姿勢と方法

クリティカルシンキングスキルを教えるには、いくつかの構成要素を考える必要があると心理学者のダイアン・ハルパーンは次のように言っています。一つ目の構成要素は「姿勢」。まず批判的に物事を捉えてみる態度と言ってもいいかもしれないとキャシーは言います。最早かつてのように「○○の権威」と呼ばれる専門的な人が全てを知っているわけではありません。このことを解っていたからこそキャシーの友人は、人工股関節の素材について自ら調べたのです。専門家といえども大量の最新情報を全て追いきれないでしょう。だからこそ私達自身が批判的なスタンスを発揮せざるを得ないのです。何か知らなければならないことがあったら自分でさっとグーグルで調べてみるという姿勢が求められているのです。但し最も良い答えがグーグルで簡単に調べられるとは限らないことも知っておく必要はあるだろうとキャシーは言います。二つ目の構成要素は「方法」です。どうクリティカルシンキングスキルを教えるかということです。例えばテレビで流れるCMを批判的に受けとめてみることは、子どもとクリティカルシンキングを学ぶ格好の題材になると言います。ある婚活サイトのではこのサイトで出会った人達が結婚する割合が一番高く、結婚した後の満足度も一番高いと言っていたそうです。しかし一体何と比較して一番なのか全く解らないとキャシーは言います。比較対照するためのデータは一切明示されていません。このサイトを全く使わなかった人よりもこのサイトを使った人の方が出会った後、結婚する割合が高いということをどうやって示そうというのでしょうか。

批判的に受けとめた後、既にある証拠に基づいて仮説を立てて、これまでなされてきた論争を確かめてみれば、クリティカルシンキングの力は更に高まると言います。もしその婚活サイトの結婚成立件数が一番だと主張するならば、他の婚活サイトの結婚成立件数が少ないことをデータで示さないといけないのではないかと言います。こうして学生達はデータを探し、グラフを作り、仮説の前提を疑い、更に必要となる情報を集め、クリティカルシンキングを用いて課題を解決してゆくことを体験するのです。

ビジネスにおいても、情報の洪水の中で生き抜くためにはクリティカルシンキングが必要不可欠だと言います。エリザベス・エダースハイムは自分がコンサルティングしているクライアント企業の現状を「全ての情報が指一本で手に入るようになると、論理的には会社の経営は楽になるはずなのに、実際には真逆で大量の情報のどれが役に立つのか判別し、どのように扱えばよいか考えることができず、とても苦労している」と書いているそうです。このような状況だからこそ、情報を評価でき統合できるレベル4のクリティカルシンキング能力を持った人は引く手あまたなのだと言います。

情報爆発時代のサバイバルスキルを追い求め人々は右往左往しています。我が子にコンピュータスキルを学ばせる保育園の広告に乗せられてしまう人達がいることに驚きはしないとキャシーは言います。親ならば誰でも我が子を成功させたいと考えるからです。しかしもし我が子をグーグルで働かせたいなら、天才児を育てると謳う保育園に入れるのはやめた方がいいと言います。なぜならかえってその確率を下げてしまうことになるからだと言います。