カギになる要因

キャシーらが健康で生産的な人生を送る子どもを育てるためには、子ども自らが動いて、自然にスキルを繋げ、成長させてゆく方法を取るのがよいと言う結論に達したというモデルはオリジナルなものではなく、過去10年の間に世間に広まった多くのテーマを取り入れてできたと言います。しかしこれらのスキルを学校外の文脈で育むために家庭や地域を学びの場にしようと考えているところが、これまでにない新しい知見だと彼女らは言うのです。幸せで生産的な子どもを育てるにはハードスキル以外なことも学ばせなければなりません。キャシーらが選んだ「C」は子どもが個人としても職業人としても豊かに生きてゆくために必要なツールであり、子どもが生涯をかけて、ずっと磨き、伸ばし続けるツールだと言うのです。

最近「アメリカ公衆衛生ジャーナル」で公表された研究は、「ソフトスキル」の重要性を明らかにしました。研究者は、753名の子どもを、幼稚園から25歳になるまで20年間追跡調査しました。その結果、子どもの20年後の成功を予測する上でカギになる要因がわかったそうです。その要因とはやはり知能指数(IQ )でしょうか?それとも家庭の社会経済的地位でしょうか?実はそのどちらでもなかったのです。幼稚園の時、社会的に有能で、モノを分け与えることができ、他者と協力し助けることができる子が、そうでない子に比べて、高学歴で、高収入の仕事についていたのだそうです。統計的な精査により、この結果には人種も性別も影響しないこともわかったそうです。

子どもの社会的有能さを5段階評定してその点数で比較したところ、更に興味深い結果が得られたそうです。社会的スキルの点数が1点上がると大学進学率は2倍に増え、25歳の時点で正社員として就職している人は46%多かったそうです。デール・カーネギーは正しかったのです。社会的スキルが何より大事だったのです。幼稚園時点での社会的スキルから、子どもの人生の「成功」と大人になってからの仕事を予測できてしまうなら、私達の教育のあり方も考え直す必要があるだろうとキャシーらは言うのです。学校でも、家庭でも、お勉強の成績やテストの点数だけにこだわらない、子どもの幸せや成功をもっと広い視野で、全体的に捉えるように変わっていかなければならないのです。

6Csは、健康で思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる、幸せな子どもを育てることこそ「成功」であるという、広い視野に根ざした発想です。

そのためにキャシーらは次に6Csの一つひとつについて探究していきます。そして、他者と協力し、創造的で、自分の能力を存分に発揮する、責任感溢れる市民に、子どものみならず、私達全員がどのように成長してゆくか、追究していきます。

キャシーは、最初に文化人類学者であるマーガレット・ミードの言葉を引用しています。「少数の、思慮深く、積極的に関わろうとする市民だけが世界を変えることができる。これは疑いのないことだ。」

瞬きする間にコンピュータの教育アプリが新たにでき、You Tubeにミュージックビデオのパロディがアップロードされ、オンラインゲームの最新バージョンがリリースされます。子ども達も、今この瞬間、画面にくぎ付けになります。約束した制限時間を超えても、もう少しだけやらせてほしいとあなた方に何度も頼みます。これだけ画面に向かっている時間が、子どもたちにどんな風に影響しているのでしょうか。

カギになる要因” への10件のコメント

  1. 6Csは「学校外の文脈で育むために家庭や地域を学びの場にしようと考えているところが、これまでにない新しい知見」であるということでした。保育現場や教育現場という限られた時間や場所に囚われない、より広範囲な協力体制の構築、また、そういった他環境との連携を促す素晴らしい考えですね。1つの施設などでは大変だからとかいう理由ではなく、「園が地域の核」になりながら、子どもをみんなで見ていく体制の方が、より子どもの「成功」に繋がるというのは大切にしたい視点です。そして、私たちの成功の定義としても、「健康で思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる、幸せな子どもを育てること」があるということを忘れてはいけませんね。

  2. 日本の学者の皆さんにも、研究データ分析の結果に基づいて、子どもにとって、学びとは遊び、と結論づけてもらいたい、と思いました。残念ながら、キャシー氏らは米国における調査研究の成果から子どもたちが将来「成功」するために、その子ども時代に何が必要か、を説いています。素晴らしいことだと思います。「幼稚園の時、社会的に有能で、モノを分け与えることができ、他者と協力し助けることができる子が、そうでない子に比べて、高学歴で、高収入の仕事についていた」という結論に賛意を表したい。私自身、子どもの選択を信じてこれまでやってきましたし、今もそうしています。これからもそうするつもりです。「子どもの存在を丸ごと信じる」とは、私たち大人がわが子の選択を幼い頃から信じ切る、ということだと思っています。そして、そのことが間違っていなかったことを現在確信できます。親はどうあるべきか、ではなく、親はおぎゃあと子が生まれたその時から、その子の選択を一つひとつ具体的に信じること。このことが肝要であると私は思っています。今回のブログを読んでそのことを再確認できました。

  3. 幼少期の社会的スキルの高さこそが成功の鍵である、私たちの実践する保育をこのように裏付ける研究があることがとても心強く、また、自信になります。そしてそれは、幼稚園に通う3歳からでは少しの難しさが伴ってしまうのではないか、やはり乳児期からの園での子ども同士の関わりが大切なのではないか、というのは現場からの目線です。そして、3歳から通うにしても、子ども同士、子ども集団、発達と課題によって集団を構成できるような保育が展開されていなければ、やはりそれも社会的スキルを育もうとすることはとても難しいことではないかと思えます。

  4. キャシー氏が選んだ6つのCは〝子どもが生涯をかけて、ずっと磨き、伸ばし続けるツールだ〟この言葉が印象に残りました。やはり、人間に生まれた以上、生涯をかけて学ばなければならないということが分かります。今、足りないものは補い合うことができる、そして、補い合いの中で学んでいく、人と関わることがその補い合いの中での学びにつながるのではないであろうか、そのように感じました。ということは、この関わり合いの連続を止めてしまうことは、生涯をかけての学びを止めてしまうことになるのではないか、そんな風に思いました。
    そして、最後の文脈につながります。画面に釘付けの子どもたちばかりの未来はどんな未来なのでしょう。その中での自分たち大人の役割はなんなのでしょうか。関わることを止めることだけはしたくはありませんね。

  5. 幼い頃に友達に分け与えることが出来た子がその後の成功を掴みとる、この一文だけを聞くとそれができるようになればいいのかと思ってしまいますが、そこに子どもの意思が介在し、なおかつ“分け与えたいと”心から思わなければならないというのが難しいところのような気がします。今現在一歳児クラスを担任していて、まさに“貸して?””いいよ“のやり取りが出始める時期だからこそ保育者がやれと言ったから、保育者がやらないと怒るからといった外的要因が子ども達の心に介入しないように気をつけて保育したいと思いました。

  6. 「学校でも、家庭でも、お勉強の成績やテストの点数だけにこだわらない、子どもの幸せや成功をもっと広い視野で、全体的に捉えるように変わっていかなければならないのです。」とあり、まさに捉え方を変えなければ日本の教育は終わりに近いのだと思います。学力主義よりも時代の価値観の変化などもありますし、ただただ学力を身につければいいだけでは生きてはいけない時代になりました。
    そして、6Csは、健康で思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる、幸せな子どもを育てることこそ「成功」であるという、広い視野に根ざした発想です。」というのは見守る保育の考えと似ており、生涯を見据えた本当に子どもたちのためになる保育を今後も提供し、見守る保育を広めていきたいと思います。

  7. 「幼稚園の時、社会的に有能で、モノを分け与えることができ、他者と協力し助けることができる子が、そうでない子に比べて、高学歴で、高収入の仕事についていたのだそうです」これままさに人類が生き残ってきた上で重要な能力であるという感じがしますね。まさに相手の気持ちを理解することができる、共感力がある姿とも言えるように思いました。やはりこの力が重要になってくるのかなと膨らんできます。そのためには乳幼児期から他者と関わる経験を通して、もともと人が持っているその力をさらに伸ばしていく必要がありますね。かつては普通にしていても自然と育まれてきたのでしょうが、現代ではそれが育まれる環境が、本当に一部の地域や乳幼児施設にしかないのかなと思えてしまいます。

  8. ここでキャシー氏とマーガレット・ミードがつながるのですね。どこかで見た名前であったと思って、過去の臥龍塾ブログをひも解くと、何度もその名前が出てきました。どこかで参考になる人とのつながりは出てきますね。そんなことはさておき、「幼稚園の時、社会的に有能で、物を分け与えることができ、他者と協力し助けることができる子が、そうでない子に比べて、高学歴で、高収入の仕事についていた」とあります。幼稚園の時ということは、まさに今自分たちが受けている子どもたちはドンピシャであり、乳幼児期教育の必要性がここで強く言われていると帯を締めてかからねばいけないことだということが分かります。では、どうすればそういった子どもたちになるのでしょうか。その時にこれは保育においても大きな課題です。そこには環境が大きく関わってくるように思うのですが、どうなのでしょうか。

  9. 追跡調査により、子どもが大人になったときに、成功したものには、他者理解や相手との共存、協同できることが鍵となっていたことは、私たちが大切にしている子どもも同士の関わりによることがつながりを感じます。その中で、私たちは子ども同士が関わりを持っていればいいではなく、子ども同士がどんな関わりかたをしているか、どんな体験をしているのか、その中、環境の質の高さをいいものである必要性を考えます。そうしたものが、ソフトスキルを身につける上で必要なものになるだろうし、6Cs をから考えると、重要であることを感じます。そのために、子どもの姿と研究により、明らかになったことを照らし合わせながら保育に向かう姿勢が必要と感じました。

  10. 健康で思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる、幸せな子どもを育てることこそ「成功」と書かれてあります。関わって生きると書いてあるように、子ども同士の関わりの中で学ぶことであり、授業などで大人から学ぶことではないですね。コロナの影響で蜜を避ける、オンライン授業など人と関わることが少なくなってきています。そうなると子ども達はますますタブレットにのめり込んでしまいますし、オンラインで人と関わっているので満足してしまいそうな気がします。しかし、今日のテレビで大学生が対面授業の重要性を学生自ら話していたので、そうした感覚を持った学生が増えて、対面での学びの重要性を認識して欲しいですね。

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