三日目に訪問した園は、「小さな科学者」という取り組みをしている園ですから、園のコンセプトは、「小さな科学者」「統合保育」「地域とのつながり」「保護者とのつながり」であり、「すべての物事に対してオープンな心を持ち」、「何事も決めつけない」、「新しいものに取り組むことにもオープン」、「子どもに指示はせず」、「子どもと距離を置いて見守る」です。
子どもが楽しむということが最優先課題であるために、保育プランには、ねらいは立てません。たとえば、「子どもが松ぼっくりを見つける→先生に見て!見て!と言いに来る→先生は一緒に見てみようとする→子どもの疑問には一緒に考える→その手順の記録をとる」
この記録がポートフォリオと呼ばれるものとなり、子どもの関わりながら書いていき、いつでも保護者が見ることができるように置いておきます。また、その記録は、主に写真構成になっています。
テーマに沿った手順には、「実験」「数学」「自然科学」「情報」の四つありますが、その中で情報が最も面白かったそうです。しかし、手順はマニュアルではないので、個人の得意、個性を生かすことが大切です。今年のテーマは、「何か動くものを見つけよう」というものだそうです。
三日目の午後訪れたのは、1958年に小学校として建てられた建物を34年以来幼稚園として利用しているシュタイナー幼稚園です。シュタイナー幼稚園というのは、ルドルフ・シュタイナー思想である人智学に基づく保育実践園です。シュタイナー園は、ドイツが発祥ですが、なかなか見せてくれるところがないために、今年訪れた園は、ほぼ毎年訪れている園です。ですから、その報告は毎年書いています。
この園は0~3歳児が10名、3~6歳児が二クラス50名で、スタッフは清掃スタッフを含んで9名です。7時から登園、8時から10時まで自由遊び、11時前後のおやつを食べ、11時30分から12時30分までが外遊び、13時から14時が昼食、その後外遊び、16時45分に閉園です。どの園でも、デーリーを聞くと、昼食が遅いのにはびっくりします。日本では、随分早いために、午前中の活動がバタバタになってしまうことが多いのですが、ドイツでは昼食があるために、ゆったりと午前中を過ごすことができます。
保育は、自然素材の遊具、ワックスを使ったお絵かき、卒園児による手芸などが特徴的です。また、昼食の献立も曜日ごとに決まっており、保護者が当番制で作り、園にデリバリーします。メニューは、月曜日はスープ、火曜日はジャガイモ、水曜日はピザなどリクエストメニューでお楽しみ、木曜日はヌードル、金曜日はライスが中心です。おやつは、月曜日がコメを使ったもので、牛乳がゆなど、火曜日はクラッカー、水曜日はフィルゼという穀物クッキー、木曜日は麦を脱穀したパン、金曜日はミューズリーという押麦に牛乳を入れたものです。保育のメニューとしては、水曜日は園外活動、木曜日は粉をひく、金曜日はオイルトミューです。
今回、毎年訪れているので、シュタイナー独特の装飾を中心に写真を撮ってみました。自然素材、絹の布、人形などを上手に使っています。