同調の時代

ハリスは、思春期はたびたび同調の時代、すなわち仲間たちから最も影響を受けやすい年代だと評されますが、人はどんな年齢においても仲間たちからの影響を受けやすいのだと言います。そして、思春期よりもおそらく子ども時代のほうが同調することが多いだろうと言うのです。社会心理学者ソロモン・アッシュによると、あの有名な集団同調性テストにおいて全被験者の中で最も多数意見に流されやすかったのは10歳未満の子どもたちだったそうです。他の子どもたちが全員間違った判断をする中で、最も幼い被験者のわずか一握りだけが正しい知覚判断をつづけることができたそうです。子ども時代は同調への圧力が最も強い時期なのです。

誰からより強く影響を受けているか、たとえばもし親と友人がそれそれ相反する助言をした場合どうするかと子どもに聞くと、幼い子どもほど親の意見を参考にすると答えます。もっともこの質問は状況に関係なく聞いたものであり、聞き手も大人です。子どもたちは質問の意味を「親と友だち、どっちが好き?」と解釈してしまうかもしれません。当然彼らにとっては友人への愛よりも親への愛情の方が強いのです。その答えは心の中でも個人間の関係を司る部分が出したものですが、長い目で見た場合、家の外の世界で彼らがどう行動するかを決定するのは集団を司る部分であるはずだとハリスは考えています。

子ども時代は同化の時期だと言います。この時期に子どもたちは同じ年代、同じジェンダー集団に属する各人たちと同じように行動することを学びます。子どもたちはこうして社会化を果たすのです。年齢集団が子どもと大人の二つしかない社会では、14年という歳月はまずまずの大人をつくり上げるには十分だとされています。そのような社会では成人した男性、女性のあり方がかなり明確にされているのです。その点に関しては選択の余地はほとんどありません。

ところが子ども時代は分化の時期でもあります。地味か派手か、頑固か柔和か、敏捷か緩慢か、子どもは自分がいかなる人間であるかを同じ集団の他のメンバーや、同性で同年代の他の子どもたちと自分とを比較することで、または比較されることで学ぶと言われています。彼らはそこで学んだ内容をひっさげて、次なる年齢別カテゴリーへと進級していくのです。

もし社会が思春期という時期を提供してくれるのであれば、思春期にこそ彼らはその情報を活用するのです。先進社会では、大人は専門分野をもつことを要求されますが、それは多様な選択肢から選ぶことになります。そしてその選択を行なう時期が思春期なのです。ティーンエイジャーが自分自身を各集団に分類するときには、彼らは自分自身のもつ顕著な特性を見極める作業をしていると言います。彼らは別の方向ではなく、ある一定方向に前進することに决めるのです。このような判断は改変不可能ではありません。ハリスの下の娘はそれを立証してくれましたが、いくつかの選択肢を排除してしまうことにはなります。大学人学資格は高校の卒業証書とは違います。28歳で大学に入学することは18歳で入学することとは違うと言うのです。