新しい育休2

ドイツにおける育児休業は、3年間ですが、それを分割して取れるということです。ですから、生まれて1年間の育休、その後小学校1年生になった時に1年間、精神的に不安定になるころに1年間と、育児中に分割して合計3年間取れると聞いたことがあります。さすが、育休先進国だけあって、それはいいですね。3年間といって、3歳まで家庭の中で母親だけに育てられるのは、今の子ども環境では、社会的スキルをはじめとしていろいろな部分での発達に偏りができてしまう家庭環境があると思うからです。

もう一つ、ドイツの育休の素晴らしいところがあります。それは、ドイツでは保育園への入園は、保護者が必ずしも働いているなど保育に欠けることが条件になっていないことです。ドイツには、「保護者が1歳児以上の子どもを入園させたいと思ったら、すべて入園させなければならない」という法律があるそうです。それは、1歳以上の入園は、子どもにとって必要かどうかで保護者は選択できるのです。

最近は、いわゆる先進国と言われている国々では少子化です。家庭にはきょうだいは少なく、祖父母とも過ごさなくなり、地域の中で他の子と遊んだり、近所の大人たちと接することが少なくなりました。そのために、赤ちゃんの頃からの社会的スキルが身に付く機会が減ってきてしまっています。最近の研究では、トマセロが9か月革命を提唱したように、赤ちゃんは生後9カ月になると、他者を、意図を持った存在として認識しはじめ、親子という二項関係から、三項関係へと世界を広げていくことがわかってきています。それに関係するのか、人類は母親が次の子どもを妊娠するためにほぼ上の子が9か月くらいになると、母親のもとから社会の中で共同保育をされてきたと言われています。

そのようなことから考えると、子ども集団があり、様々な大人がいる保育園は、現代の子どもにとって、将来社会で生活する上でとても重要な環境です。そのような環境が子どもに必要なのは、保護者が働いているのかは関係ありません。しかし、どうしても乳児のころは、熱を出すこともあるでしょうし、あまり長時間他者の中にいることは赤ちゃんにとっては負担がかかりすぎます。その時にフルタイムで仕事をしているとどうしても無理がかかってしまいます。そこで、赤ちゃんが3歳になるくらいまでは育児休業をとれるようにするとか、育児時間を取得できるようにすることが大切になってきます。

しかし、現在日本では、3歳未満児において育休中は保育園に入園できません。また、待機児が多い地域では、就労時間を短くすると保育園には入園が難しくなってしまいます。日本で、もし3歳まで育休が取れるとしたら、都会では3歳まで、母親と二人っきりでマンションの1室で過ごすことになってしまいかねません。それは、子どもにとって必要というだけでなく、母親にとっても、3年間も24時間子どもといることはどんなにかわいいと思っても精神的に負担がかかってしまいます。それは、人類が乳児から共同保育をしてきたと言うのは、親のとってもある時間子どもと離れることが必要だからかもしれません。最近、親から乳幼児対する虐待が増えています。それは、育児が母親の背中だけにかかってしまうこともあるかもしれません。もっと、子どもを社会のネットワークに中で育てていく必要があると思っています。最近は、愛着理論が母子に限らず、集団社会化理論とか、社会的ネットワーク論のように様々な他人の中で育てられていくことの必要性が訴えられてきているようです。

新しい育休2” への8件のコメント

  1. 日本でいうところの「保育を必要」としない家庭であっても入園できるというのはすごいですね。その時期の子ども集団の重要性や保護者と子どもとの距離感の提示など、様々データをもとにそういった政策が実地されているのですね。過去に、幼稚園よりも保育園に入園している家庭の方が、子どもの人数が多いという研究結果を耳にしました。子どもと共有する時間と兄弟児の人数との相関関係があるとするなら、トマセル氏の9ヶ月革命のように、そういった時期に子どもとよ良い距離感を保てる方が結果的に育児を楽しめるということかもしれませんね。

  2. 親の都合による子どもの保育園就園という考え方にそろそろ終止符を打てないものかと思います。私たちホモサピエンスにとって複数他者との関係性の中で育ちいくことがとても大切なことが昨今あちこちで言われているような気がします。それでも、親の就労支援としての保育所という考え方がいまだに相当強い。ところが、就労せずに家庭で子どもを育てている親でも他の子どもとの関わりが必要だということを感じているようです。だから、保育園に子どもを預けられない育休中の保護者は子育てサークルや子育て支援プログラムを探しては我が子の社会性の発達を保障しようとしているようです。少子時代になったにもかかわらず、相変わらず家庭育児を声高に叫ぶ老人政治家の姿を見るにつけ、その時代錯誤性を嘆かざるを得ないのです。これも選挙の結果かと思うとこの国の民主主義的在り方とは一体何かと思ってしまいます。子どもの育ちにとって他の子どもたちの存在はマストです。従って、保育園こども園の存在もマストです。このことの認識の徹底を求めていきたいと思うのです。

  3. 自分は保育園に1歳半ほどから預けられていましたが、親が保育園に子どもを入れるというと、親族などからバッシングされたということを聞いたことがあります。ですが、現在は子どもが保育園に行くということをバッシングする人は多分いないか少なくなっているでしょう。
    そんな感じで現在は「保育に欠ける子ども」という大人の理由みたいなものがある日本の制度が、ドイツのように「1歳以上は希望すれば全て」という制度になり、社会の風潮もそうなっていくのでしょう。そうなる時にはどんな日本になっているのか、楽しみです。

  4. なぜ育休が必要なのか、なぜ子どもが園へ通う必要があるのか、その理由が解き明かされていくかのようですが、全てこれまで学んできたことです。それなのにそれをこうして集約させ、大きなまとまりとして表現できるのは先生だけのように思われ、新しい制度をつくるに沢山の頭脳が集められる、その際に先生がそこにいるならば、日本は大きく変わることができるのにと思います。表現する為には学ばなければならない、そうしなければ奥行きが出ない、臥竜塾ブログは先生の奥行きに触れることのできる機会でもあることを改めて感じました。

  5. ドイツの育休取得の方法はとてもいいことだと思います。しかし、実際日本で始めると指定しない限り、「3歳まで家庭で保育」ということになってしまうでしょうね。そのあたり日本は「3歳児神話」が強いことで社会的な意識も含め、母親の負担になりかねないですね。そのため、保育施設は現在において、非常に重要な意味を持ってくるようにも思います。しかし、それは従来の「教育機関」という意味合いだけではなく、「福祉」としての意味合いが意図も盛り込まれていくように思います。本来の「子どものため」の施設としてあるためには、こういった現在子どもの発達にとって必要な環境を作ることが未来にとっても重要な意味を持っているように思います。だからこそ、その「必要」とされるところをより知ることや議論すること、意識することが求められますね。

  6. 長い時間子供と二人きりだと、いくらかわいい我が子でも負担になるのでしょう。私は子供を持っていないからわかりませんが、クラスを担任として受け持っていると、24時間一緒にいるわけでもないのに子供と接するのが億劫になってしまうことがたまにあります。そういった意味では見守る保育の性質上より多くの大人と関わるために作られていると思っていた他のクラスの先生が見る時間というのは大人にとってもリフレッシュする時間になるのですね。

  7. 親の就労に関係なく、1歳以上の子どもを入園させたいと思ったら全て受け入れなくてはいけないという法律を作ってしまうドイツはさすがですね。乳幼児施設が誰のためのものであるのかということが日本とドイツでは違うということを感じてしまいます。日本では母親が働いていない多くの家庭では保育園には入れないので、幼稚園に入ることになるのかなと思います。そうなると3歳近くまで基本的に親と子どもで過ごすことになります。想像することしかできませんが、どちらにとってもストレスは大きいだろうなと思います。9ヶ月革命、共同保育ということから考えても子どもは社会で育てることが自然であるということが分かります。以前、藤森先生も言われていましたが、全ての子どもを乳幼児施設が受け入れることができれば、社会の様々な問題はいい方向にいくということはとても納得ですね。

  8. あらためてドイツの子育て環境を知ると、本当に素晴らしいと思います。もちろん日本も世界的に見ると低い訳ではないのかもしれませんが、先進国であるならば良いことは真似して、どんどん社会全体が良くなる方向に進めて欲しいと思います。
    そして最終的に子育ては母親一人だけで担うものではなく、社会全体で行うことは言うまでもありませんね。長男が1年生になったのをきっかけに地域での友達が急激に増えました。同じとしはもちろん、少し上の子ども、さらに年上の子どもと関わる機会が増え、毎日一緒に遊んでいます。こうした地域の関わりができることに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

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