ドイツの小学校の2年生に授業を参観したのですが、教室は昨年見た小学校同様、前の方は日本の教室のように、子どもの机といすが前を向いています。そして、後ろの方には、棚とソファがあり、棚にボードゲームが並べてあります。また、棚の反対側にはパソコンが置いてあり、子どもたちが使えるようになっています。ここで、日本との違いは、日本ではパソコン教室という部屋にパソコンがクラスの子どもの人数分並べてあり、ある時間にその部屋でパソコンの操作を教えます。ドイツでは、各教室の後ろにパソコンが置いてあり、子どもたちはパソコンで何かを調べます。これは、パソコンの操作が目的か、パソコンの操作は手段であるかの違いでしょう。また、教室内には、日本の教室には見られないいろいろなものが置いてあります。総合的学習で使った木の実や葉などの資料が並べられています。
日本の教室は、あまりに子どもの人数に比べて狭いですね。保育室もそうですが、教室は子ども一人当たりの面積が決められているのでしょうか。保育室の例ですと、もし決められていてもそれはあくまでも最低基準の話で、それ以上の面積のところがほとんどです。日本の最低基準は、最低の基準でなく、標準基準とか、作るときの基準であることが多いような気がします。
教室の壁に張り出されたものも、いろいろと工夫されていることと、2年生という年齢の発達を踏まえ、文字だけでなく、絵とか、ものとかを使って色々なことを表現しています。例えば、このクラスの子どもたちの国籍が国旗であらわさえています。なんと、11か国の子どもたちが在籍しているようです。「本を家で読んでくる」という課題があるときに、何冊読んだかということを日本では棒グラフで表すことが多いのですが、このクラスでは、モールに色とりどりのチップをさしていくというものでした。
当番表は、当番の仕事の絵のところに名前を書いた洗濯ばさみを挟んで示すというものです。当番の種類は、掃除係とかノートを配る係などは日本と一緒ですが、ほかに、先生のメッセンジャーとか、服をチェックする係とか、消火係とか、プロジェクター係があります。
プロジェクター係があるように、授業にはかなりプロジェクターを使うようです。私が参観した算数の授業では、このように進んでいきます。まず、授業の前にあいさつをします。全員が立ってあいさつするのですが、子どもたちはくるっと後ろを向いてあいさつしたので私たちにしたのであって、授業の前にあいさつをするのかは定かではありませんが、先生は、大声を出して支持せず。手で立つ合図、後ろを向く合図をして、全員の子どもたちは、きちんとその指示に静かに従っていました。そのあと着席すると、プロジェクター係が前の方に出して、先生はそれを使ってこの時間で行う授業の内容を説明します。まず、その時間の全体像を子どもに示し、どんなことをするのかを子どもに把握させることから始まります。それをすることで、いちいち途中で先生は子どもたちに大声で指示することなく、子どもたちは淡々と授業を進めていきます。
その日の授業は、形づくりです。いろいろな形を見本を見ながら作っていくという内容です。その説明が終わると、子どもたちは前の方に出ていき、黒板の前の床に丸くなって座ります。前には、丸いじゅうたんが敷かれてあります。そこで、細かい手順を説明します。このように、まず授業の全体像を示し、そのあと細かい説明をしていくこと、また、それらをただ黙って机の前に座っているだけでなく、前に出てきたり、床に座ったりと、姿勢や場所を変えて変化をつけます。そのときに、日本ではいちいち騒がしくなったり、だらだらと移動したりして、時間をつぶしてしまうことが多いのですが、この授業では、子どもたちは一言もしゃべらず、すばやく移動して、先生の話を聞いていました。
それは、決して怒られるわけでもなく、せかされることなく、自主的に動いている感じでした。幼児期から、怒られて動くのではなく、自分の意思で行動することをしてきた積み重ねであることを感じました。