大都市

現在、世界人口の半分以上が都市に居住し、この割合は2050年までに10人のうち7人に増加すると見込まれているそうです。都市部は、より良い経済環境に加えて教育、医療、様々な文化施設等の公共サービスを利用できるため、農村部や外国の人々にとって魅力的です。主要都市の人口は、すでに多くの国の人口と同等あるいはそれ以上に増加しているそうです。例えば、メキシコシティの人口は2000万人を超えており、デンマーク、ハンガリー、オランダの人口を上回ります。

多様な能力を持った人々が集中することで研究開発が促進され、都市は成長とイノベーションの拠点となるのです。都市への資源の集中によって、ますますビジネスが活発化します。都市では企業と顧客は近いところにいます。交通機関が便利であり、高度なスキルを持った労働力をすぐに利用できます。都市は、その他の地域と異なる共通の特徴を持つことが多いのです。つまり、二つのまったく違った国の都市、例えばニューヨークと上海は、それぞれの国の農村部よりも共通点が多いのです。

しかし、都市には生産性や雇用機会が集中する一方、著しい貧困や労働市場からの排除という問題があります。このような困難な環境は、社会的ネットワークを解体し、家族や地域の絆を緩めかねません。そして、社会的疎外や不信、暴力等の危険が増す可能性があるのです。これら多くの問題は、学校への入学時に発生する傾向があるようです。

それでも都市は、豊富な文化環境、教員にとっての魅力的な職場、より多くの学校の選択肢、生徒にやる気を促す良好な就業機会等、学校に相当なメリットを与えます。まさに大都市は、教育界の花形プレーヤーの一つです。PISAで継続して優秀な成績を収める香港、上海やシンガポールには、非常に多くの政策立案者や研究者が視察に訪れました。視察に訪れた人々の多くは、これらの教育システムが、大都市環境に固有な問題であり多くの教育制度が悪戦苦闘している、生徒の社会多様性の受容に成功してることに特に感銘を受けます。

PISAによると、幾つかの国や地域では、たとえ都市環境によって異なるプラスとマイナスの要因が働いても、都市(ここでは人口100万人以上の都市を指す)の生徒は、PISAでトップクラスの都市や国の生徒と同様の成績を上げているようです。

例えば、日本の都市の生徒の科学的リテラシーの成績は、シンガポールのトップクラスの生徒の成績に匹敵するそうです。OECD加盟国のうち平均的な成績であるポルトガルの主要都市の生徒は、フィンランドの平均的な生徒と比較可能です。ポーランドの都市の生徒は、韓国の平均的な生徒と比較可能である。さらに一般的には、OECD加盟国の大都市の生徒は、一学年分の教育成果に相当するほど、農村の学校の生徒よりも好成績を上げているそうです。

農村に住む生徒と大都市に住む生徒の間の成績差は、その国の社会経済的格差と関係する場合もあるようです。しかし、PISAの結果は、社会的背景における差は全体の中のほんの一部であることを示していると言います。成績差の大部分は、社会経済的背景を考慮した後でも存在するようです。つまり大都市の教育には何か別の特性があるようだと言います。