見かけ

やはり14か月の赤ちゃんに対する実験だそうですが、今度は赤ちゃんの前に二人の女性が登場します。一人目の女性が自分の持っているバケツを覗き込みながら「うわあ、ああ」と声を上げます。そしてバケツの中におもちゃが入っているのを赤ちゃんに見せます。続いて二人目の女性もやはりバケツを持って登場し、中を覗き込みながら同じように声を上げます。しかしバケツの中を赤ちゃんに見せると、中には何も入っていませんでした。その後再び一人目の女性が登場し、今度はスクリーンの後ろに隠れます。そして同じように「うわあ、ああ」と声を上げ始めると、赤ちゃんは首を一生懸命伸ばしてスクリーンの中を覗こうとします。続いて二人目の女性が登場して、最初の女性と同じようにスクリーンの後ろに隠れ、声を上げます。しかし赤ちゃんはそれを無視したのです。「どうせ空のバケツを見ておもちゃがあるふりをして声を上げているんだろ」というのを見抜いているかのような反応です。

このようにどちらの人の情報を取り入れた方が良さそうかという判断について、赤ちゃんの段階で発揮できる能力があるのです。もう少し年長になり3歳くらいになると、性格を判断材料に加えられるようになるようです。意地悪な行動をする人形と優しい行動をする人形を見せて、どちらの人形の伝える情報を受け入れるかというと、やはり優しい行動をする人形だったのです。

「見かけをそのまま信じる」とうのがレベル1の特徴だと言います。猫が大好きでペットとして飼ってる4歳児に、顔を犬のマスクで覆った猫を見せました。「これは猫かな、それとも犬かな」と尋ねると、この子は自信を持って犬だと答えたのです。

プラスチックでできた卵の前に向こうが透けて見える灰色のシートを立てます。すると卵が石のように見えました。これを別の4歳児に見せて、卵か石か尋ねます。4歳児は石だと答え、重いか軽いか尋ねると、石だから持ったとしたら重いと答えました。しかし灰色のシートをどけると、再び目の前のモノは卵に戻ってしまったのです。

4歳以ドの子どもはどうしても見た目で信じてしまいます。物事は見た目だけでは解らないと理解できるようになるには、まだ時間と経験が必要だと言います。

もし見聞きする全ての物墅、出来事が本当だったら、この世はとても恐ろしい場所になるだろうと言います。キャシーが昔映画館に行った時、MGMの映画が始まる前に映し出される吠えるライオンがスクリーンから飛び出てくると思って本気で怖がっている子どもを見たことがあるそうです。その子の親は微笑みながら本物ではないから大丈夫と声を掛けましたが、子どもはがたがた震えてコートの中に頭を隠したままだったそうです。

子どもは見たことを殆ど信じてしまうので影響を受けやすいと言います。それが悪用されないよう作られた組織があるそうです。元ハーバード大学の教授だったスーザン・リンが立ち上げた非営利組織で「コマーシャルに触れない子ども時代」というキャンペーンを行い、「子どもから搾取しようとするマーケテイングはやめて、企業の利益ではなく現代の子どもが最善の子ども時代を過ごせるようにしよう」と訴えています。クリティカルシンキング力に乏しい子どもはコマーシャルで伝えられる情報にはバイアスが掛かっていて、判断を誤らせる内容を含んでいることがあると認識することはできません。だからこそ子どもはスーパーマーケットであれを買ってくれ!これを買ってくれ!と駄々をこねるのだとキャシーは言うのです。