学習環境

PISAへの取り組みや、試行錯誤の経緯を知ることは、これからの学力観、新しい時代に求められる子どもの力を考えるうえでとても参考になります。また、その多くは小学校以降の子ども達対象ではありますが、その教育に結びつけるための乳幼児教育を考える上でも参考になります。私たちは、どうしてもその結果だけで右往左往してしまいがちですし、すぐに順位をあげるための手段を考えがちですが、もっと長期的な展望を持つことの大切さも教わります。

効果的な学習環境は、他との専門的、社会的、文化的資本を高めるため、常に相乗効果を創出し新たな手法を見つけ、家庭や地域社会、高等教育、企業、特に他校や異なる学習環境で行われることでまさに革新的なパートナーシップを作ることになると言います。複雑な学習システムにある現代の世界で孤立すると、潜在的な可能性を制限する危険があると危惧しています。

過去の指導は教科中心でした。将来の指導は多くがプロジェクト型になり、主題となる教科や分野の境界を超えて生徒が考えるのに役立つ経験を積み上げる必要があるとシュライヒャーは言います。過去は階層的でもありました。未来は協同的であり、教員と生徒の両者をリソースであり共同制作者だととらえる必要があると彼は言うのです。

過去には、異なる生徒が似通った方法で教えられましたが、現在では多様性を受け入れ異なる学び方を取り入れる学校システムが必要だと言います。以前は標準化とコンプライアンスが目標とされ、標準的なカリキュラムに従い年齢層ごとに教育され、全て同時期に同様に評価されました。今後は生徒の学習や評価が個別化されるよう、生徒の情熱やの能力から指導を組み立て、熱意や才能を育成するため独創性を奨励する必要があるというのです。

学校システムは、一人一人が人生のさまざまな段階で異なる方法を学ぶことをより認識する必要があると言います。生徒が学びに向かい、生徒の成長に最も役立つ教育を提供する新しい方法を創り出す必要があるというのです。学習とは場所ではなく活動なのだからとシュライヒャーは言うのです。

従来の学校は技術的に孤立した島のようであり、既存の実践を支援するテクノロジーに限られていたと言います。そして、生徒は学校以上にテクノロジーを導入し、活用していたのです。今や学校は過去の慣習から学びを開放し、新しく効力のある方法で生徒をつなぎ、知識や源泉や革新的な応用でテクノロジーを使いこなす必要があるとシュライヒャーは主張します。

シュライヒャーの考える今の学校システムと、今後の望ましい学校の在り方の提案は、少し難しいかもしれませんが、重要な内容です。まず、今の学校は生徒が個々に学び、学年末には個々人の成績を評価します。私が、以前指摘したように、学校は、個人間の競争によって成り立っています。そこでは、他に勝つこと、他より抜きんでることが求められます。しかし、現在は、世界がより相互に依存するにつれ、より協同的であり、俯瞰して実務を行うような人が必要になってきています。今や、物事を進めたり、改革したりするためには、孤立した個人の成果ではなく、むしろ知識を動員、共有、統合された成果だというのです。