昨日、ドイツ研修から帰ってきました。毎年訪れているドイツですが、毎年新しい発見があります。今回は、ドイツにおける一体化が行われ、それによってどのような変化がおきたかを一体化直後の現場から見ることができました。しかし、一体化といっても、日本と違って、1?3歳児までの園と3?6歳児までの園の一体化であって、日本のように同じ年齢でありながら通園する施設が2元化していたわけではなかったのでやりやすくはあったようです。しかし、大きく日本と違うところがあります。日本で今話し合われているのは、まず、制度をどのようにするか、また、中間報告では、とりあえず給付を「子ども園給付(仮)」というものに一本化とするからはじめようとしています。その給付をするところがどの省になるのかは、まだ決まっていないようです。その中に、一体化した施設として「総合施設(仮)」が創設され、その保育内容として「保育要領(仮)」が示され、幼稚園のまま運営したいという園は「幼稚園教育要領」を、保育園のまま運営したい園は「保育所保育指針」に則って保育にあたるということが提案されています。
そのような動きに対して、ドイツの一元化は、まず、保育内容を示している陶冶プログラム「バイエルン」を、キンダークリッペ(0?3歳児)とキンダーガーデン(3?6歳児)とコープ(0?6歳児)が、ともに使うということを決めました。このプログラムは、もともとはキンダーガーデンが使っていたのですが、今回のドイツ訪問では、このプログラムに沿って保育を始めたキンダークリッペを1日目に見学したのです。そして、この陶冶プログラムに沿って保育にあたっている園を管轄する新しい省(陶冶省ともいうべきもの)を創設したのです。
この陶冶プログラムは非常に厚いものなのですが、そのうちの7割ぐらいは、現代における子ども環境、時代背景、このような時代に求められる子どもの力が分析されています。そして、残りの3割で、その具体的な取り組みが示されています。今回訪れたある園の園長先生が、「私たちの保育内容は、陶冶プログラムをよく読んで、その中から、地域、園の方針などにあったものを抽出して取り入れています」と説明しましたので、私が「では、陶冶プログラムには法的強制力はないのですか?」と聞いたところ、「陶冶プログラムはよくできているので、その内容と違うことは強制されなくてもない」ということでした。そこで、「各グループを年齢別で構成し、先生が前に立って、バリバリといろいろなことを教えようとする園があってもいいのですか?」それに対して、いろいろと言っていたのですが、要するに、「保育者であれば、そんなことはよくないということは当然誰でもわかっていることです。」と答えただけです。
しかし、後で聞いたところによると、陶冶プログラムの後半3割は、具体的な保育内容が示され、それは例が書かれてあるので、そこから自分の園で取り入れたいところを抽出するのだそうで、たとえば、そこに示されている内容で、自分の園では科学を重視する保育をしたいといって手を挙げれば、市当局がそれを支援してくれるそうです。それによって、各園では、テーマを毎年決めます。今回見学した園におけるテーマは、「モビリティー(交通手段)」「歌」「旅・世界の五大陸」「病気と健康」「色彩」「知覚感覚」「ミュンヘン史」などです。見学した学童クラブでは、年中プログラムは目まぐるしく変わっていったものもあります。「お友達になろう⇒秋について⇒聖マルティン祭(提灯パレード)」⇒アドヴァント(クリスマス期間)⇒メルヘン⇒ファッシング(カーニバル)⇒春について(3月)⇒復活祭⇒五月祭(言語に重点)⇒モビリティー(乗り物)6月⇒夏祭り(7月)」という具合です。