ドイツ報告2013-21

 今年で、ドイツに行き始めて11回目になります。その前の年に、下見でローマ、フランクフルト、ミュンヘンと視察した結果、ミュンヘンに決めたので私は12回目となります。よく、他人から「どうしてドイツなのですか?」と聞かれることがありますが、「どうして毎年同じ場所に行くのですか?」ということはあまり聞かれません。それは、参加者は、特に毎年行くわけではないからでしょう。毎年行くのは、私だけですので、私はあるとき「たまには、いろいろな国に行ってみたい」と妻に行ったことがありました。その時、妻に「観光じゃあ、あるまいし、きちんと一つの国に決めた方がいいんじゃないの?」と言われました。確かに、いろいろな国に行きたいと思うのは、いろいろな国の実態を知りたいというよりも、単にいろいろな国に行きたいという観光に近い理由があるかもしれません。

 というのは、いろいろな国によく行く園長の園が、どのように保育が変わっていったかというと、部分的に、参考にしているという程度で、一貫性が見られないことが多い気がします。それは、先方の受け入れ方も違ってきます。私の園にも見学者が来ますが、毎年、見学に来る園への対応は緊張します。見学後、1年間で実践し、それがほぼ理解できた時にまた次にまた来るからです。ドイツで、毎年行く園は違うのですが、それをコーディネーターしてくれる教育局の人は、ドイツでは、異動がないのでずっと同じ人です。そこで、毎年訪れることをとても評価してくれ、篤いおもてなしを受けます。

 6月12日の午後視察した「森の学童クラブ」のホームページに、「日本からの訪問者」という記事が集合写真入りで掲載されていました。
「エバーズベルグの「森の学童」が、様々な分野の人々に大きな関心を呼び起こしています。「子どもたちには物事の決定に参加することができます。森の中のどの場所に行くか、そこで何をするか、あるいはたとえば何を創造するか、どんな経験遊びをするか、あるいはオタマジャクシを観察するのかを子ども自身で決定することができます。」とエバーズベルグ「森の学童」の教育指導員Karen Brummerさんが説明します。子どもたちは、「森の学童」の中で、経験豊かな教育者がそっと付き添うことで、自分自身のイニシアチブを育て、自分自身の考えを実行していきます。こうしたことが、「なんでも与えられすぎる今日という時代でどれほど大切なことでしょうか。」と彼女は強調します。

この説明に、日本から視察に訪れた教育者たちはうなずき、熱心にノートを取ります。時折、少し驚嘆した声が聞こえてきます。多数の本を著し、日本の中で高く評価されている教育者の一人である藤森氏を中心とした日本全国から来た20人の代表団が、4日間ミュンヘンとその周辺に滞在しています。メンバーには、多くの保育施設の園長さんや二人の建築家もおります。その建築家は日本で施設の建設を計画しています。彼らは様々な乳幼児施設を訪ね、さまざまな概念に触れます。ミュンヘン市「陶冶スポーツ局」の教育者ベルガ―有希子さんが代表団の調整世話役をします。エバーズベルグの「森の学童」の概念は、日本からの視察団にとって特別な関心をもったようです。

強調されることは、教育的雰囲気と子どもの環境の創造です。学童の発達史、部屋の刷新、財政コンセプト、ケアのポイント、宿題のケアのような「ハードな事実」の多くのことが明確になった後、グループ全体で森の中へ出かけていきます。エバーズベルグの森の様々な場所で子どもたちが午後の時間、創造的活動をする場所を体験し、自然から学んでいます。視察団の皆さんは森を通過するだけでなく、適切に見学していました。子どもたち自身で上手に作った倉庫や小屋、木の手紙受け、素材を集めて作った自然の芸術作品の形状をカメラにおさめていました。日本からの視察団の皆さんは、非常に新鮮な森の空気を肺いっぱいに吸い、たくさんの豊かな印象を得ることができ、心からここにずっと居続けたくなったようです。
フィリードリケ シュメルツ、エグゼクティブ 」

ドイツ報告2013-21” への6件のコメント

  1. 同じ地域に行くことで、園の理念や環境における一貫性を感じることができるのですね。確かに、部分的に参考にしても、持続可能が難しい気がします。大切なのは、ハード面ということですね。この環境が表れる背景には何があるのか、どのようなことに注目し、実践に移しているのか。私がドイツの保育で最も気になるところです。“イニシアチブ”とは、日本でいう「自発性」ということでしょうか。日本でもその言葉はよく聞かれますが、与えられ過ぎるこれからの世の中を見つめていく、長期的な視野と共に、もう一度じっくり考えてみたいと感じました。本文に「経験豊かな教育者がそっと付き添うことで」と書かれています。そこからは、子どもと教育者との距離感が伺えますね。

  2. 一貫性は大切ですね。いろいろなことに興味を持つのはいいことなのかもしれませんが、ただ興味を持ったことをあれやこれやと行うだけでは、何がしたいのかということが見えなくなり、思いや目的も薄れていってしまいそうです。ということを自分にしっかり言い聞かせて、意識させていきたいと改めて強く思いました。「自分自身の考えを実行していく」これは日本の学童の子ども達にとっても大切な部分であるように思います。自分自身の興味をどんどん広げていくそんな姿は保育園〜小学校とつながっていってほしい姿です。「教育的雰囲気と子どもの環境の創造」これも重みのある言葉です。

  3. 今回のドイツ研修で訪れた森の学童がホームページに載せたんですね。ドイツの人からも研修に参加した先生方が真剣に学ぶ姿を感じたようですね。
     さて毎年ドイツに行く理由として以前、藤森先生が言われたのは定点観測と言われたました。毎年同じ場所に行くことでどのように保育が変化したのかが分かると。とても納得します。東京ディズニーランドが常にお客さんがいる理由も同じのように感じます。単に好きな人もいるかと思いますが、好きな友人に聞くと毎回変化があると聞きます。ドイツも一体化などで制度が変わっても、基盤となる一番重要な部分が振れずに変化しているのは、本当に素晴らしく思います。森の学童でも、ただ森の中で自然と触れ合って遊ぶだけでなく、教育的な部分も保証されており、何よりも子どもの自発的な部分を大切にしています。

  4. 見方や学び方は難しいとあらためて感じています。確かにいろんなところを見たいと思いますし、その方が知識をたくさん得られるような気がしますが、どっしりと構えている人の方が言葉に重みがあったりするから不思議です。同じところを見続けるとか、同じところから見続けるとか、そうしなければ見えないものがあるんだろうと思います。その意味からすると、藤森先生が毎年ドイツで見て、ドイツから見ておられるものを共有させてもらえているのは、とても貴重なことだと思っています。

  5. 数々の海外研修がある中で、一つの国に絞って毎年見学に行く研修は少ないでしょうね。しかし、考えてみると一回だけ行くだけでは見えないことは多くありますし、一貫して見続けることは必要なことだと思います。私の場合、特にせいがにいかせていただいたときにそういったことを感じます。毎回、発展や環境の変化があり、その中で常に前進している姿を見ているととても刺激になります。自分の今いる環境から一つ外を見ることはとても必要なことですし、その中で自分を客観視することも必要なことだと思います。

  6. 私は、あちこち行きたいタイプですから、「観光者」タイプです。それに比べると、藤森先生のドイツミュンヘン視察旅行は、観光どころか買い物の時間さえ確保することが難しいくらい研修に徹底していますね。午前午後合わせて8施設を訪れ、ホテルに帰った後は3時間近くその日の振り返り研修を行います。ほぼ1週間のツアーですが、みっちりじっくり学べるのがいいですね。スタディーツアーあるいは視察研修旅行と銘打つなら、藤森スタイルを採用すべきでしょう。「森の学童クラブ」視察が現地のニュースになるのは、その視察の熱心さによるところ大だと思います。熱心にノートをとる、あるいは驚嘆の声をあげるなど、視察グループの様子を伝えてくれています。その中に「多数の本を著し、日本の中で高く評価されている教育者」として藤森先生も紹介されています。去年度はドイツミュンヘンそしてシンガポールトゥデーに藤森先生は登場しました。中国北京で「見守る保育」「012歳の保育」が中国語で出版されました。今年は韓国で「見守る保育」の出版となりますね。日本のみならず海外でも藤森先生の活躍が期待されるところです。

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