保護者への支援

移民の保護者向けの特別な支援や情報供も役立つかもしれません。移民の保護者は子どもたちに大きな期待を抱いても、言語能力が十分でない、あるいは学校システムへの理解が十分でない場合、子どもたちを十分に支援できるかどうか不安を感じます。移民の保護者への支援プログラムは、教育活動への保護者の参加を促すための家庭訪問、学校と保護者のコミュニケーションを促すための専門連絡係の採用等、保護者が学校の活動に参加できるように手を差し伸べるものです。

事実上、先進国は1960年代までに、教育の平均年数で測定されるような男女格差をなくしました。OECD加盟国の過去50年間の経済成長の約半分は進学率の向上によるものですが、それは主に女性の進学率の向上によるものです。男女格差の解消は大きな違いをもたらしました。しかし、OECD加盟国の平均で見ると、今でも女性は男性より収人が15%少なく、高収入の労働者の間では20%も少ないそうです。この差について、男性と女性が同じ仕事をしても同じ給与をもらっていないからだと言う人がいます。しかし、さらに重要な要因は、男性と女性が異なるキャリアをめざすこと、そして、そのキャリアは通常考えられるよりもはるかに早く分岐することだと言うのです。

PISAの科学的リテラシーで男子と女子が同じ成績を取っても、OECD加盟国の平均では、15歳の男子の12%が科学分野やエンジニアの職業をめざすのに対し、女子では約5 %であるとわかったそうです。

このような格差を解消するには、より若い年齢層も調査する必要があるかもしれないとシュライヒャーは考えています。イギリスの慈善団体である「教育と雇用主」は、7歳から11歳の2万人の子どもたちが描いた将来の絵を調査したそうです。その結果、将来なりたい職業として、女子の4倍の男子がエンジニアになりたいと希望しており、女子の2倍の男子が科学者になりたいと回答しました。

多くの国々は、均等な機会を作るために様々な取り組みをおこなってきました。これは、2015年のPISA調査で15歳の男女における科学的リテラシーの成績が同等であることを見ても明らかだと言うのです。しかし、男女の認知スキルの格差をなくした半面、学習における社会情動的スキルを見落としている可能性もあると指摘します。このことは、子どもたちが大人になったら何になりたかを考える時により強い影響を及ぼすかもしれないと言います。

したがって、科学の授業をもっと多く実施するという考えは、的を外しているかもしれないとシュライヒャーは言うのです。むしろ問題は、いかに子どもたちや若者たちに科学を学ぶことに興味を持ってもらうかだと言います。一つの答えは、彼らにもっと多様な職業に触れる機会を与えて世界観を広げることかもしれないとシュライヒャーは考えています。

大半の国の教員と学校は、女子が科学と数学を単なる学校の科目ではなくキャリアの土台であり、人生の可能性を広げるものだと理解するように工夫する必要があると言います。これは、STEM分野(科学、技術、エンジニアリング、数学)の研究や職業に就く女性が非常に少ないだけではなく、STEM分野の卒業生は労働市場で高い需要があり、STEM分野の職業は総じて給与が高いという理由からも、非常に重要だと考えられています。

保護者への支援” への5件のコメント

  1. 「7歳から11歳の2万人の子どもたちが描いた将来の絵を調査したそうです」とあり、2万人という数字に驚きました。やはりそれくらい調査をしないと見えてこないのですね。「いかに子どもたちや若者たちに科学を学ぶことに興味を持ってもらうかだと言います。一つの答えは、彼らにもっと多様な職業に触れる機会を与えて世界観を広げることかもしれないとシュライヒャーは考えています」ということは保育の現場でも参考になります。様々な職業に触れることで、感情が動かされるような体験が重要になるのかもしれません。「大半の国の教員と学校は、女子が科学と数学を単なる学校の科目ではなくキャリアの土台であり、人生の可能性を広げるものだと理解するように工夫する必要があると言います」というメッセージを出していくことが大切になってくるのですね。確かに、理系的なものが男性が得意であるという刷り込みだけで、なんとなく遠ざけされてしまうということはありますね。イメージが先行してしまい、行動を狭めてしまうのは、可能性も失わせてしまうことになりそうで、もったいないですね。

  2. 移民の保護者への支援プログラムには、「家庭訪問」「専門連絡係の採用」「保護者が学校の活動に参加できるように手を差し伸べるもの」というアプローチがありました。共通するのは、やはりコミュニケーションであり連携ですね。個別対応という支援があることによって、保護者支援が結果的に子ども支援につながるプログラムであることが感じられました。また、研究や職業に就く女性が非常に少ない理由を丁寧に解明していかなくてはいけませんね。以前、女子学生の方が数学の点が高いという情報を耳にしました。能力は兼ね備えていたとしても、実際に職業に就くまでには至らない何かがあるのでしょうか。各種メディアやイメージの面でも、職業性差が未だ存在している事実から、それを打破するための戦略は、国として取り組むことで将来へのSTEM分野への女性就業率をあげることができるのでしょうね。

  3. 男女格差が労働分野において大きい日本。男女雇用機会均等法が施行され、男女の格差をなくす取り組みがあちらこちらで実施されているのでしょうが、他の国々と比較すると、まだまだ男性天国の日本社会ですね。「女性は男性より収人が15%少なく、高収入の労働者の間では20%も少ないそうです。」これが「OECD加盟国の平均」だそうですから、日本はその開きがもっと顕著なのでしょう。保育園で働く男性は家庭が持てない、なぜなら保育園でもらう収入が低いから、ということをかつて耳にしました。保育業界は女性の仕事場、だから収入が低い、ということでしょうか。とんでもない差別だと思いました。10年前よりは処遇が改善されてきた保育現場ですが、それでも他業種と比べるとまだまだ低いのでしょう。男女半々まではいかなくても4:6くらいの割合で男女が働ける仕事場を目指したいものです。

  4. 彼らにもっと多様な職業に触れる機会を与えて世界観を広げることかもしれない、という考えは非常に重要だと考えます。私自身の学びを振り返って、エンジニアや科学者を目指すきっかけは存在しませんでした。数学や科学の授業がどう生かされるのか、生かすことができるのかという想像もできませんでした。
    保育士という職業も、身近なもので、当たり前ですが、知っているから選択肢に入ってきたわけです。
    保育園としては、保護者の協力によって何かができるのではないかを探ることが、取りかかりやすい手段かもしれません。

  5. 〝彼らにもっと多様な職業に触れる機会を与えて世界観を広げることかもしれない〟というシュライヒァー氏の言葉がありましたが、そのことには大いに賛成です。例えば、サッカーにおいても一つのクラブチームに試合をする選手、監督、コーチなどいることは知っていても、運営をするフロントや裏方の仕事をしている人たちやスタジアムの管理をする人たちのことはあまり知らない子どもは多いと思います。それらの大勢の人が関わって一つの試合が成立している、ということを伝えていくことはすごく大切であることを最近感じました。そうすれば単にサッカーという切り口からいろんなことを学べる機会となるのではないかと思いました。

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