学校の姿

キャシーは、いまだ変わらない学校の姿をこう表現しています。子どもは列になって座り、皆同じ顔で同じように頭を抱え教師の言うことに耳を傾けます。しんと静まった教室の最前部に教師が立ち、ありがたい知識を授けます。このような時代錯誤としか思えない授業を理想とした教育改革をアメリカは目指そうとしているとキャシーは言うのです。実は国際学力テストで高い順位を誇る中国のやり方を真似てこうなったのだと言います。しかし何とも皮肉なことに、中国は私達が19世紀の教育方法に回帰し、知識を覚える教育に舵を切ったのとは正反対に創造性を重視する教育を始めているというのです。中国からの客員教授のべティ・プルースはこう語っています。「あなた方アメリカら学んだやり方を中国では採用しようとしているのに、アメリカがそのやり方を変えたいというのは面白いことですね」。中国は学習者中心の教育に移行しようとしているというのです。そして丸暗記する学びを極力減らそうとしているのです。なぜなら記憶中心の学習がテストに合格することだけを考え、受け身で学ぶ意欲の低い学生を生み出すと考えているからだそうです。これこそ今、アメリカが直面している問題だというのです。中国には「ガオフェンディンエン(高分低能)」という言葉があるそうです。意味は「テストの点が高いだけで能力がない」というつことだそうです。アメリカも同じような言葉を新しく作った方がよいかもしれないとキャシーは言います。

次に創造力を伸ばす秘訣として、「安心して思いきり何かを作り出せる場で遊ぶ」ということを挙げています。安心して思いきり何かを作り出せる場が創造力を高めるというのです。子どもが何かやろうとした時に踏みつけてしまってはいけないと言います。遊び部屋を作る時も、学校を見学する時も、常に「この場所は創造力を刺激するか?」と問いかけるといいと言います。そこで、キャシーは、創造性を大いに伸ばす環境を作り出すことに成功している三つのケースは紹介しています。

まず紹介するのは、キャス・ホールマンか発明したRigamajig (http//www.rigamajig.com)です。様々な形と大きさの木製の部品を組み合わせて動く構築物を作れます。ウェブサイトのデモビデオを見ると、子ども達が与えられた道具を使って、安心した場所でゆったり時間をかけて自由に探索しながら個性的な作品を作り出しているのが解ります。その姿はエンジニアそのものです。

次に紹介しているのは、子どもの遊び場を作る運動を続けている団体「カブーム」と有名な建築家、デビッド・ロックウェルが手を携えて進めているイマジネーションプレイグラウンドというプロジェクトです。実は先程紹介したキャスもイマジネーションプレイグラウンドに関わっているそうです。子ども達は自分たちの遊び場を作り出すための部品と場所と時間を与えられると、見事に部品を組み合わせ、自分達の新しい世界を作り出しました。そしてそこで何をするかまで発明したのです。子ども達の活動の様子をピデオでちょっと見れば、日々の生活の中で創造力を大いに発揮する場を作れることがよく解るだろうとキャシーは言います。子ども達は手段を手に入れ、どうしたいかというビジョンを共に生み出していったのです。