変革

教育システムの変革は、表面的な法令のコンプライアンスをもたらす施政によって義務づけることはできず、まったく何もないところから構築することもできないのが課題だと言います。

政治だけで教室内を革新させることはできませんが、変化のために事例の構築や組織だったコミュニケーション、21世紀の学びに向けた指針を明確にすることには役立つとシュライヒャーは言います。政治は刺激を与えるとともに実行可能となるよう、プラットフォームや橋渡しとして重要な役割を担っています。資源を集中し、政策の情勢を促進し、新しい実践を奨励するよう説明責任や報告を調整することができるのです。

しかし、教育は変化の鍵となる主体をより明確にし、擁護し、イノベーションの拡大と普及のためにより効果的なアプローチを見つける必要があるのです。それは、イノベーターがリスクをとって新しいアイデアを実現するためにありとあらゆることをおこない、成功を認識し、報酬を与えるのにより良い方法を見つけることだというのです。過去においては、公共セクターと民間セクターが対立していましたが、今後は公共セクターと民間セクターが共に進むことが重要になってきます。

多くの教育システムはこれらの課題にひるむことなく、孤立した地方の事例だけでなく、システム的にも革新的な対応を見つけるための道を切り開いているとシュライヒャーは言うのです。

彼はこんな逸話を紹介しています。

「暗い夜、車に戻った時に車のキーを紛失した運転手の話がある。彼が街灯の下を探し続けていたところ、誰かに「鍵を落とした場所はそこか」と聞かれ、「違うがここしか見えないから」と答えた。」この逸話は、教育にも同じことが言えると彼は言うのです。「最も手にしやすく、見やすいものを見るという根深い本能があるというのです。見るのに最適な場所ではなくても、慣れ親しんだ質問と回答がある。多くの場合、最も重要なことではなく、最も簡単に測定できる方法で教育の進捗状況を確認する。そして、他の所で達成されているものとの比較ではなく、自国や特定の地域の自身の学校内で起こっていることのみに基づいて教育を議論することが多い。」

これが、彼がPISAの調査を始めたきっかけのようです。コロナで翻弄された今年も終わろうとしています。その先行きは未定であり、不安でもあります。しかし、この時期だからこそ、私にとっては、今まで行ってきた教育、特に幼児教育を見直し、新しい時代に向けて歩んでいこうと思った1年でした。今まで行ってきたことは慣れ親しみ、手にしやすく、見えやすいものかもしれません。しかし、それは最も重要なことではなく、新しい時代に向かって、新しい分野を見つけていくことだと思います。しかも、できるだけ具体的に、また、実際に歩みを進める時期だと感じています。どうしても、理念が大切と言いながら、お題目を唱えるだけで終わってしまいがちです。そこには、同意や共感はあるものの、明日からの具体的な道筋は見えてきません。子どもを守ると言いながら、リスクから遠ざけるために家に閉じ込め、行動を規制するようなことだけでは、その影響は後に表れてきます。どうすれば、リスクを減らし、大切なことを行うことができるのかに知恵を絞り、どんな時でも子どもの発達の歩みを止めてはならないのです。