %を超えるまでに達しています。一方で、日本や韓国、中国など東アジア各国や、インド、インドネシア、ブラジルなどでは移民の割合は概ね2 %以下で推移し続けており、 2010年までの段階では大きな変化は見られていないようです。しかしながら、日本など少子高齢化の進行が予測される国については、一定の外国人移民を受け入れることが必要になってくることも考えられると言います。そうなれば、外国人の生徒の教育に関する課題も、これまで以上に多く生じることになるだろうし、学校や授業の在り方も、そうした社会状況の変化に対応して変わっていくことが求められるだろうと白井氏は言うのです。

その際、外国人移民に対する教育に関して、特に留意したいのが、移民の生徒と、その国で生まれた育った生徒の間では、データ上、社会経済的な要因を統制してもなお、明確な学力格差が見られるということです。

PISA2015の分析結果における科学的リテラシーの結果について見ると、多くの国において、移民の生徒のほうが、その国で育った生徒よりもスコアが低い生徒の割合が多いのです。加えて、同じ移民というバックグラウンドをもつ生徒の中で比較しても、移民第一世代の生徒のほうが、移民第二世代の生徒よりもスコアが低い生徒の割合が多いという結果になっているようです。もっとも、ヨルダンやカナダでは、移民と非移民の生徒の間にはほとんど差異はなく、また、シンガポールやUAE、カタールなどでは、移民のほうが高いスコアを出しているという逆転的な現象も生じていることには留意が必要であると白井氏は言うのです。

次に「地球環境の変化」についてです。温室効果ガスの影響による地球環境の変化も、我々の社会における大きな変化です。平均気温が2、3度上がるだけで、激しい水不足の発生、農業生産の減少、栄養失調、生物種の大量絶減などにつながる可能性があると考えられています。しかしながら、少なくとも過去20年を見る限りでは、世界全体における温室効果ガスの排出は増加の一途をたどっています。とりわけ、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs諸国に、インドネシア、南アフリカを加えたBRIICSをはじめとするOECD非加盟国においては増加傾向が続いています。

移民の増加と地球環境の変化” への2件のコメント

  1. 「移民の生徒のほうが、その国で育った生徒よりもスコアが低い生徒の割合が多い」という側面もありながら、「シンガポールやUAE、カタールなどでは、移民のほうが高いスコアを出しているという逆転的な現象も生じている」という不思議なこともあるようですね。その差は何なのでしょうか。やはり、受け入れ体制の違いなのでしょうか。それとも、母国の文化や風土など、国民性にも関連しているのでしょうかね。これからは、移民の方々への教育プログラムや生活支援が必須になるとありました。外国人の技能実習生が多いこともあり、地域の子育て支援事業として、市が外国人向けの子育て支援を計画して行っていました。日本語がままならない状態での子育て支援は大変難しいでしょうね。日本語を教えることだけでなく、日本が他言語を学ぶ機会の増加につながるといいですね。

  2. 移民の方の存在というのは日本ではまだまだ馴染が薄いのかなと思います。なかなか周囲にそのような方がいないという数の少なさがありますね。しかし、将来的に人口が減少していく日本においては移民の方をとりまく環境についてはしっかり整えておかなければいけないことですね。今回のコロナ対策でも浮き彫りになりましたが、日本は事前の対策というのをあまりできない体制なのかなと思ってしまいます。予測して、備えておくということができないのでしょうか。コストをどんどん削っていく、公共事業を削減していくということがトレンドのようになってしまっているのでしょうか。国としてそのような対応では心配だなと思ってしまいます。来るべき時に備える。そんな意識を個人としても国としてももたなければいけませんね。

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