ドイツ報告2013-6

子どもたちは、広場や森に行くと基地を作ります。私の園でも、公園内の探索後、発展して基地を作りました。今回のドイツ研修でも、「森の学童」ということで、子どもたちが過ごしている森に入っていって、子どもたちが作った基地を見つけました。この基地は、子どもたちにとっては「デン」と呼ばれるものかもしれません。DEN(デン)とは、「手を伸ばせば壁や天井に触れることができる幼児の人体寸法に合った家庭的な雰囲気の穴ぐら的な小空間」とありますが、もともとは、動物の穴ぐらの意味です。それが転じて、建築的には、奥まった部屋など、よりプライバシーの高い室をいう様になりました。ですから、大人では、書斎や趣味を楽しむための小部屋を指すのが一般的になっています。しかし、私は、子どもの頃こそ、そのような空間が必要であると思っています。なぜかというと、赤ちゃんがお母さんの胎内にいる時のように、狭い空間に囲まれると落ち着くであろうと思うからです。特に、広い、いつも集団が存在する教室や保育室では、どこかに、一人や数人でもぐりこめつ様なこのような空間を作ることは重要です。

最近、小学校でもアルコーブ、デンは、作られているところがあるようです。例えば、横浜市立小中一貫校である霧が丘小中学校には、このような空間が作られています。その紹介には、こう書かれてあります。「この学校には、デン(子どもの居場所)が設けられています。子どもがいられるちょっとしたスペースです。書架も設けられており、読書をすることもできます。特に休み時間が人気です。 大人でも思わず入ってみたくなるところです。」
また、大森小学校の学校便りにはこんなことが書かれてありました。「アルコーブは、建物の壁面の一部に造られたくぼみや空間のことを言います。アルコーブは、十名前後の子どもであれば余裕で入れる秘密の隠れ家です。デンは、巣や洞穴を意味する言葉です。壁の裏側には、腰掛もあります。アルコーブもデンも子どもたちにとっての特別な空間です。仲間との会話もポンポンはずんでいるようです。」

このデンが、ドイツの幼児施設には、様々に工夫をして用意されていました。ドイツでは、どの部屋に子どもたちが行ってもよいことになっていますし、異年齢で過ごしているために、数人が隠れることができる空間が必要になります。まず、横浜の小・中学校のように、設計段階でこのような小部屋を作っている園がありありました。その部屋はボールプールになっていました。
また、室内用に、商品として売られているものもあります。乳児保育園に置かれてあったのが、一人が閉じこもって、カーテンで上と入口を囲ってしまえるようなものがありました。これは、本当に小さく、一人で閉じ困るためのものでしょう。それに対して、テントのようなもので、数人が入れるようなものも乳児園にありました。共に商品になっているのでしょう。

また、日本でも数年前から見られるようになっていますが、部屋に置かれたロフトの下もデンの役目をしています。狭い空間ですので、ままごとコーナーになったり、閉じこもる空間になったりしています。そんな大それたことを考えなくても、大きな段ボールがあれば、子どもたちはそこに潜り込みます。出入り口だけを取り付ければ、それで十分です。製作室では、別の段ボールの家に窓をつけ、色を塗っていました。

このようなデンは、ドイツのどの園庭にも用意されています。以前のブログでも書きましたが、柳の木を斜めに植栽し、成長すると丸く隠れ家のようになります。デンは、母親の体内にいたころを思い起こさせるだけでなく、園庭にある隠れ家を見ると、子どものころの甘酸っぱい思い出がよみがえります。