PISAの進化

PISA参加国の間で、PISAがどの程度まで進化できるのか、そして進化するべきかについて、政策面でも技術面でも多くの議論があることは驚くにあたらないと言います。

もしテストが教育の進歩と変化を測定するものならば、私たちは評価基準を変えることができないと主張する人もいるようです。彼らはテストが定点であると主張します。しかし、評価基準を継続的に開発しなければ、将来の成長に必要なものと照らし合わせるのではなく、過去のある時点で重要と考えられていたことで生徒を評価することになると言うのです。PISAはそのことを踏まえ、異なる方法をとっているそうです。

PISAによるコンピュータを利用したテストの導入は、より広範囲の知識とスキルが評価できるようになったことを意味すると言います。PISA2012による創造的な問題解決能力の評価、PISA2015による協同間題解決能力の評価、そしてPISA2018によるグローバル・コンピテンシーの評価は、その好例だとシュライヒャーは言うのです。社会情動的スキルの測定は、より困難です。しかし最新の研究によれば、これらの領域でもその構成要素の多くは統計的有意性をもって測定できることがわかっているそうです。

PISAはまた、結果をよりオープンかつ現場に即したものにしようとしているそうです。その目標に向かって、PISAは、学校が独自のPISAスコアを得るためのオープンソースのツール開発を開始したそうです。学校に対するこの新しいPISA型テストは、世界中のあらゆる学校、自分たちに似た学校、または非常に異なる学校との比較を可能にすると言います。

学校はすでにそのデータを使い始めているそうです。2014年9月に、シュライヒャーはこのテストを受けた学校の最初の年次集会をアメリカで開催しました。近隣の学校だけでなく、国際的にも最高の学校と自分たちを比較することに、学校が非常に関心があることがわかって励まされたそうです。バージニア州のフェアファックスでは、最初の報告結果に基づいて、10校の校長と教員が1年間にわたる議論の場を設けました。地域の教育委員会とOECDの支援を受け、彼らは参加校どうし、自身の学校と世界中のあらゆる学校がどのように異なるかを理解するためにデータを深く分析しました。これらの校長や教員たちは、彼ら自身をグローバルな竸技場の単なる観客でなく、チームメイトとしてとらえるようになりました。言い換えれば、フェアファックスでは、ビッグデータが大きな信頼を集め始めたのだそうです。

PISAの参加国数が増え続けるにつれて、ますます多くの中所得国や低所得国を含む、より多様な参加者のために、デザインを進化する必要あることも明らかとなったそうです。より多様な国にとって役立つものにするために、PISAはより広範囲の生徒の能力を測定するための方法を開発しているそうです。低所得の状況下での妥当性を高めるために状況調査票を改訂し、ドナーとのパートナーシップ能力開発による財政的および技術的課題にも取り組んだそうです。途上国の地元の利害関係者へのアウトリーチ活動も拡大しました。PISA for Developmentとして知られる、この新たな取り組みは、2016年から2017年にかけて9か国で試験的に実施されたそうです。

PISAの進化” への4件のコメント

  1. 「社会情動的スキルの測定は、より困難です。しかし最新の研究によれば、これらの領域でもその構成要素の多くは統計的有意性をもって測定できることがわかっているそうです」というのは素晴らしいことですね。数値にすることのデメリットも当然あるのでしょうが、現状の日本における教育評価のように、分かる人には分かるというようなぼんやりしたものだと思う、やはり多くの人が理解することができず、それ故、質の高い実践の機会を失ってしまうのかもしれません。「より多様な国にとって役立つものにするために、PISAはより広範囲の生徒の能力を測定するための方法を開発しているそうです」ともあるように、データとして示すメリットの方がはるかに大きいように思います。それによって、何をすればいいのか明確になれば、SDGsにも掲げられる全ての人に質の高い教育という目標にも近づきますね。余談ではありますが、最近、メジャーの試合でもデータの活用というのでしょうか、非常に細かいことまで数値で分かるようになりました。人の感覚というのも当然大切ではありますが、こういった情報をうまく使っていかなければなりませんね。

  2. 10校の校長と教員が対等に議論できる場を設けたフェアファックスの事例のように、「自身の学校と世界中のあらゆる学校がどのように異なるかを理解するためにデータを深く分析」した振り返りの機会は、非常に有効的であると感じました。校長という近寄り難い存在との議論の場は、教員に当事者意識をもたせ、学校の政策を担う一員である気持ちを生み出したでしょう。また、校長にとっても現場の意見から子どもや社会の変容を捉え、何が学びの質を高めるために、何が必要なのかということが明確になるだけでなく、知識のアップデートにもつながります。そして、フェアファックスでも「ビッグデータが大きな信頼を集め始めた」ともあり、大量のデータから統計的、論理的な試みが可能になっていることが読み取れます。「PISAはより広範囲の生徒の能力を測定するための方法を開発している」ともあり、ビックデータの恩恵は計り知れないのですね。

  3. PISAについて、こうした解説を知ると、この調査の意義が理解できて、外圧に弱い日本の教育界にも良い影響を及ぼしてくれるのではないかと期待感をもちたくなります。PISA for Development。SDGsがSustainable Development Goals、そしてESDがEducation for Sustainable Development。どうやらDevelopmentがキーワードのようです。日本語で「開発」とすると、何だか負のイメージを抱いてしまう私ですが、地球のあちこちで地球の存亡をかけて「開発」に取り組む必要がある、ということを感じます。「地域の教育委員会とOECDの支援を受け」、日本においても是非実施してほしいと思うのです。そしてこの潮流は保育界にも及ぶでしょう。Education2030。未来の分岐点となる2030年に向けた世界的取り組みに私たち日本もしっかりとついていきたいものです。

  4. 〝より多様な国にとって役立つものにするために、PISAはより広範囲の生徒の能力を測定するための方法を開発している〟とあり、時代の流れに逆らうことなくPISAも進化を続けていくのでしょう。ビッグデータが信頼が増すということはそれだけ正確な情報になっているということになりますね。スポーツの世界においても、昔にはなかった細かなデータが次々と登場していて、いろんな面から選手の評価ができるようになっています。サッカーでは今までは目立つことのなかったディフェンスの選手にも脚光が当たるようになり、分かりづらいものが分かるようになることで、より楽しめるものとなっていますね。教育に関してもそのようになるのでしょうね。

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