批判的思考

フェイスブックで流された根拠のない都市伝説を紹介し、あっという間に広まったおかしな噂の嘘を暴くウェプサイトが存在するそうです。しかし、不幸なことに、学生たちがあやしい情報に疑間を持ち確かめてみることは殆どないそうです。反対に子どもは「事実」を教わることに終始し、大人が言ったことはどんなことも「本当のこと」として素直に受けとめ、疑間を投げかけないように求められる。しかしこれからはそれではいけないとキャシーは言うのです。子どもは大人が言うことでもすべてを真実と信じるのではなく、情報を吟味・精査する心を持ち、批判的に物事を捉える人になる必要があると言います。

私が小学校に勤務して、1年生を担任したときのことを思い出します。もう45年ほど前になるのですが、入学後初めての授業で子どもたちにこう言ったのです。「これからいろいろなことを学びますが、すべて大人の言うことや教科書に書いてあることを信じないように。自分の目で見たこと、自分で確かめたことを信じなさい。」と言ったのです。今考えると、随分と難しいことを言ったものだと思います。しかし、そのおかげで、いろいろな疑問を教科書会社にまで手紙を書いて、確かめていったのです。そして、ある内容について、子どもの言うことが正しいと謝ってきたことがありました。

この批判的に「物事を捉える」ことは、日本人は特に苦手と言われています。先日新聞にこんなグラフが示されていました。

ここにはこのような仮説分が書かれてあります。

「批判的思考というのも、子ども期に育むべき重要な資質だが、(おとなしい)日本人は、それに乏しいといわれる。国民性による部分が大きいが、学校の授業を覗いてみると強烈な事実がある。日本の学校では、批判的思考力を育む授業がされていない。他国の群れから大きく外れている。=グラフ「日本人が物言わぬ理由が分かった」と、外国人は膝を打つだろう。この点に関して、最近公表された調査データが思い出される。教師を目指す学生を追跡してみると、学年が上がるにつれ現場と直結した実践的なことを学ぶ学生の率が高まるが、政治や社会への関心が薄れてくるという(紅林伸幸)。教職課程での学びは、従順な存在に仕向けられる過程だ。未来の教師の卵は、現場に新風を吹き込む創造性や批判的思考を養わねばならない。大学の教職課程を、学校現場の色一色で染めてしまうのも考えものだ。学生の自由な幅広い学びを奪っていないか。もし教職課程の学生の読書時間が他の学生よりも少ない、などという現実があるとしたら、それは一大事だ。(舞田敏彦・教育社会学者)

心を開き、多面的に物事を眺め、証拠によって常に判断し、新たに学んだ事実に基づいて考え方を柔軟に変えてゆく。そんな人がクリティカルシンキングできる人なのだとキャシーは言うのです。

しかしながらクリティカルシンキングの力をつける教育に反対する考え方も根強いようです。2012年にテキサス州共和覚がまとめた綱領に次のような一節があるそうです。

「知識べースの教育——高度な思考スキルを教えることに私たちは反対します。(中略)行動を変容することを主眼とし、固定化した信念を疑うように生徒を仕向け、親の権威を弱めようとしている。」