長期ストレス

 以前のブログで、ストレスがクールシステムを使うタイミングを遅らすということを紹介しました。ある程度のストレスは、子どもにとっても必要だと言われています。その経験は、発達に刺激を与えるということはわかっています。ミシェルも、「短期的なストレスの経験は、人を行動に向けて備えさせるので、適応的なものでありうる。」と言っています。しかし、ストレスが強力で、長く続くものは、有害で、致命的にさえなると言います。彼は、こんな例を挙げています。たとえば、交通渋滞からレジでの行列に至るまで、何か障害に出くわすたびに激怒するような人や、危険、浮き沈み、貧困などが極端で、継続する状況下で精神的に圧倒されている人には、とくに有害で、致命的だと言います。

 ストレスが長引くと、前頭前皮質が損なわれるからです。前頭前皮質は、マシュマロを得るのに待つだけではなく、ハイスクールを無事卒業し、仕事を続け、修士号の取得を目指し、職場の駆け引きをうまく切り抜け、鬱状態に陥るのを避け、人間関係を維持し、直感的には正しく思えるものの、よく検討すると本当は愚かしい決定を下すのを思いとどまるためにも不可欠なものなのです。

 アメリカ、イェール大学の神経生物学者エイミー・アーンステン氏は、「高齢化に伴う認知機能低下の生理学的メカニズム」を研究し、その衰えに対して、「脳内の神経化学的な環境を変化させれば、認知機能の一部が回復する可能性がある」という研究を発表したことで有名です。もともと前頭前皮質は、さまざまな高次機能をつかさどる部位で、行動に結びついた刺激がない情報を、心のクリップボードに格納する作動記憶という機能を維持します。 若い脳は作動記憶を脳内に維持するように、前頭前皮質の各ニューロンが互いに活性化しますが、人は4050代に達すると、ニューロンの効果的な活性化が阻害され、物忘れや注意力散漫などが生じるようになります。彼は、サルを使った実験で、若いサルは刺激のないときでも活性化が頻繁だったが、高齢のサルでは、刺激がないとニューロンの活動があまりみられなかったということから、高血圧治療に使われている化学物質「グアンファシン」を含む薬を、高齢のサルに注入したところ、ニューロンの活動が活性化したということを発見したのです。

彼が、その研究の中で、ストレスの影響についての研究もしています。すると、「急性の制御不能のストレスは、非常に軽いものでさえも、前頭前皮質の認知的能力を急速かつ劇的に減じる原因となりうる」という結論を導き出しています。ストレスが長引くほど、こうした認知的能力が損なわれ、害はより永続的なものとなり、最終的には、心身両面の疾患につながると言われています。こうして、創造的な問題解決を可能にする脳の部位が、必要とされればされるほど使えなくなります。慢性的なストレス下にある脳のモデルによって、脳の構造は、慢性的なストレスの元では改造されてしまうのです。

ストレスが長引いたとき、問題解決に欠かせないクールシステム、具体的には前頭前皮質と、記憶にとって重要な海馬が、萎縮を始めるのです。同時に、ホットシステムの核心にある扁桃体が、過度に大きくなるのです。この脳の変化の組み合わせのせいで、自制とクールな思考が不可能になります。そのうえ、ストレスが長期化するうちに、扁桃体は肥大から萎縮に転じ、最終的には、正常な情動的反応を防ぎだすようです。

長期ストレス” への15件のコメント

  1. 「ストレスが強力で、長く続くものは、有害で、致命的にさえなる」前頭前皮質や記憶にとって重要な海馬の働きですが、それらが萎縮することによって「愚かしい決定を下す」ことにもなりかねないということで、いかに長期的なストレスを回避する方法が大事かが理解できます。ましてや、「心身両面の疾患につながる」可能性があるということで、重要視しなくてはいけませんね。その解決・回避方法が「クールシステム」を使ったやり方ということなのですね。また、渋滞や行列に対して、そこで感じる長期的なストレスをいかに、マシュマロ実験のように、自制心やクールシステムを活用してホットさを鎮静させられるか、別のものに思考を変えられるかが大きな点であるのかなと思いました。クールシステムを上手に自分の中で使い、日常のストレスを長期的なものにしない工夫ができる人というのは、自分の機嫌をとることも上手な人であるなと感じました。

  2. 前頭前皮質は仕事を続けること、人間関係、目的を成し遂げるためといった安定して生きていくためにはとても重要な部位になのですね。そんな前頭前皮質は長期的なストレスによって損なわれてしまうということを知りました。ストレスでクールシステムや海馬が萎縮をはじめ、ホットシステムの核心である扁桃体が肥大し、自制とクールな思考が不可能になるとありました。長期的なストレス下におかれることで、心身共に正常な状態ではなくなり、生活を送ることも難しくなりそうです。長期のストレスというのはどういった時に感じるのだろうと想像してみますと、やはり人間関係ということになっていくのでしょうか。子どもの場合は子ども同士というより、大人と子どもとの関係によるものが大きかったりするのでしょうか。また、ある出来事をストレスを捉えるのか、捉えないのかという考え方もまた大切なのかなと感じました。人によってストレスと感じる度合いは様々なだと思います。それがあまり低すぎるとちょっとしたことでもストレスを抱えてしまうと思うと辛いですね。

  3. 長期のストレスを抱えると、「何か障害に出くわすたびに激怒するような人や、危険、浮き沈み、貧困などが極端で」ということになる。これは由々しき事態です。「長期ストレス」は過度であるがゆえに有害となるのでしょう。もう一つ「人は40~50代に達すると、ニューロンの効果的な活性化が阻害され、物忘れや注意力散漫などが生じる」の部分にドキッとしました。「物忘れや注意力散漫」については私自身思い当たる節があり、「前頭前皮質」に問題を抱え始めているのかもしれないようです。それにしても「クールシステム」をオンにすることの大切さを実感します。扁桃体のホットシステムを過度に活性化させると碌なことにならない感じがします。その意味でもクールシステム活性化への意識づけは重要なのだとわかります。年齢を重ねて来ると身体が思う通りにならないのでホットシステムに訴えたくなります。このことを繰り返してくると、「自制とクールな思考が不可能」な状態になるのでしょう。このことは避けなければなりません。

  4. 長期的なストレスが及ぼす害が最終的には、心身両面の疾患につながると言われているともあり、恐ろしく感じました。今回の内容にも、数年前にあってうつ病とストレスの関連に関する内容にも、「適度なストレスは必要」とありました。しかし、ストレスを感じる度合いは人それぞれ個人差があるところが難しいところですね。ストレスは防ぎようのないことだと思っています。しかし、その受け流し方、捉え方で度合いは大きく変わる印象です。そして、数回前の内容から、「クールシステムがストレスを緩和する」ことがわかり、そのクールシステムの成熟、質の向上には、幼いころからの環境が大切であることがわかりました。20代前半に成熟すると言われているクールシステムですが、最も注目すべきところは幼いころの環境であり、それが将来にかかってしまうかもしれない心身の疾患を未然に防ぐ手段だということは非常に興味深いですし、何よりの予防策だと思えました。最近、保育が注目を集めているときだからこそ、このような事実を踏まえて、幼児教育の大切さを伝えていきたいと思えました。そのためにも当ブログ等からもっと勉強していきたいと思います。

  5. 〝ストレスが長引くほど、こうした認知的能力が損なわれ、害はより永続的なものとなり、最終的には、心身両面の疾患につながる〟とあり、脳の中の海馬が萎縮してしまうということで、ストレスが強く、長くなると、命にも関わるようなことがあるということなんですね。
    長く強いストレスはいかに回避していくかが重要なんですね。
    そこで、クールシステムを適度に使い、気をそらしたり、自制心を用いてホットさを鎮めたりすることが上手にできる人というのは、ストレスと上手に付き合っている人ということなんでしょうね。

  6.  〝何か障害に出くわすたびに激怒するような人や、危険、浮き沈み、貧困などが極端で、継続する状況下で精神的に圧倒されている人には、とくに有害で、致命的だと言います。ストレスが長引くと、前頭前皮質が損なわれるからです。〟ストレスの影響が脳にまで及ぶことを思うと、ホットとクールの扱い方を知らないと、本当に大変だなと思ってしまいます。ストレスが人を早死にさせる、ということがそういった意味でも本当のことなんだな、ということがわかります。イライラすることにいいことはどうやら一つもないようです。
     〝この脳の変化の組み合わせのせいで、自制とクールな思考が不可能になります。〟この状態を幾度味わったことか(笑)もう二度と味わいたくないので、この度の連載をきっかけに、本当に真剣に自分の脳に対しての勉強を重ねていきたいと思います。
     

  7. ホットシステムとクールシステムがうまく機能するためにストレスの短期的なものは、必要性が見られ、協力なストレスが長続きするようなものは、前頭前皮質に大きな影響を与えていることがわかりました。これは、日々のなかで、常にストレスを感じるような環境下、また、期待とは違う、共感のないような人的環境があることと重ね合わせることができるような気がしました。゛ストレスが長引くほど、こうした認知的能力が損なわれ、害はより永続的なものとなり、最終的には、心身両面の疾患につながる゛あり、このような状態になってしまっては、クールシステムも機能を失ってしまいますね。自分は、ダメだと思うような自暴自棄な状態もそのような傾向に当てはまり、ペシミストと呼ばれる人の気質には、ストレスによる、ホットとクールシステムが低下、認知機能低下によるものだと考えることができました。

  8. 「ストレスが長引いたとき、問題解決に欠かせないクールシステム、具体的には前頭前皮質と、記憶にとって重要な海馬が、萎縮を始めるのです。同時に、ホットシステムの核心にある扁桃体が、過度に大きくなるのです。」とあるように長期ストレスがあることでクールシステムが機能しなくなってしまうことがよくわかります。それが「心身両面の疾患」となるということを理解をしておく必要性を感じます。私は渋滞が大嫌いです。しかし、いつしかこれでは損をすると思い、同乗の人とたくさん話が出来ると考えたり、ゆっくりテレビを見ながら進めばいいかなどクールシステムを活用することに気づいた時がありました。すると一気にストレスが軽減されたことを思い出します。そんなストレスに直面した時にマシュマロ実験のようにいかにクールシステムを活用し、ストレスを軽減させることが大切かがわかります。その切り替えが出来るか出来ないかで長期ストレスに繋がってしまうということでしょうか。クールシステムというのはなんだかオプティミストの考えに近いようにも感じますが、少し違いますね。子どもには長期のストレスを感じさせないような接し方を意識しなくてはいけないことも同時に感じます。

  9. 交通渋滞は多くの人がストレスを抱えるのではないでしょうか。基本的に、普段は車を運転いないのでワタイは回避できていますが、急いでいるときに限って渋滞にはまったり、車以外にもレジが混んでいたり、定員の作業が遅かったり、それに対してストレスが溜まるというのは私も経験があります。ブログには長期的なストレスは前頭全皮質が損なわれると書いてあります。これは重大なことです。高校の卒業、仕事を続ける、誤った判断を思いとどまる、など人生において必ず向き合っていく必要がある事と密接に関係しています。この辺りも自分を客観視できるようになれば、自分が長期的なストレスを与えられていると感じ取れば、そのストレスに対して何かしらの対応、それこそ「気をそらす」などの行為や全く関係のないことを考えたりと、ストレスから離れるようなスキルを身につける必要があるように思います。

  10. 短期的なストレスの経験は必要だが、長期的な強いストレスは害になる。また、「交通渋滞からレジでの行列に至るまで、何か障害に出くわすたびに激怒するような人や、危険、浮き沈み、貧困などが極端で、継続する状況下で精神的に圧倒されている人には、とくに有害で、致命的」とあり、様々なことを考えました。長期的なストレスで思いついたのが人間関係です。幼児期に自制するという経験は先の人生を考えるととても重要なことだと感じました。そして、クールシステムを上手く使うことはとても有意義なことなのですね。

  11. 今、子育てをしており、睡眠時間がまとめて取ることができません。その子育てストレスもあり、イライラしてしまうことが多くなっているように思えます。たしかに、適度なストレスは必要かもしれませんが、長期的なものとなると脳に影響を与えて人格までも変えてしまう恐れがあるのでしょうね。子育てに対して冷たい視線が多いストレス社会の中で、虐待をするしない、それは紙一重で誰でも起こり得ることなのかもしれません。ひとりで子育てをしないこと、周囲の助け合いがあることなど、集団保育の必要性を訴えていかなくてはいけないですね。

  12. 精神的にも身体的にも、成長する為にある程度のストレスや負荷が必要なことは分かります。しかし何でもそうですが与えすぎたり、負荷がかかりすぎたりする状態は良くはありませんよね。それを思うと、以前のブログにも書かれていましたが、最近に若者がなかなか自制できないというのも今の社会はしばしば許容範囲を超えたストレスを受ける状態にあるのかもしれませんね。保育においても子どもに対して良かれと思って行っていることが、実はいき過ぎたストレスの状態を引き起こしていることがあるかもしれません。このことはしっかりと意識しておきたいと思います。

  13. 長期ストレスなストレスがもたらすデメリットは、計り知れないですね。私自身、ストレスというものをためやすいタイプではないかと思っているので、こうした結果を見ると、改めてストレスをうまく付き合っていかなければなと思わされます。文中にもある「短期的なストレスの経験は、人を行動に向けて備えさせるので、適応的なものでありうる。」というように、うまく短期で解決ができる、気持ちの切り替えができるような考えを大切にしていきたいと思います。

  14. ストレスとホットシステム、クールシステムとの関係はとても密接に関係があるのですね。確かに考えてみるとストレスを抱えているときほどイライラして、とてもクールであるとは言えない状況であるように思います。そのイライラこそホットシステムが活性化している状況にあるのですね。保育の環境においてもその在り方や考え方は考えていかなければいけませんね。長期的なストレスというのは最近の社会問題にも言えることなのかもしれません。しかし、長期的なストレスに結果となってしまうというのはクールシステムがしっかりと機能できていないからなのかもしれません。もしかすると、「やってあげる保育」というのは子どもたちの考えよりも、大人の主観が多分に入ってしまいます。その分、長期的なストレスを子どもに知らず与えている状況なのかもしれません。逆に「見守る保育」には絶えず「自分の選択」というものがあります。そのため、自分で選ぶことで「自分でするという意思」がそこにはあります。そのため、自分のやりたいことを選ぶためには人をモデルにすることや見通すことが必要になります。それは「クールシステム」といった冷静さが必要とされるのかもしれません。子どもたちの環境や保育方法を考えるときにそこに「子どもの意思」をどう取り入れるのか、それを考えることはかなり重要な問題であるように感じます。

  15. 「交通渋滞からレジでの行列に至るまで、何か障害に出くわすたびに激怒するような人や、危険、浮き沈み、貧困などが極端で、継続する状況下で精神的に圧倒されている人には、とくに有害で、致命的だと言います。」とありましたが、集団生活をしていると様々なところでストレスを感じるのは当たり前です。しかし前頭前皮質が損なわれてしまうと愚かしい決定を下しかねないというのも恐ろしいですね。その中でどのように付き合っていくかが大事なところですね。最近の若者の事件でも瞬間的にストレスがかかり、つまりキレたという状態になり犯罪に手を染めてしまう事件が多発しています。よく昔の人の話で、「怒りそうになったら深呼吸」なんていう言葉を聞いたことがありましたがこれも一時的にクールシステムを使い冷静になれるようにしていた知恵だったのでしょうね。

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