幼稚園・保育園の影響

四つのパートから構成された保育プログラムの活動を通じて、自分の身体や感情についてしっかりと認識し、そのうえでそれらをコントロールできるように学ぶことを目的としているそうです。これらの前後に、感情の実行機能と思考の実行機能を測定したそうです。その結果、マインドフルネスは特に感情の実行機能に非常に有効であることが示されたそうです。感情をコントロールすることを目的としているので、これは当然の結果と言えるかもしれないと森口氏は考えています。また、思考の実行機能も一部の子どもでは向上したそうです。

この方法はタイの子どもに向けられたものなので、このままのやり方が日本の子どもに当てはまるとは限らないかもしれませんが、マインドフルネスは有効だと森口氏は考えています。森口氏は、いくらマインドフルネス訓練を保育園で実施したとはいえ、それは、一人一人に行なった訓練で、個々の子どもを対象にした実行機能の向上訓練について考えてきたのです。そこで、彼は、では、保育や幼児教育などの場で行われる、集団活動についてはどうかを考察していきます。

そもそも幼稚園や保育園に行くこと自体が子どもの実行機能の発達にとって重要な意義があると森口氏は考えています。特に、この点は、家庭に間題がある子どもにとって顕著であると言います。以前、家庭環境が子どもの実行機能に与える影響について見てきました。貧困層やネグレクトがなされている家庭では、それ以外の家庭よりも、子どもの実行機能が著しく低いことが示されていました。これは、子どもがストレスを経験することが多いこと、しっかりと関係を築くことができる大人がいないことに起因していることを説明してきました。

そうだとすると、幼稚園や保育園において、子どもがストレスを経験せず、楽しく過ごすことができると、子どもの発達を支えられるかもしれないと考えられます。好きな教諭や保育士がいて、関係を築くことができれば、子どもは実行機能を育むことができるかもしれないというのです。実際、子どもは親以外に保育士とも、アタッチメントを築くことができます。特に、親との開係がうまくいかない場合でも、保育士とのしっかりとした関係性を形成できる事例が報告されています。

さらに、幼稚園もしくは保育園に通うことが子どもの実行機能を下支えする可能性が最近の研究から示されているそうです。東京大学の山口博士らの研究は、母親の最終学歴が高校卒業未満の家庭と、そうではない家庭の子どもが、保育園や幼稚園に行くことでどのような利益があるかを調べたそうです。母親が子どもに与える影響が大きいのは以前、森口氏は触れています。この研究では実行機能そのものは測定していませんが、多動性という、実行機能と関係する行動を測定しています。その結果、母親の学歴が高卒未満の家庭は、幼稚園や保育園に通うことによって、子どもの多動性が著しく減少することが示されているそうです。一方、母親の学歴が高卒未満の家庭以外では、幼稚園や保育園に通うことは子どもの行動にあまり影響を与えていなかったそうです。

このように、幼和園や保育園に通うこと自体が子どもの発達にとっては重要であるようだと森口氏は言うのです。