最も重要なスキル

2006年に、全米産業審議会から、21世紀スキル育成のための共同事業、米国人材マネジメント協会等の団体が共同で「新卒者は働く準備ができているか」というタイトルの報告書を出しました。その中で興味深かったのは、400社以上の企業に最も重要だと考えているスキルは何かと質問したところ、上位にランクされたスキルは、口頭でのコミュニケーション力、チームワーク、プロ意識、文章力、批判的思考力、間題解決力だったということです。また、回答者の81%が創造力とイノベーションする力が最も重要だと考えていたそうです。

レポートはマリオットインターナショナル社の、ウィラード・マリオット・ジュニアの.言葉を引用しています。

「若い人々が今日の職場で成功するには、基礎的な読解力と数学力だけては不十分だ。彼らに、必要なのは、もっと幅広い知識コンテンツ、情報テクノロジースキル、高度な思考力、変化に柔軟に適応する力、異なる文化を持つ人や異なる働きをするチームとの対人関係スキルの全てである。」

こうしたスキルを持ち合わせて新卒者は入社してくるのか。レポートではこの点についても調査していて、その結果、マリオットが列挙したような、これからの世の中において成功するために必要なスキルにおいて優れていると見なせる大卒者は、24%しかいないことが判ったそうです。

2005年に、家族・労働研究所の行った全国従業員調査でも同様の結果だったそうです。テストのための教育を行い、幼稚園児を机の前に座らせて問題集を解かせても、21世紀の挑戦に必要なスキルも幅広い思考スタイルも育ちません。この調査で強調されているのは、一人で働く労働者は最早教育環境のモデルとなるべきではないし、未来の成功にも繋がらないということだとキャシーは言うのです。なぜなら全ての職場に求められる姿が、地球の多様な人々と繋がり、分業して間題を解決するという風になってきているからだと言うのです。

2013年、雑誌「フォープス」は大卒者が職場で成功するために必要なスキルについて取り上げているそうです。そこに掲載された、全国大学・企業連合の調査で上位に挙がったスキルはチームで働く能力、決断力、問題を解決する能力でした。

はっきりしたことは、スタインパーグのコラムにメッセージを寄せた人々の考えと明日の世界のために子ども達をどう育てるか考えている経営者、科学者、教育者達の考えとは、全く違うということだったのです。このギャップを埋めるためにも、ハードスキルとソフトスキルの両方が、これからの子どもを育てる上で必要不可欠だという認識を、学校、親に持たせないといけないと言うのです。それが21世紀スキルについて思い描いた多くの人々の思いなのではないかとキャシーは言うのです。

2009年は、iPhone登場から2年、YouTubeができて4年、フェイスブックが生まれて5年経ち、ある種の転換点を迎えた年でした。文字通り指を動かすだけで情報を手に入れられる環境で育った新世代の学習者が登場したのです。ピジネス、科学、芸術、運輸、どの分野においても、あっという間に学び方や情報処理の仕方が変わり、地理的境界を簡単に超えて物・人・情報が行き来するようになりました。

最も重要なスキル” への10件のコメント

  1. マリオット氏の言葉を聞き、これからの時代を生きる子どもたちは実に多くのスキルを求められて大変だなぁと思いましたが、そのすぐ後に「ではそのスキルは社会に入る前のみで付けることは可能なのだろうか」という疑問が浮かび上がりました。大学を卒業した時点ではわずか24%にとどまっでいる現状を加味すると、当然の社会に出たあともそのスキルは磨く必要があるということです。つまり、今社会の一員として働いている人々こそ、新しい時代に必要とされるスキルを学ぶべきなのだと感じました。若者が懸命に高度で質の高いスキルを持っていたとしても、イノベーションを受け入れられない環境であっては元も後もないことを感じました。

  2. 橘玲著『不都合な真実』という本があります。読むと、りつ然とさせられるデータに出くわします。日本人で義務教育を経た人の3割が日本語を読めない、つまり理解できないとか。「若い人々が今日の職場で成功するには、基礎的な読解力と数学力だけては不十分」とあります。これら「礎的な読解力と数学」はその「成功」をもたらすための前提条件であり、それだけではなく「もっと幅広い知識コンテンツ、情報テクノロジースキル、高度な思考力、変化に柔軟に適応する力、異なる文化を持つ人や異なる働きをするチームとの対人関係スキルの全て」が必要だと言っているのです。特に、ロジカルシンキング力をつけるためには、読解力と数学力はマストだと私は思っています。非認知能力の重要性は疑いもないものです。その非認知能力を鍛える意味で従来型の学習方法(記憶重視)は改められなければならないと思います。

  3. 某コーヒーチェーン店を訪れると、どの店員さんも皆楽しそうに、また、皆頼もしい様子で接客をしてくれます。先日はたまたま研修中の店員さんに対応していただきましたが、そのぎこちなさよりも、そのぎこちなさを寛大な目で見守る、後ろで指導役であるのであろう店員さんの振る舞いがとても印象的でした。その研修の方がどこの大学を出ているのか、また学生なのか、社会人なのか、またその後ろで見守る店員さんの学歴は、そんなことは考えるまでもなく、いい対応、いいお店で、それは売り上げに直結していると思います。そういう人格形成を、職業訓練を成立させる仕組みや風土について、まさに今、興味が湧いてきます。

  4. これからの時代に必要なスキルをどのくらいの人が持っているのかということについて〝成功するために必要なスキルにおいて優れていると見なせる大卒者は、24%しかいない〟とあります。今の大卒の人がそれだけのパーセンテージであるということは、以前はもっと少ない人数だということが予測できます。ということは、現代の人たちはその「成功するのに必要なスキル」を学ぶべきであることが分かります。むしろ、子どもよりも即必要であることを考えると、今すぐにでも伸ばすべきものであることを感じます。先に社会に出ていて受け入れる側の人間も受け入れる態勢を整えておくことが求められているのではないかということを思いました。

  5. 今回の内容のみそは、決してソフトスキルだけを持っていても社会に出たら意味がないということではないでしょうか。ソフトスキルが重要であることや、それを見守る保育という形態が育んでいるということはいうまでもありませんが、それと同時にこれからの世の中ではハードスキルも持っていなければならない、といっているように感じました。そしてそれこそ今取り入れようとしているSTEM教育がその力を育成してくれるのではないかと大きな期待を抱いています。

  6. Toshiさんのコメントに「日本人で義務教育を経た人の3割が日本語を読めない、つまり理解できないとか。若い人々が今日の職場で成功するには、基礎的な読解力と数学力だけては不十分」とありましたが、私自身も義務教育の大切さを感じます。3割が日本語を読めないのは、義務教育のシステムに問題がり、一斉に指導することで発達に合った教育が受けられないことにあるのではないでしょうか。どこの大学を出たとか、留年をしたとか、やはり学歴社会ではまだありますが、教育とは義務教育だけで完結されるものではなく、一生続いていくもので終わりがないものです。一斉指導ではなく、個々のどこでつまずいているのか、しっかりとその課題を乗り越えていくために、義務教育はただ受けさせればいいのでなく、本来の教育のあり方を見直さないといけないのかと思います。

  7. 「ハードスキルとソフトスキルの両方が、これからの子どもを育てる上で必要不可欠だという認識を、学校、親に持たせないといけないと言うのです」とありました。ハードスキルとソフトスキルの両方がないといけないということですね。ドイツの森のようちえんで自然物を使って不等号や数の大小を理解する取り組みを行っていたことを思い出します。日本では極端な事例が多いように思います。放任か徹底して教え込むかではない部分が大切になってくるように思いました。また、日本の幼稚園=教育というあのイメージも何とか崩したいという思いを抱きます。本来の教育とはどういうものなのかもっともっと多くの人に理解してほしいなと思います。

  8. マリオット氏の発言を聞いているとやはり、ハードスキルよりも、しっかりとしたソフトスキルの土台があってこそのハードスキルなのだということが分かります。よく、小学校のときに算数の文章問題を解くときに「相手がどういったことが言いたいかを見なければいけないよ。算数も国語ができないとできないよ」といわれたのを思い出しました。「相手が何を言いたいのか」ものごとを考えることにおいても、「見通す」ということは非常に重要であり、そこに非認知能力といったものが関連してくるのだと思います。「幅広い知識コンテンツ、情報テクノロジースキル、高度な思考力、変化に柔軟に適応する力、異なる文化を持つ人や異なる働きをするチームとの対人関係スキル」これらにおいても、ハードスキルだけではカバーできません。そこに向き合うスキルが必要であり、教育の場においてこのことを考えていくことは大切になってきますね。

  9. “これからの世の中において成功するために必要なスキルにおいて優れていると見なせる大卒者は、24%しかいないことが判った”とあり、これからの時代を担う人たちの中にしっかりとしたスキルを身に付けている人が半分以下というのは、教育の見直し、そして、その基礎にある乳幼児期の保育教育のあり方のもっと見直さなければならないということがわかります。テストのための学習ではなく、”全ての職場に求められる姿が、地球の多様な人々と繋がり、分業して間題を解決する”であるために、ハードスキルと両立したソフトスキルが必要であることが大切だとわかります。

  10. 世界的に見ても、これから必要とされるスキルが明確になっている以上、私たちはそれに合わせて子ども達を育てていく必要があります。おそらく有名な企業は、そうした人材を必要としていると理解した上で採用を決めているのでしょうが、一般的にはまだ教育という分野について意識改革が行われていないと思います。これから子どもを持つ親、それこそ乳幼児施設に預けている保護者の方達の意識を変えるには、やはり我々現場が子ども達の姿や実践から伝えていきたいと思いました。

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