テーマ学習

フィラデルフィアのフレンド・セントラル・スクールでは低学年の子ども達に対して「テーマ学習」と呼ばれる教育を行っています。例えば、あるクラスは大洋に面し多くの港を持つ国を割り当てられました。この国は日照時間の長い気候で農産物がよく育ち、他の国々に輸出していました。別のクラスに割り当てられた国は陸地に囲まれた国で鉱物資源が豊富でしたが、作物や製品を他国から輸人する必要があるので他国と協調しなければなりません。この国の鉱物を原材料として製品を生産する国々はそれを更に他の国々に輸出して経済を成り立たせます。子ども達は自分達の国を発展させるという思いに駆られて、必死にコラボレーションしコミュニケーションします。そんな学びが学校で実現されているのです。

しかしこの学び方で算数はできないのでは……キャシーは、そんなことはないと言います。作物が悪くなる前に海を渡り、他国に作物を届ける船を設計するためにボートの大きさを計算し、モーターの種類を選び、航続距離や所要時間を算出します。形式的に計算の仕方を教わるのではなく算数的な考えと算数の生活との関わりとを同時に学んでいるのです。これだけのことを小学2,3年生がやってのけるのです。面白い物語に夢中になる「ガイドされたプレイ」による学びによって子どもは教科を統合し、生活や世界と繋がった学びを成し遂げるのです。

サンディエゴにあるハイテックハイという学校は幼稚園から高校3年生までの幅広い学生達が、現実世界の課題を共に解決するために学び、遊び、創造しているそうです。この学校を見学すれば、数々のユニークな学びに出合うだろうとキャシーは言います。この学校の学びについて取り上げた2015年に作られた映画が話題を呼んだそうです。学生が自分で作り出した「折り紙の数学」というカリキュラムがあったり「破壊の瞬間」と呼ばれ、重大な歴史的出来事とその出来事をどのように解釈するか学ぶために劇を創作する学びがあったりするそうです。

例えばポンペイが噴火した時の「瞬間」を学ぶ場合、58人の8年生が数か月間に及ぶポンペイプロジェクトに参加します。その時「噴火から逃れ、街を脱出する時に持ち出した物から当時の社会は、どんな価値観を持っていたと想像できるか?」というような課題に取り組みます。ハイテックハイは2000年にチャータースクールという、保護者、教師、地域団体などが公費で自主運営する学校としてスタートしましたが、今では13校に広がり、5000人の学生が通っているそうです。こうした学校の子ども達は従来の学校で重視されている学力基準で比較した場合も優れている上に、学びを愛し、何かを率先して作り出そうという意欲が高いそうです。

普通の学校に通うのが難しいと判断された子どもにとってもプロジェクト型の学びは有効だとキャシーは言います。マンハッタンの第94公立学校では、発達障害の子ども達が芸術による学びによって成果を上げているそうです。自閉症と診断された子ども達がミュージカルに取り組むことで、コラボレーションとコミュニケーションのスキルが向上したそうです。最初は劇の間中すっと押し黙っていた子ども達が大きく変化したのです。

これらの事例はどんな子どもに対しても、遊びと発見が学びと一体となることが大きな教育効果をもたらすことを明らかにしています。また学校が6Csを育てる場をどのように作るか、そして夫々のスキルの成長をどう捉えてゆくかについての大きなヒントを示しているというのです。