ドイツ報告2013-14

 幼児教育では、具体的に子どもたちは何を学ぶのでしょうか?それは、どこに書かれてあるのでしょうか?もし、幼児教育が「学校教育」であるならば、その基本は、学校教育法に書かれてあります。そこには大きく分けて三つ書かれてあります。その一つ目は、「身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。」であり、その2は、「日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。」です。 そして、3は、「音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。」です。

 また、幼稚園教育要領と保育所保育指針には、教育内容として5領域が書かれてあります。5領域とは、「子どもが、乳幼児期に身につけることが望まれる心情、意欲、態度などです。」と書かれてあり、「健康」(健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、自ら健康で安全な生活を作り出す力を養う)、「人間関係」(人とのかかわりを促し、その中で人に対する愛情と信頼関係を育て、人間尊重の心を培う)、「環境」(自然や社会の事象についての興味関心を育てる)、「言葉」(言葉への興味関心を育て、話したり、聞いたりする態度や豊かな言葉を養う)「表現」(表現活動などの体験を通して、豊かな感性を育て、創造性の芽生えを培う)の5領域です。

 ドイツの「バイエルン」にも具体的に子どもたちが学ぶべきことが領域として書かれてあります。それは、「陶冶保育プランの中心となる陶冶保育領域」として書かれてあります。その領域は、「言語領域」「数学の領域」「科学技術の領域」「メディア教育の領域」「音楽教育の領域」「身体表現、スポーツの領域」の6領域です。これらを、日本の領域と比べてどう思うでしょうか。その違いがはっきり分かるのは、保育指針解説書の、日本の領域が五つに分かれている観点を読むとよくわかります。そこには、「教育に関わる領域は、保育士等が、子どもの発達をとらえる視点として5つに区分されています。」と書かれてあります。全く違いますね。

 このように、ドイツでははっきりと子どもたちが学ぶべきことが領域に書かれてありますが、その方法は当然、「バイエルン陶冶保育プランの基本方針」に書かれてあるように、「子どもの遊びの中での発達支援を中心に」ということになります。いくら「幼児期の教育の重要さが強調される中でも、遊びが教育学的基本」ということで「遊び」が強調されているのです。そして、「遊びと学びは、コインの表と裏」とし、「子どもが興味をいだき、答えを導き出せるように」という基礎を子どもに与えることができれば、新しい視界が将来開けると「バイエルン」には書かれてあります。

 そこで、ドイツの各園には、領域ごとのゾーンが設置されていて、子どもたちがそこにおいてある教具を子ども自身が自由に取り出し、自由に使い、それを使って遊ぶ中から学んでいきます。また、その領域の中から、各園で地域性、園児の家庭状況などから重点項目を決め、それを重点的に取り組むことにより、各園の独自性、特徴が出ているようです。

 そして、プランの要となるのは、幼児施設でも、保育者でもなく、子どもであるとし、各園がやるべきことは、保育内容の論議ではなく、常に保育のプロセスについて刺激を与え続けることが重要であるとしています。日本では、各園が保育内容まで独自性を出そうとしていますが、少し違うようです。

ドイツ報告2013-14” への6件のコメント

  1. 「子どもの発達をとらえる視点として」と「子どもたちが学ぶべきことが領域に…」とでは動き方に違いが出てくるのも当然ですね。バイエルンという基礎、基本があるからこそ、保育内容の議論ではなく、保育のプロセスに集中することができるのですね。子どもたちの遊びが広がるように保育者がそのことに集中できる仕組みのような印象を受けます。子ども本位というのが伝わってきます。また、『「子どもが興味をいだき、答えを導き出せるように」という基礎を子どもに与えることができれば、新しい視界が将来開ける』という言葉からも子どもの力を引き出そうとする保育者の姿を想像することができ、しっかりと子どもが中心にいるのだなと感じさせてくれるようでもあります。

  2. バイエルンの陶冶保育プランの6領域は、その内容も特徴的ですね。特に「数学の領域」「科学技術の領域」「メディア教育の領域」の3つはいつも気になるところです。論理的にものを考えることが大事にされていて、だからこそ数学や科学などが子どもが学ぶべきこととしてちゃんと取り上げられていることに学ばなければいけないと思います。その中でもまだ理解しきれていないのが「メディア教育の領域」です。アメリカでも同じだと思いますが、メディア教育についてどのように環境を用意しているんでしょうか。見学する機会があれば是非見てみたいです。そしてこの領域の中からどれを重点的に取り組むかで独自色を出すやり方はやはりいいですね。テーマを設定する際も、もっとその内容や意味付けを整理すると全体の活動に軸ができあがるんじゃないかと、直接は関係ないですがヒントをもらったように思います。

  3. 以前あげられた「機会均等」というように、どんな子どもにも同じチャンスを与えることが大切だと思います。それはみんな同じやり方でということではなく、特定の概念や仕組みを、その子の得意な分野から理解できるようなアプローチをしたり、それが自ら行える環境を用意するということだと思います。領域に書かれている子どもたちが学ぶべきことも、その課題を学べるようなチャンスを遊びを通して行えるよう作らなければいけません。チャンスや方法は、変化していく“プロセス”でもある気がします。“子どもの発達を捉える視点”というような「現在」を見ていくよりも、学ぶべき「未来」を見ていく方が、プロセスは楽しめますね。そんなプロセスを考えていきたいですが、日本では保育内容の抽象的さが、内容に独自性を生む原因になってしまっているのでしょうか。

  4. 陶冶プログラムに書かれている領域を初めて聞きました。領域に対する考え方が全く違いますね。私個人の感想としては日本の考え方は言葉が優しい分、具体的な内容が見えにくいですが、陶冶プログラムの方は逆に見えやすい、という印象です。もちろん一つ一つの領域を見てもそう感じます。ちょっと話はずれるかと思いますが、保育園で一年間のテーマを決めて保育や行事をすすめていきますが、私はある意味、指針のように思います。と言うのは園長先生がテーマを決めた事に現場の先生はそれを装飾や保育などをテーマに沿って実践します。保育士がテーマを決めても良いのかもしれませんが、おそらく多くの意見が出すぎて決まらにように思います。それならば園長先生が決めたほうが現場としては、やりやすいと思います。ブログの最後に書かれていますが、保育園は保育内容を議論して理論を考えるのでなく、保育のプロセスを刺激し、それをベースに各園の独自性が生まれるのだと思います。それは指針が陶冶プログラムと違って、文章も分かりにくいというのが、原因にあるようにも思います。後は指針を読み取る力が無いのか・・・。

  5. バイエルンにおいても、領域というものはあるんですね。そのあり方や考え方などは似ているところもあるように感じますが、最後の一文にあるように「各園がやるべきことは、保育内容の論議ではなく、常に保育のプロセスについて刺激を与え続けることが重要」というように、その優先順位が少し違っているように思いました。しかし、ドイツのバイエルンにおける領域と日本のものとを比べると、日本のもののほうが抽象的であり、情緒的なものであるのに対して、ドイツのものはそれに向かうための媒体(音楽や絵本)や「保育士等が、子どもの発達をとらえる視点」がはっきりしているというようにその目的に応じて、論理的にあらわされているように思います。抽象的であり、情緒的な分、日本における子どもの考え方そのものが独自性の枠の中で右往左往しているようにも感じます。

  6. 「具体的に子どもたちが学ぶべきことが領域」とされる「バイエルン陶冶プラン」のほうが、「教育内容としての5領域・・・乳幼児期に身につけることが望まれる心情、意欲、態度など」とされる我が国の「要領」「指針」よりわかりやすいですね。今回改訂の「保育所保育指針」には「解説書」が発行されていますが、この「解説書」を読んでも、申し訳ないのですが、じゃあ、具体的にどんな保育をどのような環境を用意して実施していけばよいのかがわかりません。大綱化された「保育所保育指針」の本体は読み解きがもっと大変です。「バイエルン」は考え方とその考え方のもとにした保育実践がしやすい内容になっています。確か、今回の「保育指針」にはDVDもついていますが、それを活用して園づくりを行ったという例がどこかで発表されているのでしょうか?まぁ、結果として「各園が保育内容まで独自性を出そうと」いうことになり、〇〇式などの採用、ということになってしまうのでしょうね、しかも公金を用いて。

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