入学選抜

国際比較データによると、入学選抜を実施する学校は、提供する教育の質にかかわらず、より優れた能力と高い社会経済的背景を持つ生徒を惹きつける傾向にあるようです。能力が高い生徒は教育に手間がかからず、その存在が保護者にとって学校の魅力を高めることを考えれば、入学者数をコントロールできる学校は、競争力が高いと言えると言います。私立学校が生徒を選抜することで、本質的な教育の質ではなく、排他性に基づいて競争するインセンテイプが生まれると言うのです。それはまた、竸争のプラス効果を損なうことになり得ると言うのです。

また、このデータは、入学選抜が学校システム内の不公平や階層を拡大する要因となる可能性を示しています。しかし、このような影響が選抜基準、例えば適正テストと保護者との面接によって変化するかどうかを調査した研究はほとんどないそうです。生徒の学校選択は、明確な入学選抜基準だけではなく、保護者自身の選択、選択的排除、より小さな障壁による場合もあると留意する必要があると言います。したがって、学校制度の差別を減らすためには、一部の生徒や保護者の学校選択の権利の行使を妨げるような適度に複雑な入学申請手続き、排除慣習、情報不足、他の要因を特定し、対処しなければならないと言います。

私立学校への授業料の助成は、公立学校に対する不当な優位性を与えるため学校選択の自由という原則を損なうとの批判があるようです。入学選抜のような多額の追加費用は、公立学校から優秀な生徒をすくい取る傾向があり、教育の不公平を助長します。低所得層の授業料を減免する政策が差別の排除に効果を発揮したことはありますが、先進国では授業料の効果が入学選抜や他の交絡因子の効果よりも顕著であると判断できるような実証研究はおこなわれていないそうです。

低所得層にとって、助成があっても私立学校を選ぶことを思い留まるような家計負担の基準があるかどうしかは、あまり知られていないようです。しかし、シミュレーションと実証データの両方によって、授業料が減免されないかぎり、助成金によって私立学校への入学機会を拡大できないことが確認されているそうです。私立学校が入学機会を拡大するためではなく、教育の質を高めるために公的資金を活用すれば、助成は学校間の不公平さを悪化させかねません。これは、対象を制限したパウチャーを提供すると共にバウチャーの追加費用を廃止することが、恵まれた子どもと恵まれない子どもの成績差の縮小に役立つ理由の一つであると言うのです。

以上のことからシュライヒャーは、学校選択はそれ自体で教育の質を保証するものでも、阻害するものでもないと結論づけます。重要なのは、選択の利点を最大化する賢明な方針であり、リスクを最小化し、全ての学校運営の主体に平等な環境乎構築することだと言うのです。精巧に作られた学校選択制度は、多様な生徒に合わせた教育を提供することになり、社会的差別のリスクを低減します。教育制度に市場の仕組みが導入され拡大すると、公共政策の役割は変わります。公立学校の教育の質や効率性を監督することから、全ての生徒が質の高い教育を受けられるように学校のガバナンスを確実化することに変わっていくのだと言うのです。