2017韓国二日目午後

二日目の午後の施設見学は、昨年お世話になったハンソル未来教育財団の運営している施設2箇所でした。昨年紹介したように、この財団では、国内140カ所くらいのオリジニップの運営を委託されています。この財団は、ほかにも様々な施設、事業を展開しているそうです。特にオリジニップの運営を委託されている企業は、大きな有名なところが多いので、その子弟を預かるということで、保護者にインテリが多くいます。また、資金も国からの補助の他に、企業からもかなりあるそうで、遊具が豊富で、贅沢な空間作りになっています。

この背景を見ると、全体の質の底上げとして有効なヌリ課程が、それ以上の保育を目指すときの妨げになっている部分を感じることができます。様々なルールや規則、役所からの指導は、基本的には性悪説からきているのではないかと思うことがあります。もっと、園を信頼してくれてもいいのですが、どこか悪いところがないかを探し、ちょっとしたミスでも、さも悪意を持ってそれをしているかのような指摘をします。日本での監査では、書類を細かくみて、その作成に子どもを見る時間が減るのではないかと思われるものや、そうでなければ、時間外で作成しなければいけないようなものを要求してきます。本当にこれで質が向上するのかと思ってしまうのですが、それを監査官に言うと、「あなたの園は、見ればわかりますが、他の園では基本的なところができていないところが多いのですよ。せめて書類を整えさせることが、ある質を保証しているのです。」と答えます。たぶん、これに似たようなところがヌリ課程にあるのではないかと思います。ですから、私たちの見学先では、かなりヌリ課程に否定的な園が多いのもそのような事情からなのでしょう。

午後の1カ所目は、青瓦台に勤務している職員の子弟が通う施設です。青瓦台とは、日本で言えば、首相官邸、アメリカではホワイトハウスと同じで、韓国のソウル特別市鍾路区の北岳山の麓に所在する大統領官邸です。その建物の瓦が青いのでその名が付いています。そこに勤める保護者ですから、要求も多いのでしょうか?また、そのような裕福な保護者が多いので逆に少ないのでしょうか?私の経験からすると、少ない気がします。もちろん、高い質であることは当然ですが。

まず、この園は隣接して2園造られています。どのように分けているのかわかりませんが、もう一棟は最近できているので、増築したのでしょう。希望者が多くなったので、部屋に多く詰め込むとか、その建物を増築するのではなく、別棟にきちんとした様々な機能を備えた別の園をつくるとはさすが贅沢です。それは、建物がそこに入所する子どもの定員で完結するような造りになっているからです。それは、外観も園庭からも感じます。私の園では、園庭や保育室以外の各室はそのままで、定員を1.5倍にするように区役所から要求されました。様々な事情からしかたないと判断し、受け入れたのですが、当初の感謝はどこへやら、いろいろなことを次々に要求してきます。

昨年、ヌリ課程でどこまで規定されているのかということを思ったのですが、今回、ランチルームが用意されているのは、独自の取組みのようです。ここには立派なランチルームがあるのですが、その後見学した、この財団が委託されていない園には用意されていませんでした。しかし、園庭に菜園を用意することは規定されているようです。近くの公園を園庭がわりにすることは認められているのですが、きちんと園と契約をして、そこに園児による菜園を用意することが決められているようです。ですから、いくら企業所内の園でも菜園を持っていました。     

2017韓国二日目午後” への13件のコメント

  1.  メリットとデメリットが見えてくるようですね。それと同時に、韓国もまた日本と同じく、子どもたちのことを真剣に考えるからこそ、現場を真剣に考えるからこそ、生まれる悩みに直面しているということを感じます。言葉は違えど共有できることは多くあることでしょう。先日、「満員電車をなくす方法」という面白い話を耳にしましたが、その話によると、政府の高官が満員電車で通勤をしていないから満員電車というのはなくならないのだそうです。困っていない人にいくら頼んでも困ってないのだから本気になって取り組まないのだそうで、なるほど一理あると思ってしまいました。実際に一年でも現場でチームを組ませてもらえれば、きっとわかってもらえることも多いだろうと思ったりします。

  2. 「全体の質の底上げとして有効なヌリ課程が、それ以上の保育を目指すときの妨げになっている部分を感じることができます」とありました。全体の保育の底上げには一役かっているヌリ課程であっても、それ以上の保育を目指す際には妨げになってしまうという問題を抱えているのですね。この園は、ヌリ課程における基準は満たしており、さらに質を高めようとしている園であるということがしっかりと定められるといいますか、理解される、それを理解してくれる人が監査官という立場にいてくれるといいなと思ってしまいます。しっかりと教育を理解している人がそういう立場の中にも増えるといいのかなとも思ったりしました。希望者が多くなったことで、詰め込むのではなく、別の棟を作ったとありました。日本でもどちらかというと詰め込もうとしているのかもしれませんね。もっともっと質という部分に注目が集まるような動きが高まってくるといいですね。

  3. 「全体の質の底上げとして有効なヌリ課程が、それ以上の保育を目指すときの妨げになっている」とあったことが印象的でした。これはマニュアルのデメリットでしょうか。マニュアルにとらわれすぎると、マニュアル外にある大切なことを見落としがちな印象があります。スタンダード化と言っても難しいものがあるのですね。理念やスタンスなどの根底はスタンダード化しつつも、地域性などを加味した独自の取り組みなどの部分は各園に任せる柔軟な形が良いのかなと感じました。また「希望者が多くなったから、部屋に多く詰め込むとか、その建物を増築するのではなく、別棟にきちんとした様々な機能を備えた別の園をつくる」とあったことに羨ましさを感じてしまいます。しかし、そうできるものであればどの園もそうしているように思えます。そういった意味でも乳幼児教育への国からのバックアップ的なところがないと難しいように思えてきます。

  4. 日本でいう監査のような出来事が韓国にもあり、それがあることで〝それ以上の保育を目指すときの妨げになっている部分を感じる〟とあるように現場の伸びしろの部分を阻害しているかのようなことがことがあるんですね。保育の質を高めるということが、将来につながるものであるということを考えていくと、どのようなことが求められるのか、ということを理解してくれる人が増えていくといいな、と感じます。
    さらに、この園では詰め込むということはしないで、別棟を建てるという選択をしているということで、日本でも待機児童を解消することだけでなく、質の部分もクローズアップされていくことが望まれます。

  5. 国によって多少違うところがあるかもしれませんが、実際に行っていくなかで、確かにいい部分はあるが、形がありすぎることで、評価がつけやすくなるのではないかという考えが生まれることはわかる気がします。ヌリ課程のように国によって保育の質の向上のための背景には、疑問があるということについては、もっと子どもに必要な教育、保育の必要性を世界的に統制がとれると自然になってくるのでしょうが、難しいことなのだと思います。皆が同じ方向性を向くためには、と常に議論を広げていかなければならないと感じます。また、”希望者が多くなったので、部屋に多く詰め込むとか、その建物を増築するのではなく、別棟にきちんとした様々な機能を備えた別の園をつくる”というのは、大胆でありますが、日本が待機児童解消のために小規模施設を立ち上げたのとは意味合いが違うことを感じ、質を保証とした上での政策は、意識をむけていかなければならない課題だと考えられます。

  6. 監査官の例はとても理解しやすいですね。「せめて書類を整えさせることが、質を保証している」という言葉は腑に落ちませんが、納得してしまいました。しかし、監査官が「あなたの園は、見ればわかりますが、他の園では基本的なところができていないところが多いのですよ」と言うのならば、なぜ監査で保育の基本的なところを指摘しないで、書類ばかりチェックするのでしょうか・・・とここで愚痴を言っても意味がないですね。ただ韓国、日本の保育の底上げという部分で考えてみると、ドイツのバイエルンは本当に素晴らしく、そしてそれを実践している園がたくさんあることに改めてドイツの質が高いということと、底上げの難しさを実感します。だからこそ、自分たちの役割もハッキリを見えてきた事もあります。藤森先生が言われた「チャンスがいつ来るのか分からないから、いつでも行ける準備をしておくことが必要」日々の保育をマンネリ化せず、実践していくことが大切です。

  7. ヌリ課程が質向上の妨げになってしまうというのは、具体的な文言が現場の保育を窮屈にさせている一方で、国全体としての質向上には必要なことでもあるということでしょうか。そのへん、ドイツのバイエルンはどうなのでしょうね。マニュアルが現場の妨げになっているというのはあるのでしょうか。質向上のためのマニュアルは、書き換えられるようなマニュアルであることが優先されなくてはならないようにも思いますが、現実的には難しいのでしょうね。

  8. ヌリ課程の中でメリットデメリットがあるということがこの報告読んでわかります。「全体の質の底上げとして有効なヌリ課程が、それ以上の保育を目指すときの妨げになっている部分」というのがやはり印象に残る部分ではありますね。ヌリ課程の基準に達し、さらに良い環境を目指したときにそうやっていなじゃないかと指摘されるということでしょうか。そこを見る、判断する人というのが保育環境を作る上で重要になりますね。日本の監査となるとなにか違和感を感じてしまいます。本当にそれが子どものためなのかと思うことがありますが、これが現実ということになるのでしょうか。保育の質を保つという難しさを感じます。

  9. 日本の監査についてまだまだ知らないことが多いですが、韓国の「ヌリ課程」とやっていることは同じなのですね。日本の保育の書類は確かに多いと感じています。他の園の方は持ち帰りが当たり前だとおっしゃっていました。そういった、書類をしっかりと書くことで、保育レベルの底上げになるのかは疑問ですが、それぞれの園が、向上心を持って質の高い保育を目指していけたらなと感じました。そして、企業所内保育でも、公園と契約して園児の菜園を持っているというのはすごいですね。日本での、企業所内保育はそこまで充実した園は多くないと思います。「ヌリ課程」を通して、最低基準を設けることは、もともと特化した保育所にとってはデメリットになるかもしれませんがどこに行っても、ある程度は保証されるので、利用者の立場から考えると嬉しいことかもしれませんね。

  10. 韓国のヌリ課程の話で、良い点、悪い点があるようですね。政府が言っていることもわかる気がします。質の高い保育を求め、保育全体の底上げを図っていたわけですね。しかし、さらに上を目指そうとする園ではそれがかえって妨げになっているところがあるんですね。難しいです。
    希望者が多くなったので、部屋に多く詰め込むとか、その建物を増築するのではなく、別棟にきちんとした様々な機能を備えた別の園をつくったとありましたが、すごいですね。日本では詰め込むことしかできませんね。国が保育にかける意識の違いなのでしょうか。日本でも保育に対してより注目されていけばいいと思います。

  11. 「様々なルールや規則、役所からの指導は、基本的に性悪説からきているのではないかとおもうことがあります。」この文章を見たときに様々なこれまでの韓国の社会問題を見ても、確かにそういった文化がありそうと思いました。「園を信頼してくれてもいいのですが、どこか悪いところがないかを探し、ちょっとしたミスでも、さも悪意をもってそれをしているかのような指摘をします」日本でも多かれ少なかれ、こういった見方をされることは多いですね。特に保育を変化・革新していくにあたってはこういった見方をされることは多くあり、Caguyaさんの言葉を借りるのであれば「元に戻るベクトル」といったものが強く働くことが多くあります。日本でも韓国でも、大きく変わらない見方があるように思います。こういったものはどこから出てくるのでしょうか。やはり教育の影響は大きいのでしょうか。保育を通して、こういった意識も変えることはできるのでしょうか。考えてしまいます。

  12. 一日目に訪れたオリニジップと異なり財団が運営する企業所内的保育所も保育環境の質は決して低くはありませんね。政府からの補助金と企業からの支援金から収入が成っていることを考えると質向上のための資金には事欠かないような感を受けますね。韓国の監査、評価について昨年度訪れたオリニジップの園長から伺ったのですが、評価マニュアルがしっかりとあり、評価は点数制になっているとのことでした。訪れた園はほぼ満点に近い評価点を頂いているようで、その園長さんは所属地区の評価指導にもあたられているようです。そして評価の点数は補助金の受給に関わってくるそうです。韓国は公立よりも私立園が圧倒的に多いようですから補助金のあるなしはやはり死活問題のようでした。隣韓国の保育事情を知るにつけ我が国の保育事情にはやはり憂慮したくなることがたくさんありますね。監査の有り方もその一つです。書類中心の監査では保育環境の質をしっかりと見れないでしょう、と思うのです。「せめて書類を整えさせることが、ある質を保証している」「ある質」って何?と思ってしまいます。書類で保育するということでしょうか?

  13. 「全体の質の底上げとして有効なヌリ課程が、それ以上の保育を目指すときの妨げになっている部分を感じる」というのは、その後にも語られていますが、日本の保育にも大きく当てはまりますね。私の園でも監査がありましたが、そうした感じを強く受けました。ただ実際に深い話になると、書類のことはではなく、保育の面で強く共感していただき、保育の質という所を判断する難しさを実感しました。以前、海外に「見守る」が広まり始めた時に統一した基準をという話がありましたが、同じくこうした質をどう判断するかという難しさがあったのでしょうね。

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