具体的な活動や体験

 そもそも、小学校1,2学年では、社会と理科という教科がなくなり、生活科が創設された時の意図は、「児童の発達上の特徴や社会の変化に主体的に対応できる能力の育成等の観点から生活科の設置」と書かれてあるように、子どもたちの発達を踏まえ、小学校低学年においてどのようなことが必要かということから創設されています。そして、昨年から実施されている新しい学習指導要領が改訂される時、生活科の課題については、次のように指摘されています。

 「学習活動が体験だけで終わっていることや、活動や体験を通して得られた気付きを質的に高める指導が十分に行われていないこと」「表現の出来映えのみを目指す学習活動が行われる傾向があり、表現によって活動や体験を振り返り考えるといった、思考と表現の一体化という低学年の特質を生かした指導が行われていないこと」「児童の知的好奇心を高め、科学的な見方・考え方の基礎を養うための指導の充実を図る必要があること」「児童の生活の安全・安心に対する懸念が広まる中、安全教育を充実することや、自然事象に接する機会が乏しくなってきている状況を踏まえ、生命の尊さや自然事象について体験的に学習することを重視すること」「小1プロブレムなど、学校生活への適応を図ることが難しい児童の実態があることを受け、幼児教育と小学校教育との具体的な連携を図ること」

 ここで表わされている生活科の課題は、必ずしも生活科という教科内のことだけではありません。生活科は、教科の性格上、国語・音楽・図工など他教科等との関連が深く、今回の改訂においても、ますますその必要性が強調されています。同時に他教科(国語・音楽・図工)の指導要領においても、「指導計画の作成と内容の取扱い」のなかで、「低学年における

 生活科との積極的な関連」が明示され、生活科の学習指導に当たっては、低学年教育全体を視野に入れて、他教科等との関連を図りながら進めていくことがますます求められているのです。「特に、第1学年入学当初においては、生活科を中心とした合科的な指導を行うなどの工夫をすること。」ということが付け加えられました。そして、この文言を基に『解説』「第4章指導計画作成上の配慮事項」の(3)に、「スタートカリキュラムの編成」が新入児童の小学校生活への適応を促し、小1プロブレムなどの問題解決に効果的であるという見解が示されました。

 ここまで見てみると、小学校1,2年生は、各教科とも「低学年児童の発達の特性として、具体的な活動や体験を通して思考する特徴があり、直接体験を重視した学習活動を行うことで、意欲的な学習や生活をすることが引き続き期待されていること」「身の回りの事象を一体的にとらえ、生活者の視点から対象を全体的にとらえ、考えることが求められていること」「生活上必要な習慣や技能の育成が一層重視されており、その獲得は児童が意欲的に人や社会、自然にかかわる学習活動の過程において、必要に応じて行われることが重要となってきていること、を踏まえて現行を維持する」というような授業を、小学校ではしているのでしょうか?

 このように身近な人々や対象と直接的にかかわる学習活動を通して、児童が学習や生活において自立することを目指すとともに、豊かな生活を営む生活者としての資質や能力及び態度を育成することが重視される小学校教育につなげる幼児教育を、もし子ども園になり、学校教育に組みいられるとしたら、きちんと考え、実践していかなければならないはずです。

具体的な活動や体験” への5件のコメント

  1. 『身近な人、社会、自然および自分自身に関心を持ち、進んでそれらと関わり、楽しく学習をしたり、意欲的に遊びや手伝いをしたりするようにする。』

    これは学習指導要領の「生活科解説編」の一部です。まるで保育指針を書き写したような内容ですが、幼児教育と学校教育とをつなぐものとしての役目を担っている生活科の位置をよく表しています。幼児教育は、「環境を通して行う教育的営み」です。これを間接教育というそうです。いわゆる学校教育は、教科書を使って教室での座学が中心に行われるので直接教育ともいわれます。

    生活科の実践レポートや論文を読んでいくと、藤森先生の見守る保育との類似性を数多く発見することができます。以前、新宿せいがに文科省の方が見学に来られた時に、「小学校でもこんな実践ができたらいいですね」とお話があったと聞きました。見守る保育と生活科との密接な関連性を念頭に置いての発言だったと推察します。幼保の側から小学校教育への円滑なつなぎを考えるのであれば、文字・数の先取りではなく、生活科に結びつく「自然や社会環境との関わり」「自立と自律」「協働的な学び」「学びへの意欲・興味」などを重視した見守る保育が最善の手法だと思います。

  2. 具体的な活動や体験が大事だということですが、保育園ではまさにそのことが目的とされています。8歳くらいまでは乳幼児教育と捉えるべきだという考え方からいくと、スタートカリキュラムも含めて乳幼児教育と捉えた方がスムーズにいくような気がします。そんなことを小学校とともに考えていけるようになればいいですよね。学習指導要領にしても保育所保育指針にしても、捉え方によって基本的な実践が大きく違ってきている現状はいいこととは思えません。この先子どもが関わる保育園等のあり方が変わっていくのであれば、何もせずにそのときを待つのではなく、基本について関係者がきちんとおさえる場が必要になってくるんでしょうね。

  3.  具体的な活動や体験はもちろん乳幼児期には必要、むしろそこから学んでいくと思います。新しい学習指導要領にも小学校の低学年は具体的な活動や体験を通して思考すると書いてあります。年長さんが小学校に行く準備が始まると、だいたいの子どもは勉強が始まるという事を意識していると思います。そんな時に、勉強は難しくて、大変な事という印象を与えると、これから先、中学、高校、大学と進学していく上で、勉強に対して中には拒否反応を示してしまう子どももいるかと思います。勉強が始まるという入り口には、楽しい!という印象を与える必要はとても大切ことだと私は思います。実際に大人になっても体験から学ぶ機会がありますが、とても楽しいです。

  4. 以前、確か「音楽」の授業のブログでも、小学校は「具体的な活動や体験」についての記述があったように思います。子どもたちの捉え方についてはとても保育の考え方にとても似ているようにも感じました。しかし、なぜそれが浸透しないのか、どうして変わっていかないのか。と疑問に思いましたが、保育園の保育も変えるのにはいろんな考え方や視点がないとできないですし、小学校でもそういったことには気づいているのかもしれないが、なかなか変えれないのだろうかと思いってしまいます。とはいえ、現状の子どもたちを見ているととても今のままで良いとは思いません。ましてや、小学校を変えるにはそれに取り組む子どもたちの育ちにももっと目を向けていかなければいけません。「小学校が…」「保育所が…」だけではいけない時代なのかもしれません。なにが必要とされるべきか、指針や要領の意味を振り返ることも必要であると思いますし、幼保小の連携ももっと身のあるものにしていかなければいけませんね。

  5. 小学校に通う息子を通していろいろなことを知ることができます。「生活科」については息子が入学してからの授業にあったようです。なにせ低学年は1人の先生によってさまざまな教科が教えられるので、一つの教科で学ぶことが他の教科でも学ばれ関連付けられながら生徒たちの中に自然に浸透していくのかと思いきや、どうもそういうことはなく、あくまでも「教科主義」で授業が展開されます。わが子が小学校の1年生の時の授業を参観しましたが、先生は何かを必死に教え込もうとしています。「これわかる人?」と先生が問いかけるとたいていの子どもたちは「はいはい!」と勢いよく手を挙げていましたが、わが子は下を向いたままでした。正直、つまらなかったし、恥ずかしかったのでしょう。私はそれでよかったと今も思っています。楽しければ、学ぶ子どもたちの顔は笑顔で満ちています。競争心むき出しの表情にはなりません。学びは楽しいものです。強制されてやるものではないのですが・・・。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です