移民の子

1954年、アメリカはシリアからの移民に国境を開放しました。移民の息子であるスティープ・ジョブズ氏は、パソコン、映画、音楽、電話、タブレット、デジタル出版という六つの業界を変革した世界で最も創造的な起業家となりました。ジョブズ氏の人生は、おとぎ話のように聞こえるかもしれませんが間違いなく現実なのです。PISAの成績が芳しくない移民の生徒が多い一方、社会経済的環境を考慮すると、成績上位者の中には少なからず移民の生徒もいます。多くの国々では、PISAで成績上位の恵まれない移民の生徒の割合は、成績上位の恵まれない移民ではない子どもと同程度です。実は、多くの国々では、成績最上位の恵まれない子どものうち移民の割合の方が多いそうです。

貧困と移民環境という二重の不利な条件を克服した意欲が高い子どもは、移住先の国で素晴らしい貢献をする可能性があります。ほとんどの移民の子どもと保護者は、しばしば移住先の国の家庭の熱意を上回るような成功への熱意を持っているのです。例えば、幾つかの国をみると、移民の保護者は現地で生まれ育った子どもの保護者よりも、子どもたちが大学レベルの学位を取ることを期待しているようです。これらの国々の移民の子どもは、移民でない子どもと比べてより不利な立場にあり、成績も芳しくないことを考えると注目に値するとシュライヒャーは言います。社会経済的環境が同じような子どもを比較すると、移民と移民でない保護者の子どもの将来への期待にはさらに大きな違いがあるようです。将来に対して意欲的でありながら現実的な期待を抱く子どもは、より一生懸命に学び、目標達成のために利用できる機会を有効に活用する傾向があるため、これは重要だと言います。

同様に、移民の子どもは、科学的リテラシーで同等の成績を収める移民でない子どもよりも、科学関連の職業に就く可能性が50%以上高いそうです。

様々な国で見られる移民と移民でない子どもの大きな成績差は、このような差を最小化する政策の重要性を示していると言います。鍵となるのは、移民の子どもが学校で良い成績を収めるのを難しくする障壁を取り除くことだと言うのです。転換点は移民受け入れのときとは限らず、後に教員と学校制度が、移民の子どもの成績向上のための特別プログラムや支援を提供するかどうかを判断するときだと言うのです。

短期間で成果を出す政策は、授業を受ける言語に熟達していない移民の子どもへの言語支援です。成功する言語支援プログラムの共通点は、全ての学年にわたる継続的な言語トレーニング、集中的に開発されたカリキュラム、第二言語習得の訓練を受けた教員、学術用語への特化です。言語習得と学習内容の統合も効果的であると証明されているそうです。

言語能力の発達と総合的な知性の成長は相互に影響するため、生徒が新しい言語を完全に習得するまで通常の学習を遅らせないことが最善であるとわかったそうです。重要なのは、言語の教員と担任の教員が緊密に協力することです。これは移民の子どもへの教育に最も成功していると思われるオーストラリア、カナダ、スウェーデンのような国々で広く見られる方法です。