創造的思考を身につける

これからの世の中を素晴らしいものにしてゆくためにはピジネス環境も、学校も、クリエイティブイノベーションとクリティカルシンキングに大きな価値を置く組織にならないといけないとキャシーは言います。アップル社がアップルⅡやiPodという画期的な製品を生み出すことができたのは、会社としてのミッショがあったからだと言います。そのミッションを祝して大成功を収めた広告キャンペーンが1997年の「Think Different」のCMだそうです。アインシュタイン、ジョン・レノン、テッド・ターナーのような世界を変えた人達の顔写真が次々に映し出されます。たった一分ほどのCMですが、この映像を見るとアップルが何となく彼らと同じように最優秀の存在のように思えてくるとキャシーは言います。このCMを基にしたポスターも作られ、そこには創造的に新しいことを成し遂げた人達の顔写真と共に彼らが直面した状況を的確に表現したフレーズが書かれていたそうです。

「クレージーと言われる人達がいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人達。四角い穴に丸い杭を打ち込むように事をまるで違う目で見る人達。彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。彼らのことばに心を打たれる人がいる。反対する人も称賛する人もけなす人もいる。しかし彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら彼らは世界を変えたからだ。彼らは人類を前進させた。」

子どもたちが創造的思考を身につけてゆくために、私たちは何ができるのでしょうか。このことについて心理学研究の科学的知見に基づいて、キャシーは考察していきます。

まずレベル1として、「とりあえず試す」があります。色々試して遊んでみることが大事であるというのです。

キャシー・ハーシュ=パセックとロバータ・ミシュニック・ゴリンコフが書いた「科学が教える 子育て成功への道」の本の裏表紙には、一枚の絵が描かれています。その絵についてキャシーは、「なんと美しい色づかいと線だろう。これは並外れた画家の作品のようだ」と評しています。彼は1954年に生まれ、2歳の時、鉛筆と紙を渡されました。4歳までに400枚の絵を描きました。確かに名づけられるようなイメージではありませんが・カラフルな色彩で中々興味深いです。このアーティストは一体誰なのでしょうか。彼の名はコンゴです。チンパンジーなのです。コンゴはレベル1のクリエイティブイノベーションを特徴づける「実験」を行っていると言えるとキャシーは言います。与えられた素材をいじくりまわし、とにかく色々やってみるのです。しかしコンゴは闇雲に試行錯誤するだけなのでモナリザのような作品が生まれることはありません。

レベル1の探素者は全体像を思い描くことなく手にしている要素で「遊ぶ」。3歳の子に初めてブロックセットを与えた時と一緒だと言います。まず手にしたブロックをいじくりまわし、どう組み合わせるか熱中します。最早「ゾーン」に入ってしまったかのようで、周りで起こっていることなど全く気にかけません。どのブロック同士はうまく組み合わせられるのか……どこまで高くブロックの塔を積み上げることができるのか……このような実験を通してブロックで何ができるか発見するのです。