クールシステム

 私が考えている「ホットスステムは人類が生存戦略として持ち続けてきた、ダークセンスのウチの一つである」ということは、次のミシェルの考察からも判ります。彼は、強いストレスも、ホットシステムを活性化させると考えています。この反応は、進化の歴史の中では、近づいてくるライオンに対処するためという意味で適応的だったというのです。なぜなら、ミリ単位くらい驚くほど迅速で、自動的に自己防衛的な反応を引き起こすからで、生存のために瞬時の行動が必要とされる多くの緊急時には、今でも役に立ちます。しかし、このホットな反応は、その状況での成功が、クールな状態を保ち、将来の計画を立て、合理的に問題を解決することにかかっている場合には、役に立たないのです。また、ホットシステムは、人生の最初の数年にわたって支配的なので、幼い未就学児が自制心を発揮するのは、とりわけ難しいと考えています。

 そのような意味から、私は、生まれながら持っているホットな行動が、次第に理性的にものを考え、見通しを立てるようになるということが、クールな認知的システムを獲得してくることだと思うのです。それについて、ミシェルは、脳のホットシステムと密接に相互接続しているのがクールシステムで、それは認知的で、複雑で、思慮深く、ゆっくりと活性化すると考えます。おもに、前頭前皮質に座を占めるというのです。クールで、よく制御されたこのシステムは、マシュマロ実験で突き止められた類いの、未来志向の意志決定と自制の努力に欠かせません。

 強いストレスがクールシステムを抑え込み、ホットなシステムの効果を高めることは、ぜひ指摘しておかなければならないとミシェルは言います。ホットシステムとクールシステムは、互いを補う形で絶え間なく相互作用し、一方が活発になると、もう一方が活動を弱めます。私たちは、ライオンに対処することは稀ですが、現代社会の果てしないストレスとは、日常的に直面しており、そこではホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっていると言うのです。

 前頭前皮質は、脳の中でも一番進化した領域です。私たちをはっきり人間たらしめている、また、創造性と想像力の源であり、目的の追求に差し支える不適切な行動を抑制するのに欠かせません。私たちは、前頭前皮質のおかげで、状況の変化に伴って必要とされるものが、刻々と変わる中で、注意の方向を転換し、柔軟に戦略を変更できるのです。自制の能力は、前頭前皮質に根ざしているのです。

 クールシステムが、ゆっくり発達し、就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってからで、そのため、幼い子どもだけでなく青少年も、ホットシステムの気まぐれに翻弄される羽目になると言います。クールシステムは、ホットシステムと違い、刺激の情報面に敏感であり、合理的で思慮深く戦略的な行動を可能にすると考えられているのです。

 マシュマロ実験で、うまく先延ばしが出来る子どもは、魅力的なお菓子とベルから戦略的に気をそらす方法を思いつきました。それは、彼らが、様々な方法を使って自らを冷却することに成功したのです。

クールシステム” への15件のコメント

  1. 現代社会のストレスは「ホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態」になっているということですね。ということは、そのストレスを軽減させるためには、クールシステムが必要な時に、自らそれを使えるようにしておくことが有効であると知りました。また、それには「理性的にものを考え、見通しを立てる」力が必要であり、それを自ら獲得するために必要な時間を子どもたちに与えるということでもあると感じました。そして、「クールシステムが、ゆっくり発達し、就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってから」という言葉によって、青年期の子どもたちが目の前の事象に対してホットな対応をしてしまう原因がここからも伺えると同時に、そのような理解があれば、青年期の子どもたちの行動や思考に寄り添える材料にもなるように思いました。

  2. 「強いストレスがクールシステムを抑え込み、ホットなシステムの効果を高めることは、ぜひ指摘しておかなければならないとミシェルは言います」とありました。ストレスの多い状況でホットシステムばかりが優位になってしまうとクールシステムが機能しなくなってしまうのですね。一方が活発になると、一方が弱まるということから互いが同時に活性化することはないのですね。だとするとホットシステムばかりが優位になってしまうような環境があるならば見直さなければいけないのかなと思いました。子どもたちにとって応答的である、何かサインを出した時にそれに反応してくれる大人が身近にいることでが大切ですが、そうでない場合を考えた時にそれはストレスの多い状況で、同時にホットシステムばかり機能してしまう状況でもあるのかなと思いました。「幼い子どもだけでなく青少年も、ホットシステムの気まぐれに翻弄される羽目になると言います」とありましたが、年齢が高くなっても、身近にそのような大人がいることでクールシステムを優位にさせる手助けになるのかなということを感じました。

  3. ホットシステムとクールシステム、恰も陰陽関係のようですね。クールシステムの登場は理性知や将来へ向けての計画、「見通し」ということに大きく関わってくることがよくわかりますね。今回のブログでは「幼い子どもだけでなく青少年も、ホットシステムの気まぐれに翻弄される羽目になる」とあります。また「クールシステムが、ゆっくり発達し、・・・完全に成熟するのは20代前半」とあります。ホットシステムとクールシステムの発達上の理解が必要となってくるような気がします。もう一つ思ったことは、今自分はホットシステムの中にある、クールシステムが必要だ、という認識が大切なのだろう、と思いました。冷静に考えてみればどうか、ということです。クールシステムが起動するなら、たいていのことは大事にはならないような気がします。やりすぎてしまうこともホットシステムのなせる技。ほどほどに・・・をもたらすのがクールシステム。常日頃からこうしたことは意識しておきたいものですね。

  4. 〝強いストレスがクールシステムを抑え込み、ホットなシステムの効果を高める〟ということで、このような環境に今の世の中はあるように思いますので、なかなかクールシステムが作用しづらい世の中と言えるかもしれませんね。
    その証拠にホットシステムを抑え込むことができずに、悪いと分かっていてもしてしまうというケースが、最近のニュースでもありますね。
    このクールシステムは〝ゆっくり発達し、就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってから〟ということで、そのような理解が大人である自分たちにも必要なことだと思いました。

  5. 「生まれながら持っているホットな行動が、次第に理性的にものを考え、見通しを立てるようになるということが、クールな認知的システムを獲得してくること」がホットをクールに転換していくことなのですね。また、ホットシステムとクールシステムは、互いを補う形で絶え間なく相互作用していますが、ストレスに直面すると、「ホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっている」のですね。クールシステムは、ストレスも緩和する効果があることがわかりました。しかし、このクールシステムが完全に成熟するのは20代前半になってからとありました。すると、マシュマロ実験で子どもたちが様々な方法を使って自らを冷却することに成功した背景には、大人の声掛けや集団としての助け合いなどがあったからなのでしょうか。クールシステムが成熟する20代前半まで、特に乳幼児期に環境を整えることで土台がしっかりとして、気をそらす、冷却する術の質が良くなるのかなと思いました。

  6. ゛強いストレスも、ホットシステムを活性化させる゛とありました。その事を例えば、私たちがライオンに対面したときに、防衛心が働き、自己を守るために迅速な行動をとる、これは、瞬時に、目の前に現れたものによるストレスから生存ために生まれた行動であると共に、社会のなかで目に見えないものとして存在するストレス、文章にあるような゛現代社会の果てしないストレスとは、日常的に直面しており、そこではホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっている゛とあり、本来、ホットシステムとクールシステムが相互的に作用する状態が良いとされるのに対して、ストレスを受けることにより、クールシステムが機能せずに、ストレスを回避することができない、このことは、子ども時代から大人になる過程、思春期時代にこのような状態が続いていると、未成年犯罪につながるようなものを考えられます。最近のいくつものニュースに共通点を感じるとともに、゛クールシステムが、ゆっくり発達し、就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってから~゛という内容がリンクします。

  7. 今回のブログは特に読んでいて納得する情報が多くありました。「クールシステムが、ゆっくり発達し就学前の年月と小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられ、完全に成熟するのは20代前半になってから」とあり、このことを知ることで中高生の見方が随分と変わります。日常生活の中でホットシステムが優位たつことでストレスとの関係性がでてくるのですね。クールシステムを上手くコントロールできればストレスとの向き合い方も随分と変わりそうです。

  8. 脳のホットシステムと密接に相互接続しているのがクールシステムなのですね。どちかが活発になるとどちかが弱まるとあります。それはなんだかホットな人を見ると時に客観的にクールに見れるときと同じような感覚なのでしょうか。妙に客観的に見れるときもあれば感情的になってしまう部分を誰しもが持っている部分だと思います。それはホット、クールシムテムが相互作用しているときなのですね。クールシムテムは「理性的にものを考え、見通しを立てるようになる」とあります。これは大人でも時に難しく感じます。それは「認知的で、複雑で、思慮深く、ゆっくりと活性化すると考えます。」「ゆっくり発達し、就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってから」とあるようにそれぞれの発達にあった成熟がそこにあることを理解するだけでも中学、高校、大学生と接する時、少しでも理解をしてあげられる要素でもあることがわかりました。

  9.  〝強いストレスがクールシステムを抑え込み、ホットなシステムの効果を高める〟〝現代社会の果てしないストレスとは、日常的に直面しており、そこではホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっている〟というのはとても興味深いです。ストレスの中にいる場合、冷静になることが極めて難しいという経験を、確かに何度もしたことがあります。そのストレス状態の中でも、ホットな感覚に頭をもたげずに、クールな部分を表出できる人間になっていきたいです。
     人が自制心を持ち、理性を持って生きていくことというのはとても大切なことですが、それが完全に発達するのが20代前半とあれば、なるほど、今まで自分がとってきた行動に自分の中で納得です(笑)こうして、過去を変えて、前向きに生きていくことができるのですね。藤森先生のお陰です。

  10. 藤森先生の講演で行動抑制力は前頭前野が司り、そこは子どもをたくさん抱きしめてあげると発達するという話を思い出しました。この話を聞いたのは今から9年前くらいで私が初めて藤森先生の講演を聞いた時ですので、結果的に当時よりも科学的にも証明されています。このクールシステムですが小学校の最初の数年間に徐々に活発になると書いてありますが、学童の子ども達を見ていた時を思い返すと、確かにそんな気がします。しかし完全に成熟するのが20代前半というのは少し驚きました。中学、高校、そして大学になるまでもクールシステムを成熟させるために、「気をそらす」という自分で意思を操作できるよう戦略を立てないといけませんね。

  11. 「現代社会の果てしないストレスとは、日常的に直面しており、そこではホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっていると言うのです」とあり、子どもだけではなく、大人でさえ難しいのではないでしょうか。ましてや、それが完全に発達するのが20歳前後で、子ども達は大人が思っている以上に困っているのかもしれませんね。保育中につい怒ってしまいがちですが、いかに冷静になり判断するのか子ども達に自制を試されているように思えます。

  12. 今回のブログを読んでいるとオプティミストの話が浮かんできました。様々なストレスにさらされている現代人にとってポジティブな思考、前向きに物事を捉えるということは必要であり、それが生きていく活力にも繋がるはずです。そういった点において直接的ではないにしろ、ホットシステムはポジティブな思考とも関連性があるように感じました。しかし、クールシステムとのバランスが重要というのも分かります。ホットな部分が働きすぎて前向き=無謀になってしまってはもともこもありません。そうならないためにも、ホットな思考を抑え、理性的に先を見通すというクールシステムとのバランスというものは大切ですね。

  13. クールダウンすることに集団や他児の存在が関係しているというのはとても興味深いことです。確かにブログの中の例のような子どもの姿を目にしたことはありますし、実際に一人で耐える、または我慢するよりも、他者と励まし合うことで乗り切ることができる場合があります。今回のブログを読むまで、ホットな思考を冷却するには、個人だけの問題のように思っていたのですが、他者や集団との関わりというのも重要なポイントですね。ここにも協力というワードが出てきたことから、いかに人は協力を基盤としていきているのかということを改めて感じています。ただし、その協力が自制において互いの自制を諦めることを認め合うような、単なる傷の舐め合いであるようなマイナスな作用にならないことを気をつけたいと思いました。

  14. 今回のホットシステムの内容を見てとても納得できました。また、ホットシステムとクールシステムの内容を考えてみると「本能と理性」の部分の話と似たような内容になるように感じます。ヒトが生存競争を行っていくうえで、このホットシステムというのは非常に重要な能力だったのですね。また、このホットシステムが人の生きていく中で受けるストレスと密接な関係にあり、それによってクールシステムとのバランスが取れないというのは子どもで置き換えてみると考えていかなければいけない内容ですね。ある意味で、クールシステムというのは文字通り「冷静」や「平常心」と同じようなもので、ホットシステムは「衝動」や「興奮」である印象を受けます。このような心の変化や感情のバランスというのは実に「人間らしい」部分なのかもしれません。また、人の社会においてもこれらの感情や情動といったものはとても重要になってくるように思います。特に「クールシステム」というのは社会を形成していく上においては非常に重要な能力です。マシュマロ実験で見えるものは保育においても、しっかりと見通して考えていかなければいけない内容ですね。

  15. 「現代社会の果てしないストレスとは、日常的に直面しており、そこではホットシステムがしばしば優位に立ち、クールシステムが最も必要なときに、それが使えない状態になっていると言うのです。」とありましたが、自制をするために必要なクールシステムも「就学前の年月と、小学校の最初の数年間に、徐々に活発になると考えられています。しかし、完全に成熟するのは20代前半になってから」とあったように、現代の日本で若者の犯罪や、自殺者が多いのはこのクールシステムが育っていないというのも一つの原因なのかなと感じてしまいました。世界ではそうでない国も多い中で日本がその件数が多いのは、やはり小さい頃からの集団生活の中で、いろいろな体験をしていく事が大切なのだなと感じました。

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