クリエイティブイノベーション

良い人生を送るには知識コンテンツを身につけることが最善だという思い込みを捨て、コンテンツの海の中で拾い上げたアイデアをうまく繋げて、どっちに向かって進んでゆくか決められる人になることを目指すことです。これまで誰も思いつかなかったような新しい方法で課題を解決してゆくには、クリティカルシンキングの力に加えて、新たな力が必要です。それが次なる「C」であるクリエイティブイノベーションのスキルなのです。

キャシーは、こんな問いをかけています。「あなたは自分自身を騙されやすいと考えたことがあるだろうか。」キャシーは、実は私達は誰でも、分野によってはレベル1のクリティカルシンキングに陥ってしまうことがあると言うのです。

大学の心理学の授業で同じ形で同じ重さの粘土玉を二つ見せます。実際に重さを測定し確かに同じだということを確かめた後、一方の玉をパンケーキのように平らな形にします。そして大学生達にこれで重さは変わったかどうか質問しました。彼らは何でそんな当たり前のことを聞くんだとあっけにとられた感じでした。当然のことながら形を変えても重さは同じです。これは幼児に対してかつてピアジェが行った「保存」の概念の実験課題なのです。大人は誰も引っかかりませんが、6歳未満の子どもは見かけに騙されて、重さが変わったと考えてしまうのです。

しかし大人もちょっと状況が変われば、幼い子と同じ状態に陥ることがあります。パンケーキのように平らな形にした粘土を再び球体に戻し、同じ形にした後で、もし一方にガンマ線を照射したら重さは変わるか質問しました。学生達はガンマ線についてよく解らないので答えられないと言い出したのです。こうしたちょっとした状況の変化によって、私達は騙されやすくなってしまうとキャシーは言うのです。しかし慌てる必要はないと言います。ある領域について何か知りたいなら、質問をし、評価主義的な態度をとればよいのだと言います。

自分が病気だと知らされ治療方法について知る時、私達はどうしても冷静にクリティカルシンキングを働かせて受けとめることができなくなってしまいます。ある女性は医師の診断を聞く際に彼女の立場で考えることができ、批判的な質問をできる友人に同席してもらったそうです。あまりに動揺していて、受けるべき手術の内容についてきちんと考えられなと思ったからです。もちろん、彼女は他の場面ではレベル4のクリティカルシンキングができます。

「と言われている」「皆がこう言っている」というフレーズを意識せず多用していないか見直すこともとても大事だとキャシーは言います。もしこう言いがちになっていたらレベル3に陥っていると思ってほしいと言います。常に問い続けるのは簡単ではありません。しかし大きな利害が絡んだり、将来に大きく影響するような事柄について決断したりする時には、レベル4のクリティカルシンキングを作動させ、しっかりした根拠があるかどうか見極めてから決断しようとキャシーは言うのです。